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タキイ種苗株式会社発行
園芸新知識 11月号掲載(2001)より
旬の味ほりがね物産センター
旬の味ほりがね物産センター
〒399-8211長野県南安曇郡堀金村大字烏川2696
TEL0263-73-7002
出荷者:ほりがね物産センター組合
営業時間:
6〜9月 7:00〜18:00、
10月〜翌年5月 8:30〜17:00
定休日:年末年始のみ
従業員数:社員4人、パート40人
女性たちが支える
早起き直売所
堀金村は松本市が通勤圏となり、人口も微増傾向にある。
出荷者の9割が女性
長野県南安曇郡堀金村の「旬の味ほりがね物産センター」は北アルプスの麓にあり、買い物だけでなく、風光明媚な周辺の景色も楽しめる直売施設です。隣に道の駅「アルプス安曇野ほりがねの里」の指定も受け、すぐ近くには「臼井吉見文学館」や「歴史民族資料館」があり、半日は優に楽しめます。
堀金村の人口は約8800人、そのうち約半数が農業に従事し、米(コシヒカリ)、酪農、リンゴなど果樹生産が盛んです。
野菜は転作作物として栽培されるようになり、いまではJAあづみを通じて多くの野菜が市場出荷されています。
ほりがね物産センターは1996年にオープンしました。初めは自家用に野菜の生産を始めた農家の女性たちが、野菜を持ち寄ってプレハブ施設で朝市を開いたのがきっかけでした。彼女たちが約5年間地元の人たちに支持されてきた実績が認められたからこそ、行政も村全体の活性化のために、立派な施設を設けて側面から支援してくれたのです。裏手には農産物加工施設も造られました。
ここを運営するために、生産者たちによって「旬の味ほりがね物産センター組合」が組織されています。139人のうち、女性が約90%を占めるというのが、この直売所の大きな特徴と言えます。幅広い年代層の女性たちが元気な農業の担い手になっています。
というのも、この地域では、農業をしたことのない人達に野菜や花の栽培を指導する体験農場に力を入れていて、農家に嫁してきた女性たちの多くがここで学び、直売所へ出荷する新戦力になっているからです。
当番制で早朝営業を支える
ほりがね物産センターは朝7時に開店します。「勤務先の人達に買ってきてくれと頼まれる」「出勤前に買いたい」という要望にこたえて、早朝に開店しています。
午前6時半には裏手の搬入口が開くため、6時ごろから生産者が集まってきます。搬入口の前に昨日売れ残った野菜がコンテナに入れて出してあるので、そこにないのを確認してホッとしたり、残った野菜を片付けたりしています。
売場はさほど広くないが、品数の多さが自慢。来店客とふれあうことで、ますます栽培に力が入る。売り上げは初年度の3億6000万円から順調に伸び、6億円をめざす勢い。
タキイ種苗作成(園芸新知識より)
搬入口が開くまで、世間話をしながら待っている時間が楽しそうです。軽トラックで来る人もいますが、バイクや自転車の荷台に箱を載せて運んでくる「小口納入派」など様々です。早朝は男性が多くやってきました。
店内は約3分の2が野菜の陳列スペースになっています。早く来てよい場所を確保すると、後から来た生産者はそれに準じて置く場所が決まっていくようです。カボチャ、サツマイモなど日持ちのする野菜を除き、葉物など多くの野菜は袋詰めで陳列されていました。営業時間が長いので、鮮度保持のための工夫が見られ、天井近くには、館内が乾燥しないように水蒸気を噴出す加湿器が2台設置されていました。
量目と価格は大半の品目で決められています。野菜が高値のときでも一定金額なので、生産者から値上げを希望する声があがることもありますが、目下のところ、ある程度決められた量目と金額の範囲内で調整するしかないそうです。
開店時間が近づくと、買い物客の多くが車でやってきます。開店と同時に店内になだれ込み、お目当ての品物に向かって一直線です。この直売所を利用するのは、周辺に住む勤労者世帯が多いので、必要なものだけ買っていく姿が多く見られます。「ここへ来れば水もしたたるような野菜がいっぱいあると言われます。一番てきめんにわかるのがトウモロコシの味ですね。カボチャだって一番果で収穫したものはおいしい。野菜の味の違いがわかったお客さんは、まとめて買うと、直売所で買う意味がないからとこまめに来てくれる。ありがたいです」と青柳祝作物産部長が教えてくれました。
