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回答者の感想や意見

・主な意見まとめ

戸辺米穀店の戸辺政光さんから

・自由意見抜粋



主な意見まとめ

 

  東京北区田端銀座商店街の一角に、川野商店というお米屋さんがあります。玄米工房と銘打って富山産コシヒカリなど産地別の玄米を樽に入れ、2kgより量り売り精米をしていて、10数銘柄を並べています。店主夫人に伺うと、米の自由化による競争激化に生き残っていくために、97年から現在のような売り方を始めたそうです。

 
富山産コシヒカリ、三分づきにしようかな」
 「この米は味がさっぱりしているので、三分づきならば福島産コシヒカリのほうが味が濃いめでいいですよ」
 
 そんな会話がありました。そして、帰りにはぬかをサービスしてくれました。精米をしている間にも、会話が弾みました。

 「この春、大学生になった一人暮らしの若い男の子が来たので、米の研ぎ方とか教えてあげたら、おばさん、親切だね、うちのおふくろよりもよく教えてくれる。また来るから、これからも教えてねと言われて、うれしかった〜」と話してくれました。
 
 同じ時期に、食品関連の展示会に行きましたが、米や米加工品の種類が豊富にあるので驚きました。古代米・五穀米・七穀米といった古代の浪漫を感じさせる米、水を使わないので便利な無洗米、米の加工品では、乳児用のおかゆレトルト食品まで登場していました。でも、こういうものをふつうの店で見かける機会ってあまりないんですよね。いったいどこで売られているのでしょう。
 
 米の通販も生産者を含めて花盛り。重量がある米だけに宅配してもらえるのはありがたいけれど、なんだか似たりよったりという感じは否めません。やはり、近くのお米屋さんと仲良くなっておいしいお米を食べられるのが一番いいようです。それには、お米屋さんにも努力してもらわねば。
 
 実は今回アンケートを実施したのは、全国食糧振興会の季刊「食糧振興」に「こんなに変わった米の売り方」というテーマで原稿を書くことを頼まれたからでした。
 
 でも、お米の販売については、一消費者として、不満がいっぱいなのです。だから、本当に「米の売り方」がそれほどに変わったのだろうか、というのがアンケート調査の出発点でした。いつもはお米屋さんに取材するのですが、消費者の皆さんから、意見を伺おうと思ったのです。

 インターネットが普及したおかげで、個人でもアンケート調査が実施できるありがたい時代になりました。「パソコンを利用している人」ということでデータが偏ると言われていますが、同時期に結果が発表された東京都の調査や、1999年の主婦連の調査結果でも、お米の購入優先順位は同様の結果が出ていたので、1000人の結果が得られれば十分データとして価値があると自信がもてました。なぜなら、インターネットを利用して回答してくれた人も、一消費者には変わりはないからです。各人が打ち込んで送信してくれたデータをデータベースに取り込むので、速やかに集計できます。2045人の有効回答のうち、1400人が自由回答を寄せてくださったのには驚きました。本当に、ありがとうございます。

 自由回答をまとめていて、わかったのは、コメへの不信感が根強くあること、現状のコメの販売に対する不満が多いということでした。「顧客中心」とか「ワン・ツー・ワン・マーケティング」の時代といわれていても、ことコメに関しては売り手の都合がまかり通っているようです。ということは、消費者の立場で販売を考えればまだまだ活路は開けるということかもしれません。

  ●自由回答から−米の多様化するニーズに応じられていない現状

 【米の販売方法について】

 1 多種類扱ってほしい

 「米の種類が少ない」ことへの不満が多くあげられています。酒ならば、地酒やワインなどにこだわった店ならば、幅広く選べるのに、米ではせいぜい10数柄、それもどこも横並びという嘆きが多く見受けられました。おいしいお米を発掘して多品種少量扱うということは米の販売ではまずありません。「三食違う米を食べてもらう、売れるかどうかは商品開発と売り方」という声もありました。こういうことができないのであれば、なぜ米の販売ではできないのかを消費者に説明する必要がありそうです。

 2 試食、または試食コーナーの要望

 「試食できるといろいろなコメにチャレンジできる」という気持ちは消費者の大半がもっているようです。新米シーズンに、特定産地の品を試食させるキャンペーンはあっても、定期的には行われていません。このため、結局は味を知ったいつもの米になってしまうのです。いつもと違うお米を購入してまずかった(口に合わなかった)場合、5kg、10kg食べるのは大変ですよね。
 
ですから、週に一度、月に一度、数銘柄でもよいので、試食をさせてくださいというのは消費者の切実な声なのです。喫茶店の「今日のコーヒー」のように一銘柄でもよいから、イベントとして試みる店があればいいなと思います。「味に対する情報がなく、まるで宝くじみたいな買い方しかできないのが不満」という人に同感!

