あけび
 あけびはつる性の植物で、紫色の実を付け、木の実は熟するとパカっと口を開けたように割れます。市場に出回っているあけびが割れていないのは、割れてしまうと商品価値がなくなるので、完全に熟する前に収穫してしまうといったところでしょうか。

 あけびは、割れた紫色の果実の中の白い部分を食べます。この白い部分が熟して半透明のようになってくると、食べ頃となります。あけびの白い部分には小さな黒い種が多く、甘いのですが結構食べにくいです。

 あけびを知らない人が、白い中身を捨てて、紫色の皮を食べたと聞きましたが、実は最近その話が笑い話ではなくなってきています。旅館や料亭では、実ではなく皮を料理として利用しているそうです。あけびの皮に詰め物をして、蒸し物や揚げ物にしたり、皮を細かく切って炒めたり、ゆでたりしてあくを取ったりします。本などで紹介されているあけびの料理法のほとんどが皮を利用した料理です。

 あけびの皮の料理はいわゆる「副産物」の利用法??、いえいえ、どうも最近はそうでもないらしいのです。あけびの選び方も、皮の厚いとか薄いとか、硬いとか柔らかいとか、そういったことが重要になってきています。

 あけびが栽培されるようになったのは80年代後半のことです。つまり、全国的に野生のあけびが多かったこと、はっきり言ってそんなにおいしいものではないということで、そんなに商品価値のあるものではなかったようです。

 現在、山形県では地域の特産物として、あけびの栽培に取り組み、全国の生産量150tの大半を占めています。昔からこの辺りでは、秋の彼岸にお供え物にする習慣があり、農家では自家用の日よけ用にあけびを植えているところが多かったそうです。

 東北地方では、あけびの新芽を酢の物やお浸し、和え物、汁物の具などの山菜として昔から利用してきました。

 都会では「知らないもの」であったし、田舎では「どこにでもあるから、お金を払ってまで食べるものではない」といったところだったのでしょう。それが、「グルメブーム」であけびが都会に紹介され、付加価値(珍しさなど)も加わって、あけびを栽培する農家が増えました。8〜10月にかけて出荷され、秋の山里の風情を演出してくれる果物として 店頭に彩りを添えてくれます。