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多品目販売で遠くの客も呼ぶ
秋川ファーマーズセンター |
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東京都の西部、あきる野市の五日市街道沿いは、夏に農家が朝とれたばかりのトウモロコシを販売するので、通称「トウモロコシ街道」と呼ばれています。
もう一つの名所、秋川ファーマーズセンターは、多摩東京移管100周年記念事業の一環として、TAMAらいふ21協会と旧・秋川市(あきる野市の前身)が共同で建設し、生産者と消費者の交流施設として1993年8月にオープンしました。現在は「JAあきがわ」が運営管理を担当しています。 |
10月初め、陳列棚には約40種の地場野菜が並ぶ |
ここファーマーズセンターでは農畜産物の直売所を核に、植木や盆栽などの販売、バーベキューコーナー、軽食堂、研修室、市民農園などを併設しています。隣にはお米や雑貨類を販売するJA秋川経済センターもあります。
直売所には114人の生産者が登録しています。朝7時半、搬入開始。
待ちかねたように生産者たちが、主に朝とれた野菜をコンテナで運び入れ、平台の陳列棚に並べていきます。よい場所は早くきた人から優先的に並べられるようになっていますが、葉物、土物と暗黙のうちに定位置は決まっています。特等席は入り口のレジ近くで、取材当日は葉付きショウガが「旬」の主役でした。
「昭和40年ごろから日曜市などの直売を始めたけれど、当時はまだ市場にも出荷していた。この前身の直売所が市役所の前にできてからは直売専門になったね」と長浜武さん。市場に出荷していたころよりも栽培品目を増やしたそうです。
10月初めには、約40種類の野菜が3列にわたって販売されていました。これらはすべて地場野菜です。主要野菜を中心に年間約100品目。やはり夏場のトウモロコシが最大の人気を誇るそうです。穂ジソ、間引きダイコン、モロヘイヤ、ヤツガシラの茎(ズイキ)などもありました。「こういうものは流通にのりにくいので、直売所ならではの品物なんですよ」(平野博康センター長)。
両脇の壁面には加工品や市民農園用と思われるタネや農作業用品が3段の棚に陳列されています。
果物のコーナーには秋川地区の特産でもあるクリやナシ、ブドウなど。その隣はJAコーナーで、買い物に支障をかけないようにとの配慮から仕入れた青果物が並んでいます。「ときには地場野菜とかちあうこともあるんだよ」と生産者の一人。 |
週末、開店前に並ぶのは遠方からのお客さま |
午前9時、開店時間です。平日の来店客数は1000人未満ですが、土曜日や日曜、祝祭日ともなると1500人にもなります。
週末は開店前から数10人並ぶのが恒例になっています。朝1番で並ぶ客は遠方から来ていたり、目的をもって来店しているので、購入金額も多くなります。八王子から車で20分かけて来たという女性は「ときには近所の分まで頼まれて1週間に1度は来る。鮮度がよいし、値段も手ごろ」と、かごいっぱいに買い物していましたが、それでもレジ金額は約2300円。市内から来た男性は「ショウガは辛くなくておいしい」、毎日来るという女性は「ここで買ったらほかでは買えない」と絶賛します。車客がほとんどで、五日市街道は秋川渓谷などの景勝地へつながっているため、行楽帰りに立ち寄った人たちのリピートもあるようです。
開店後1時間くらいたつと、近くの生産者は売れ行きを見にきます。自分の置いた野菜が売れて少なくなっていると畑へとって返し、補充できる分を運んできます。このときに「おじさん、これはどうやって食べるの」といった質問や、価格や作柄についてのやり取りがあります。生産者も自分の作ったものだけに、食べ方や作物に対する薀蓄を傾けたりしていますが、人が多くなるとそれもままならず、少し残念そうにしています。
生産者が販売する商品にはすべてバーコードの付いたラベルが貼ってあります。このバーコードで生産者の売上げを管理し、販売代金の支払いをするのです。バーコードのほかには生産者の氏名、商品分類、価格が表示されています。
このセンターの周辺は2q圏内にスーパーが7〜8店進出しているので、どのように差別化するかが課題となります。
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興味深いことに、野菜が豊作で安いときには近くの店で間に合わせ、不作で野菜価格が高騰するとセンターへ来るという傾向があるそうです。センターでは市場の相場とは連動していないので、上限価格が決まってしまいます。不作のときには流通価格より安くなるので、それを目当てに来店客が増加するのです。このときにどれだけリピート客としてつかめるかが差別化の決め手となります。
「直売所で新鮮、安全は当たり前な時代になりました。今後は品質に見合った値付けが必要になってきています。どのような品質基準を作るかが大きな課題であり、その基準をどう生産者に伝え、実践していくか。今後試行錯誤してノウハウを作り上げたい」(平野センター長) |
直売所への出荷や値付けは基本は生産者の裁量任せ |
サツマイモは1s、ホウレンソウは300gなどと販売単位がある程度決められているので、価格も横並び傾向です。大きさやサイズをそろえる必要がある市場出荷と違って、直売所への出荷や値付けは生産者の裁量に任されています。
すると、同じ値段でも品質差が出てきてしまいます。こうしたことから、「品質のよくないものはジュース用とか飼料用とかの断り書きがほしい。そうでないと直売所全体の評価を下げることにもなる」との懸念も生じてくるのです。
そういう場合、商品を売場から引き下げ、売場管理のために会員の中から日替わりで出ている当番に伝え、当番を通じて生産者に連絡するようにしています。
このところ全国的に野菜が豊作で安値安定となっているので、来店客が30万人と増加しているにもかかわらず、売上げの増加につながっていないという悩みもあります。
オープン以来、売上増が続き1998年度(3月決算)には施設全体で5億3000万円になりましたが、99年度は5億200万円とやや売上げが鈍りました。うち約半分を直売所の売上げが占めています。
生産者には、毎月手数料10%を差し引いた販売金額が月に2回支払われます。年に1000万円近い人も何人かいますが、専業農家は少ないので平均200〜230万円です。
生産者の高齢化が進み、60代半ばが中心世代となっています。それでもみんな元気いっぱいで、消費者に喜ばれる野菜を作ろうと、新野菜や外国野菜などの栽培も取り入れています。直売所はこうした「多品種生産」に支えられています。 |