 3 味見のための一合売りや量り売り
 
 試食がだめならば「米を100g単位、あるいは1合単位で販売してほしい」の声も多くありました。とりあえず少ない量で味見してみて、納得すれば大きな単位で購入したいというのは自然ですよね。実際に小分け売りを望む声は多いのに、購入単位は5kg、10kgの人が多い。これは矛盾ではないかという人もいるでしょう。でも小単位のものは割高になるのです。1kgが10kgの10分の1の値段であれば、購入する人はもっと増えるはずです。少しでも安く買いたいと思うから、しかたなく重いのを買っている人も多いのです。

 「小分け売りは値段が高くなるならば容器持参という形なども検討してほしい」という提案もありました。子どもの頃、豆腐屋さんが自転車で家の近くまで売りに来て、容器をもって買いに出たことを思い出しました(いつ頃の時代と言われそう……)。

 うちの近くのスーパーでも、販売されていますが、米入りペットボトルについては「便利」と評価する声がありました。こういう一人暮らし用、個食のための米も求められているのですね。
 
 4 炊いたごはんやおにぎりの販売
 
 「ごはんやおにぎりを販売してほしい」という声もありました。米の専門店が販売するものならばおいしいに違いないという信頼感からきているのでしょう。

「お米屋さんの中にごはんが主役の定食屋さんがあるといいなぁと思います」
「近所のレストランで、自社で使用しているお米をその場で精米して販売してくれるところがある」
「我が家の近くのお米屋さんでは、いろいろな種類のおにぎりと1〜2人分のお総菜数種類を週に6日売っています。すごくおいしいと評判で、隣の市に住む人も知っているくらいです」。
 
 東京・巣鴨にあるナリタヤストアを10数年前取材した時、ほかほかの炊きたてご飯を販売していました。おひつを持って買いに来る人もいると成田社長さんが笑って話してくれました。おいしいご飯だったら、買ったっていいですよね。私はお米屋さんが炊いたご飯を売ったらよいのにと思っています。99年度の優良経営食料品等小売店全国コンクールで日経賞を受賞した(資)米銀商店(茨城県古河市)は、弁当の店頭販売や仕出し弁当、だんごの製造販売など、米に関連する業態開発に取り組んでいます。「○○さんのお米を使ったお弁当」と生産者を大切にする姿勢をうちだしています。生産者の作った果物なども販売するそうですが、米屋さんだから、米を販売しなければならないということはありません。もっともっと米に関連することを手がけてほしいと思います。

 5 料理用に用途別提案
 
「カレーライス専用米とか、お寿司専用米とかの表示もおもしろいと思うし、買ってみたくなる」。
 お米も用途別にという提案です。山形県のお米屋さんは、「にぎりま専科」とか「カレーにしま専科」といった米を売り出していました。「年配の人はやわらかな米を好むし、若い人はかたい米を好む。世代別米とか、多少水加減がアバウトでも炊けるような米をブレンドして売り出したい」と話していました。こういう発想がおもしろいのです。販売しているお米がおいしければ、食事をさらにおいしくする漬物や佃煮など関連商品の品揃えも広がっていくでしょう。どこでも売られているものでなく、小メーカーのものや、味にこだわったものを探してくるのです。「新米のときくらい、このお米にはこんなおかずがあいますよ、といった試食を兼ねたキャンペーンでもやったらおもしろい」「タイ米がほしいが入手できない」という声がありました。

 6 情報不足

 「米の味が違うならば、炊き方も違うはずなので、もう少しきめ細かな提案をしてほしい」「消費者側に安全性に対する意識が高い割に、その情報が少ない」「インターネット通販で生産者直販が人気があるのは、安全な農法をメリットとして選んでいる人たちが多いから」などの意見から読みとれることは、まだまだ情報不足ということです。

 7 安さを望む声も多い

「30kg単位で安くしてほしい」「とにかくディスカウント」「賞味期限が切れているお米の激安販売」。主食であるだけに、安さを望む声は切実です。食材で1回に1000円以上の買物というのは、結構勇気が要りますよね。この意見、わかります。「学生にやさしいお米屋さん、例えば、学割とか、スタンプ何個かで何%割引とか」もおもしろいかったです。
 
 8 精米へのこだわり
 
 精米したての米がおいしいと認知されるようになりました。「ほしい分だけその場で精米」「精米したての米を配達ほしい」「自販機も自分で精米できるようにしてほしい」などの要望がみられました。うちの近くのスーパーには、精米器が用意されているのですが、使用している人はあまり見かけません。1回チャレンジしてみましたが、量が少なくなるのがちょっと損した感じ。でも、味はおいしいような気がしました。今は、自店で精米しているというお米屋さんで買っています。

 9 いろいろな米を置いてほしい

  無洗米を入手したいという人は意外に多くいます。アウトドアや災害時などに便利といわれているけれど、多忙な人、冬場の冷たい水が苦手な人などにもよいと思います。水不足の時ほどこういう米が普及すればよいのに。
 