開店から朝10時頃までがピークです。開店後も生産者が搬入にやってきます。生産者と会話をかわしながら、陳列を手伝ったり、レジを打ったりしていたのは、直売所のスタッフと思いきや、組合員が交代で担当していました。当番は平日朝7時から9時まで、土・日曜日は終日担当し、月に平均3回まわってきます。組合員が販売活動に参加することで、自分たちの直売所だという自覚を持つことができ、単なる出荷者と直売所という関係からもう一歩進んで、自分たちも運営に参加しているのだという意識が強くなってきました。と同時に、他人の作ったものを見るのは、とても勉強になるのだそうです。ですから、当番の人は決して休みません。各人が「レジ係」「何でもご相談係」「お客様係」の名札を付けて、忙しそうに働いています。
8時半になると直売所のスタッフがやってきて、ミーティングや引き継ぎをします。このころになると、若い女性生産者が青果物を運んできます。夫や子供たちを職場や学校へ送り出し、家事が一段落して納品にくるのです。ブルーベリーやラズベリーなど数種類のベリー類をパックしたものなど、若い人の感性を生かした商品も出荷されています。
施設内の食堂では地域で生産された米やそば、農産物を使った料理を提供していますが、そこを支えているのも生産者を含めた女性たちです。
また、裏手の農産物加工所も女性パワーに支えられています。加工部は、みそ、もち、漬物、ジュース、惣菜、パン部門の許可をとってあり、地元の人たちの委託を受けて加工も行う施設になっています。おやき、まんじゅう、山菜おこわなどが曜日別に製造販売され、直売所内に特設コーナーもできています。ここでは作りたてを温かいうちに食べてもらうことを基本にしています。加工施設のすぐ隣に販売施設があることが強みです。
「野菜だけだと客単価も1000円くらいですが、加工品があるおかげで1400円前後に上がっています」。常勤役員として物産センターの切り盛りをしている総務部長の臼井美和子さんがそう説明してくれました。
安さと多彩な品種が魅力
そして、この直売所のもう一つの特徴は、役員6人のうち、2人を外から招いているということです。三沢正善組合長は村会議員として行政手腕が期待され、長田廣副組合長も組合運営のために招かれました。
早朝に搬入口に集まる生産者。6時に搬入口が開くため、5時半ごろから集まってくる。
↑7〜10月にかけてが客のピークになる。1日の時間帯では7〜10時に客が集中する。
ベリー類をパックしたもの。この直売所では農家意外のところから嫁いできた若い主婦たちが直売所を支える力になっている。
お孫さんと一緒に出荷。夕方になるとほとんど品物がなくなってしまう。残るのをきらって、生産者も3時すぎには補充しなくなる。
加工施設は直売所の裏手に併設されている。
「この周辺は朝市がいくつもあって競争していた。競争の中にあって、組合員が販売のノウハウを知っていたから、成功したんでしょうね」(三沢組合長)。
加工施設を併設した効果もあり、開設以来売上げは伸び続けて現在約5億円をあげています。生産者への支払いは月に1回手数料は10%です。JAあずみを通じて野菜を出荷している人もいれば、米や花を主力に栽培しながら野菜を直売所に出荷している人など様々です。しかし、なんとか売れるものを作っていこうという研究心はみな旺盛で、ナス、キュウリ、トマト、カボチャ、キノコなど、ポピュラーな野菜も生産者により多様な品種が作られています。紅オクラ、ハーブ、ミニカボチャ、ズッキーニなど新顔の野菜も手がけられ、春は山菜、秋は松茸と季節の野菜も登場し、来店客からは「ここに来れば何でも間に合う」と好評です。生産者も出荷が集中しないように、ビニールハウスで出荷時期を調節するなど販売を工夫しています。
後列右から臼井亮子副組合長、三沢正善組合長、青柳祝作物産部長、長田廣副組合長、前列右から浅川みちこ副部長、長瀬令子副部長
右から総務部長の臼井美和子さん、従業員スタッフの宮沢美好さん、丸山たつ子さん、丸山くに江さん。
また、冬場はどうしても品目が減りますが、気候の温暖な愛知県渥美半島のJAなどと提携して仕入れたり、市場仕入れを活用したりして品揃えしています。
こうして年間の来店客は30万人にも達するようになりました。イベントを実施すると1日に2000人は来場します。
直売所や道の駅が周辺に多くできてきましたが、ほりがね物産センターが地域随一なのも、野菜の品質がよいのはもちろんですが、苦情が言いやすく、明るい雰囲気の店であるということも大きな要因になっています。来店客が多いと、店が活気づき、さらに客を呼ぶという効果をあげています。
食堂にも女性たちの活気があふれている。
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