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タキイ種苗株式会社発行 園芸新知識 12月号掲載(2001)より

  各地の直売所をめぐって
生産者たちが生き生きしている写真を使ったレイアウトがうれしかったです。
HPだけに書く感想

 この取材はすごく楽しかったです。雨に降られたのはJA紀の里「めっけもん広場」だけで、ほかは天候に恵まれました。

 夜中の3時に東京を出発したり、泊まりがけの出張のときには、前日に閉店間際を見て、翌朝生産者が納入するところから見学したりしました。じっくりと取材したという充実感はあります。

 こうした取材の機会を与えていただいたタキイ種苗さんには本当に感謝しています。ありがとうございました!!
 1年間12回にわたって、各地の直売所を取材してきました。この取材を通して、生産者と消費者の関係、これからの農産物の販売について私なりにまとめてみました。

 12直売所のうち、生産者が直接運営、経営をしているところが3件、JAが運営している直売所が9件でした。これらのすべての直売所について言えることは、世代によって形態は変わりますが、何よりも生産者の熱意が伝わってくることです。年齢の高い生産者にとっては、自分たちだけでは市場出荷するだけのまとまった量は生産できません。しかし、ほかにすることがないので農業を続けていたという生産者が多くいました。直売所を通して農産物を販売することで、農産物作りに再度情熱がよみがえり、精神面・健康面でも変化が現れたという生産者が、取材したすべての直売所で見られました。ただ、生きがいだけで農業をすると、原価意識などが希薄になり、低価格路線になりがちなので、同じ直売所で販売する若い世代の生産者から見るとやや不満ということもあるようです。

 若い世代の生産者は、自分たちが生産から販売まで行うことにより、利潤の上がる農業を実践するようになりました。消費者の好みに合った野菜作り、労働コストを低減できる品種選び、生産者の特徴を消費者にアピールできる野菜の提供などを進めています。

 また、直売所ができるまでは、ほかの生産者との交流が比較的少なかったのが、直売所を核として横のつながりができ、各生産者の情報交換も活発になり、生産者の結束が強くなりました。

 消費者から見ても、直売所を通して地元の農業が見えるようになったことが大きなメリットです。すべての直売所で、地元産の農産物を前面に押し出して販売しています。消費者は、生産者の顔が直接見えるので安心感があります。さらに、珍しい野菜の食べ方や保存の仕方などを直接生産者から教わるというようなことがすべての直売所で見られました。消費者の希望を生産者に直接伝えたり、直売所を通して伝えることができ、品質の向上や、新しい品種を栽培するきっかけにもなっています。
 同じ商圏にある量販店などとも、特に競合関係とならず、それぞれの特徴を生かして共存しているところも多くありました。

 反面、目に付いたのは、比較的年齢の高い生産者は品種についての知識が乏しいということでした。例えば、「このホウレンソウの根は向こうのホウレンソウと比べて赤い色が濃いが、品種が違うのですか」と聞いたところ、しばらく考えて、「うん、ホウレンソウだよ」というようなことも多々ありました。やはり品種の特徴を理解して栽培することで、さらに効率的な栽培が可能になるのではないでしょうか。

 市場流通では、収穫から販売までに時間がかかり、どうしても販売しにくい野菜があります。直売所では収穫から販売までのタイムラグがほとんどないので、流通によって鮮度が著しく落ちる野菜などが販売できるのもメリットとなります。

 取材したすべての直売所の共通点は、収益をあげて事業としても成功していることでした。また、直売所の経営者、運営者、職員、従業員の「農業に対する熱意」や「生産者に対する温かい目」が感じられました。直売所という農産物の販売形態は地域に定着しつつあります。

 農業の裾野を広げていくためにも、直売所という形態が地域に根づき、継続していってほしいというのが私の結論です。