 無洗米はまずい、というお米屋さんもいますが、時間のない時などは、無洗米があればいいなぁと思います。味だって言われているほどにまずいとは思いません(だって、うちの炊飯器は新しいから、なんでもおいしく炊けるもの)。
* (03/06/12)上記の文章を書いた後、お米屋さんに行く機会も多くなり、いろいろ聞きました。お米屋さんでは無洗米を扱わない店が意外に多い。無洗米は仕入れて販売するだけなので、お米屋さんにとってはあまり利益が出る商品ではありません。お米屋さんは精米技術を駆使して美味しいお米を販売しているからこそ、お米のプロなのです。近年は、無洗米精米機を導入して自家製無洗米を販売するお店も出てきました。しかし、お米屋さんが無洗米を扱わない大きな理由は、味の点と、品質や安全性が確認できないという点が大きいようです。「家庭で水とぎの手間を省くから環境にやさしい」というのも実際のところ、疑問符がつくそうです。
 こういう問題ではお米屋さんのホームページが詳しくわかります。
 てんち米店のホームページに店主小澤さんがいろいろ考察していて、「無洗米考」のページもあります。とても参考になります。ぜひ見てください。
 また、てんち米店さんが教えてくださったサイトもご紹介します。
 国民生活センターの「商品テスト結果」の中、2002年6月6日に「無洗米の品質・安全衛生・環境性等を調べる」があります。

 99年度の優良経営食料品小売店全国コンクールで食品流通局長賞を受賞した(株)大忠(大阪府守口市)では、若い人や単身赴任者に重宝とみて、小袋販売をしているそうです。ここでは木酢米を置いたり、オリジナルブレンド米を「寿米」の名で販売したりしています。「寿米」は毎年ブレンド割合を変えて試し、その年最高と思ったブレンドに「寿米」の名を冠するそうです。こういう販売もいいですね。
 
 神奈川県の原徳米店では古代米と白米とをミックスして小袋に入れて販売し、しゃれたネーミングをつけています。

 こうやって地域の店がいろいろ工夫してくれればいいですね。
 

 10 お米屋さんは入りづらい
 
「暗く」「無愛想」「入りづらい」ので改善してほしいという声が多いのには、笑っちゃいました。お米屋さんは食管法で守られていたので、1度でも「売ってやる」という姿勢の店に出会ってしまうと、後々まで印象が悪くなってしまっているようです。でも、お米屋さんにとっては朗報です。「入りやすい米穀店があれば利用したい」という若い世代が結構いたからです。スーパーで質問することはできないので、若い人にとってこそ親切なお米屋さんが求められているのです。それには近代的な店づくりをして、入りやすさを演出することが必要です。若い人も臆せずに近所のお米屋さんに入ってみてください。「車の出張販売をしているお米屋さんもある」と教えてくれた人もいました。野菜や魚の出張販売は見かけますが、お米では珍しいようです。

【米への要望】
 
 11 米の表示について
 
 「コシヒカリの特売品を購入し、まずかったので調べてみたらブレンド米だった」。こうした思いを1度でもすれば、ブレンド米自体の信用が失墜してしまいます。米の消費を伸ばしていくには、適正な表示をしていくことが産地及び販売店への信頼につながるはずです。お米についても新JAS法での表示が義務づけられます。

 「その人にあった、料理にあった、ブレンドとかも欲しい。私の場合、コシヒカリが主ですけども、粘りが欲しい時は、あきたこまちを足しますし、シャキシャキ感を出す時はヒトメボレを入れます」。こういうこだわりをもつ人も今後増えてくるでしょう。

 12 米袋は消費者のことは考えていない

 特売があれば5kg、10kgを持たねばなりません。そのような時に、いつもなんとかならないかと思うのが、米の重さ。「持ち帰り袋を工夫してほしい」「スイカを持ち運びするときのように、網などつけて持ち運び易くなるとよいと思う」「真空パックや袋を燃やしても無害なものにしてほしい」という要望もありました。


【販売提案】

 13 各種販売提案
 
 「図書券やビール券でもお米が買えればよい」
「予算先行型販売。たとえば産地問わずコシヒカリ五割以上含む10キロ税込み3500円でお願いと言ったらそういうのをブレンドしてくれるとうれしい」
「贈られた側が好みで選べる産地直送ギフトカタログ付きお米ギフト券」
「新銘柄などの情報をメールでくれるお米屋さんがあるとうれしい」

 等々の提案がありました。米をギフトとして利用している人は今回のアンケートではほとんどいなかったのですが、産地直送ギフトカタログはこれから有望かもしれません。


 本当に、いろいろな意見が寄せられました。消費者としてはどれもこれも納得がいくものばかり。それだけ米には関心が高いということがわかりました。米と比較してあげられているのが酒、コーヒー店でした。また、米の消費を伸ばすには、米に合う副食まで提案していくことが必要であるということを実感させられました。