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(株)フルーツのいも平

386-0012 長野県上田市中央2-4-1

営業時間8:30〜19:00  年中無休

「旬の果物 いも平」と染め抜かれた暖簾が赤いテントとコントラストをなしている。いも平といえば、名産品の多い上田市でも有名な果物店である。店に従事するのは5人

堀 敏子会長(左)「今日は、お嫁さんがいなくて残念。いまやすっかり2人に任せているんですよ」。店も人材も育った。堀 康弘社長は不況の時代だからこそ品質本位の品揃えで地方発送に力を入れる

 ●いも平さんと親しまれている店

 
上田市は人口12万6000人、長野県東部の中核都市である。産業としては、ブドウやリンゴなどの果物の栽培が盛んで、農業従事者は約1万4500人と1割以上の人口を占め、近隣にも巨峰で有名な東部町など果物産地に囲まれている。そうした恵まれた中で果物店経営をしているのが、駅前から続く目抜き通り「上田中央一番街」海野交差点角にある「フルーツのいも平」である。

 フルーツのいも平という名前からもわかるように、大正初期にイモを扱う青果商を始めた初代周平さんが「いもの平さん」と呼ばれていたのが店名の由来。一度聞いたらどんな店だろうと思われるところがみそだ。

 ユニークな店名だが、いまでは地域一番店として親しみを込めて「いも平さん」の呼び名で通用している。(財)食品流通構造改善促進機構の第11回優良経営食料品小売店等全国コンクールで農林水産大臣賞を受賞した(有)御菓子処 花岡は巨峰やクルミの生産で有名な東部町にある和洋菓子店だが、リンゴや巨峰など長野県の特産果物を使ったケーキを作っている。素材の味のよさにこだわっているので、いも平店から仕入れているという。

 堀敏子会長は、果物専門店としての創業者であるご主人の急逝後は、女性社長として本支店を切り盛りしてきたが、現在は後継者の康弘さん夫妻に任せている。1970年代には5店まで拡大したこともあったが、のれん分けやスーパー内テナント撤退などを経て現在は、上田市の同じ町内に本店、海野町支店がある。
   ●改装し、よりコンパクトに
 
 本店は2001年3月に改装した。もともと23uほどの売場面積しかなく、以前は道路の2面にオープンにしていたが、改装により一部をふさいだために、こじんまりとした印象の店になった。 

 しかし、旬のものを大量に店頭に出して販売するようなイメージがあった以前の店に比べ、今度は取り扱う果物にふさわしく高級感のある店づくりになっている。また、商店街自体がアーケードを外す街並みになったので、プラスマイナス両面あるだろうが、店自体が明るく、目立つようになった。

 もともと贈答用や見舞い用の果物ならばいも平へという人は多い。洋菓子店など業務用納入や冠婚葬祭用納入なども何十年と続き、手堅い経営をしてきている。

2001年春に改装した。商店街もアーケードを外したので、全体が明るくなった。

 「人通りも少なくなったし、あまり商品を置いても売れないので、本店はこれぐらいでいいかなと思っています。ただし、ここでは販売や注文を受けるだけです。海野町支店はここよりも広く、いも平の倉庫も兼ねていますので、葬式用のかごづくりや地方発送の作業などは、支店で行っています」(堀康弘社長)

 長野県は果物産地であるだけに、地方発送には力が入る。夏場のモモから秋は巨峰を筆頭に、ロザリオビアンコ、ロザリオロッソなどのブドウ、サンセーキ、南水などの梨、マルゲリット・マリラ、ラ・フランスなどの西洋梨、千秋、ふじなどのリンゴと地方発送のシーズンが延々と続く。
 
 中でも発送量が多いのは、リンゴのふじ。リンゴは「いも平」の店のマークにもなっていて、長野県を代表する果物でもある。リンゴのシーズン中は、一時も休めないほど忙しくなる。

旬の果物」と暖簾がかかった入り口側を店内より見た
入り口は2か所あるが、暖簾側から見た店内
 「店が狭いので必要最小限しか置けませんから、売れ筋商品に絞り込んで売場を常に変化させて常連客にも飽きさせない工夫をしています。確かに売上自体は年々厳しいですが、それはどこの商売も同じ。地方発送で喜んでいただける商材があるだけでも感謝して仕事をしています。でも、まだまだ甘いですね。もっと営業努力しないとね」と気をひきしめている。

 パソコンを使ってカラーのチラシを作成し、特約している生産者の果物を「旬一番の味 朝取りフレッシュ便」といったキャッチフレーズで注文を受けるようにしている。
 長野県だけでなく、ラ・フランスやオーロラなど他県産のものも積極的に扱い、品揃えを充実させている。

 盛りかごといえば、かつては果物店の独占のような形であったが、最近は競争相手が増えてきた。法事葬儀の場合も市内の葬儀会社と提携しているので、果物の需要は多い。「いも平オリジナル」のスタンド式マグノリアフラワーは、シンプル、かつ環境にやさしくリサイクルできるものだという。生果物、フルーツゼリー、缶詰などを時期や好みによって選んでもらっている。

 ●売場の狭さは心くばりでカバー

 店頭は「旬のくだもの」と紺地に白抜きで書かれている暖簾が赤いテントとコントラストがよく、目を引きつける。外壁に季節の入荷商品のお知らせを書いたボードを掲げ、店頭のテントでお買い得商品を展示、店内へ誘うようにしている。

 これらもパソコンを使って書いているので、「スペシャルプライス」「シーズンプライス」「Sale」と銘打っていても、お値打ち品が安くなっているように感じさせる。パッケージも紙皿を用いて、環境に配慮している店というイメージは十分に伝わる。

 また、「市内配達承ります」とガラス壁面に書いて示しているのもわかりやすくてよい。

 店内はメロンや盛りかごなど贈答品が中心。充分に並べきれないが、見本写真を掲げたり、手作りの販促物を使ったりしてアピールしている。加工品も信州特産金杏といった珍しいものや杏ジャム、りんごチップ、チョット高級なゼリーなど、特産果物に関連したものを揃え、きめ細かな配慮が伺える。

 「お客様に喜んでいただくのだという気持ちが大切。毎日が勉強、努力」と堀会長は言い続けてきたが、その思いは、後継者夫妻にも受け継がれているようだ。

 売場は小さいながらも、高級感があっておしゃれで、居心地のよい店舗になった。地方発送、業務用・葬祭用納入などに比べれば店売りの割合は少ないのかもしれない。しかし、産地の果物店は、まだまだ元気なことを証明している店である。(2002.5月号)

陳列にはパックやザルでなく、紙のケースを用いている。葬儀用のかごなどもリサイクルできるものを開発し、環境に配慮した姿勢を示している