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(株)石塚園

〒124-0013 葛飾区東立石3-1-11

営業時間9:00〜19:00  年中無休

 店前の道路は、都道308号線(通称「平和橋通り」)、新小岩と綾瀬を結ぶ路線のバス停がすぐ前にある。上の写真手前は公園なので、自転車を止める場所には困らない。1998年より果物と食品(生鮮食品を除く)に取り扱いを広げていたが、店の隣地を買わないかとふってわいた話に乗って、新店を7月にスピードオープンさせた。

 屋上は増設を考えて設計した。建物はユニークな目立つ色。左の建物は旧店舗。客の集中するピークはなく、各時間当たり10%の来店率なので、従業員は余裕をもって接客ができる。野菜と食肉を新たに加え、食品ミニスーパーの趣になった。顧客の年代も若い客層が増えた。POSデータはリアルタイムで判断してこそ生きてくるが、ここでは売場の隅にPOSデータ管理用のパソコンを置いている。

 ●経営はスピードが大切 
 
 石塚園は京成電鉄立石駅から、奥戸街道を10分ほど押上方面に行った所に位置する。周囲は新しい高層住宅なども点在するが、いわゆる東京の庶民の町のたたずまいが色濃く残る地域である。
 
今まで営業していた店舗の隣に、3階建てのビルを新築し2002年7月27日に開店した。取材したのは開店からまだ3週間ほど、細かい手直しなどで工務店の人たちが出入りしている状態であった。
 
新店舗の話は、昨年9月「隣接地を買わないか」という話が持ち上がったことから予想もしない展開を見せることになった。
「返事を急ぐ必要があったので、いろいろと条件を検討してみました。今までは、店舗は借りて家賃を払ったほうがよいというのが持論でしたが、土地の価格も下がり、建設費もバブルの頃と比べるとずいぶんと安くなった。計算してみると、建築資金の返済を考えても建てたほうが安くなり、倉庫なども集約できるというメリットがあったので、11月半ばに結局土地を購入して建築するということに決定しました」
 
経営はスピードという言葉をよく聞くが、石塚茂幸社長にとってはスピード決断だった。

 新築工事が始まったのが3月半ば、竣工が6月29日と建設も超特急で進んだ。施行した工務店も当社の新記録ですと驚くほど。
石塚茂幸社長。
「果物はまだまだ売り方によっては売れる」
売場の上にある倉庫。空調機も大型のものを設置して、温度管理もきちんと行う
午後3時頃は若い客が多かった、左の冷蔵ケースは、新規商品の肉類を入れてある。奥に見えるのは、店内防犯カメラのモニター
 ●店の概要
 
 敷地面積211u、売場面積139uなので、旧店舗とはほとんど変わってはいないが、間口が旧店舗では6mしかなかったのに比べ、22mとなったのが大きく、客の流れがスムーズになった。
 
 建物の外観は、どこからでも分かるように、あえて目立つ色にした。
 
 「小売店はやはり目立つということも大事な要素だと思う。もっと派手に蛍光のオレンジ色、しかもラメを入れようと考えていましたが、さすがに近所からやめて欲しいという声があったので(笑)、現在の色に落ち着いたんですよ」

 1階は店舗、2階は倉庫、3階は倉庫と事務所というようにし、倉庫部分を大きくとったので、旧店舗に比べ総面積で約1.5倍広がった。屋上にも荷物を置けるようにしたので、その分を含めると約2倍の広さを確保している。旧店舗のときは、店舗から100m程のところに倉庫を借りていたが、自社の倉庫ではないため、空調設備などが設置できず、果物の保管などに制約があった。このため、業務筋の販売は前日に予約してもらうようにしていたが、空調を完備させた新店舗では、果物の保管が問題なく出来るようになったので、業務筋への販売もいつでも対処できるようになった。

 売場は、果物を陳列するスペースが3分の1を占める。新規に扱うようになった商品は、肉類と野菜である。野菜は今回のオープンに向けて2か月前から買ったりする練習をしていたので、スムーズに取引できる体制は出来ていた。これで一通りの食品がそろったことになる。

 売場は、壁面に冷蔵ケース、空間に棚を3列配置した。天井は金網張りだが、こうすると配管の変更などに対して、いちいち天井板をはがさなくても作業が可能だからだ。また
、万引きの防止策として、各棚の天井には小型の防犯カメラを設置。店内に8台あるモニターを客からも見えるようにした。最近は年齢性別に関係なく、死角があると平気で万引をする風潮になってきたので、「やむを得ない措置とはいえ少し悲しい時代」だそうである。

 入口の反対側には、搬入用の専用口を設けた。ここから、2階、3階の倉庫へ運び込む、このため、エレベータは1,300kgの積載量がある大型のものを設置した。初期投資はかかったが、このエレベータのおかげで、入出庫作業もスムーズになり、従業員の負担も軽減されるのだから、長い目で見れば安いものだ。 

