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りんご
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point01.gif (110 バイト) 酸っぱいりんご[盛岡50号]について.1
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 酸っぱいりんご「盛岡50号」について -1-


 ボクは「盛岡50号」である。といっても、試験場で名づけられた仮の番号であって、名前はまだない。このままでいくと、名前もつかず、一般にもお目見えせずに消えてしまう運命にある。果物は国の果樹試験場や民間の育種家(会社)などで品種が育成されると、品種登録されて苗木が生産者に販売される。だけど、なんでもかんでも品種登録されるのではなく、見込みがないと判断されたものは品種登録もされずにいつしか忘れ去られていく。そういうものがいかに多いことか。人間界でもたくさんの応募者のなかからオーディションをしてアイドルが生まれるけれど、果物業界でも選ばれて消費市場にデビューするのはとても難しいんだ。
mori01.jpg (12589 バイト) 「盛岡50号」という名は農林水産省果樹試験場リンゴ支場でつけられた。1976年に「はつあき」に「スターキング・デリシャス」を交雑してボクが生まれた。といっても交雑した種子をまいて、育てて、80年に125個体を圃場に定植した中からようやく1983年にボクが誕生した。個体番号は「4-268」である。

盛岡50号

 それからがさぁ大変。1989年から1997年まで「リンゴ盛岡50号」として地域に適応するかどうか、いろいろな系統適応性検定試験が実施され、検討されたんだ。だけど、残念ながらボクは甘みが少なくて酸味が強いという欠点が致命的とされてしまった。それと、年により収穫前の落果が発生することがわかったんだ。これでは生産者の人も心配だよね。で、結局、品種登録をしても普及の見込みはないということが決定されてしまった。

 でも、聞いて。誰にも長所はあるようにボクだって長所はあるんだ。果実が大きくてとてもきれいな色で、すごくハンサムなんだ。果肉もリンゴのサクサクッとした歯ざわりで、ジューシー。紅玉は甘酸っぱいリンゴとして人気があるけど、ぼけやすいでしょう。ボクは果肉が硬くて、日持ちもするし、うまくすれば紅玉にとって代わるなんて期待していたのだけど。 mori02.jpg (8437 バイト)
盛岡50号の果肉

 ボクの親になった「はつあき」ってすっごく色がきれいで、甘酸っぱくていいリンゴだったんだ。でも、いいとなると、適地でないところもワーッと作るから、当初の素晴らしさがなくなってしまったって果物屋さんが嘆いてる。

 で、なぜボクがここに登場したって? 「甘いリンゴばかりじゃなく、酸っぱいリンゴがあったっていいじゃないか」って、青果物研究家の江澤正平さんがボクをなんとか世に出そうとしてくれているからなんだ。紅玉は加工用にも最適だけれど、加工に向く品種があったっていいということなんだ。酸っぱいっていったって、夏みかんみたいなのを想像しないでね。

 万惣、銀座千疋屋、高島屋、三越、伊勢丹などに入っている果物専門店で組織する食べ比べの会「四季の会」でも、江澤さんの呼びかけで盛岡50号を試食してみて、とても好評だった。

mori03.jpg (13720 バイト) 「確かに酸味は強いけれどいやな酸味ではない。後味がよい」
「さわやかな甘酸っぱさがいいね〜」
「消費者が多様化しているのだから、こういうリンゴがあってもよい。売り方しだいだ」

 江澤さんは料理の先生やシェフの人にも生で食べたり、加工したりして食べ比べてもらって意見を聞いた。そうしたら「使ってみたい」「なかなかおもしろそう」と好感触を得たんだ。

りんごの試食会


 リンゴって北のほうへ行くほど酸味が増していくんだって。だったら、「岩手県特産の酸っぱいリンゴ」として売り出してくれればいいのに。「このごろのリンゴは甘すぎる」といってぼやいている人も多いそうだから、ボクみたいなリンゴは受けると思うのにな。

 岩手県の皆様、ボクにもう一度光を当ててください(というより、これを書いている人が酸っぱいリンゴが好きだから、こんなに応援してくれるんだね)。

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