 ●新規オープンからの客入り
 
 新規開店の時には特に目立った販促活動はせず、「開店」とだけ書いたB4サイズのチラシを配布した程度である。

 あまり派手は客寄せをすると近所へ迷惑がかかると考えてのことだったが、結局、約2500人の行列が店の前に出来、買物が出来るまで1時間位かかるほどの状態となった。旧店舗でも全商品50%引き閉店セールを行い、商品を売り切ったそうである。引っ越しは業者に任せ、思い切って5日間休み、3日間工事、その後、2日間で陳列・オープンの準備をし、無事間に合った。1998年に食品を扱い始め、顧客の一番多い年代は60歳代であったが、新店舗になってからは果物以外の生鮮食品も始めたので、子供を連れた若いお母さんや、若い男性客など年齢層も広がってきた。

 「小売店が量販店と対等に渡り合っていくには、品質と価格だと思います。品質が劣る品物で価格が安くても客の支持は得られません。品質を維持して、なおかつ低価格ということが実現できるのは小売店だけです。量販店は目玉商品は確かに安いが、その他の商品については、それほど安くはない、石塚園は品質はもちろんのこと、価格でも充分に渡り合っていくことが出来ると考えています。量販店は流通経費、運営コストを削減して低価格で提供といっているが、量販店を支える人の数は小売店の比ではないですから。

 果物も同じで、量販店のものとは品質が決定的に違います。果物屋の将来に希望がもてないという人もいますが、そうとは思えません。今まで、売る努力をしてこなかったのではないでしょうか。私の店では、今後もっと果物を売っていきたい。そのために、旧店舗では菓子を売り、今回は販売する商品も食品全体に広げたのです。まだ、開店して3週間ほどなので正確なことは言えませんが、新しく来店してくれるようになった人は、目的の食品を購入したあと、果物も見てくれるようになってきました。レジに行くには、果物の売場を必ず通るようにレイアウトをしたので、効果があったと思います。とにかくお客に関心を持ってもらうことが大事です」

 開店3週間の売上げは、オープン日こそ例年の200%に達したが、これはあまり参考にならない数字。その後1週間も150%程度が続いた。

「お客さんがオープン時に大量に買い込みすぎたため、来店が減り、去年に比べても現在は約80%位の売上げで推移しています。といっても短期間で結論を出すのは無理で、分析には少なくとも2〜3か月は必要でしょうね。販売価格もメーカーや問屋さんの協力でかなり安くできましたから。果物の客単価は若干減りましたが、販売点数は大幅に増えました」

 今後の展開は、やはり果物を中心としてやっていきたい。果物である程度の売上げを確保していきたいという。しかし、嗜好品としての果物だけで集客をするのは厳しい面もあるので、売り方を考えていく必要がある。 

 「うちの店はかつてミカンとスイカだけで商売をしていたといっても過言ではないぐらいだったんですよ。

 5年くらい前まではミカンも箱売りが多く、かつて一番売れたときには1日に1000箱というときもありましたが、今では売れるときで300箱程度になってしまいました。ミカン1箱が5000円、6000円という時代になってしまうと、どうしても箱売りは難しいですね。

 核家族化が進み、3人家族で6000円のミカン1箱を消費するという状況は不可能と言ってもよいぐらいです。当店のように大通りに面した店舗形態では、果物の箱売りでドーンと売るのが基本的なやり方でした。しかし、今後は細かく売るというやり方に変えていく必要があると考えるようになりました」

 細かく売るには、新店舗で実現できた食品ミニスーパー的な形態で、商品の種類を増やし、客の反応を見ながら他の商品と一緒に果物を買ってもらう必要がある。現在果物の支持率は、販売データを分析した結果、50%あるそうだ。一般のスーパーなどでは3%位しかない状況を見ると、この数字は高い支持率を示しているといえるだろう。果物を買うならば石塚園へ行こうという客がかなり多く、果物にこだわった買い方をしている。顧客は、かなり遠くから買いに来る客が多く、フルーツに関しては競合店の存在はない。贈答用の利用も多く、冷蔵ケースの上には盛りかごが置かれていた。近くには、全国チェーンのスーパーがあり、そうした環境の中で、不況も知らず売上げを伸ばしているのは立派といえるだろう。

 ●果物店出身の誇りをもって

 一時期、果物の割合が30%と低迷した時期があった。そこで、果物というものをもう一度見直してみようと考え、同業者など様々な人たちと話をしてみた。

 「そこで、気付いたのは、果物が売れない、売れないと言っているが、よく考えてみると本当に売っていたのだろうかということに思い当たったんです。量販店で買う果物と、小売店で買う果物では客の意識は明らかに違います。客は小売店で買ったほうがおいしいということはよく知っている。だったら、客に密着しての販売が必要だと考えました。さらに、当店の果物に対する思い入れを強く客にアピールしたこともお客の支持につながったと思います。

 その際、試食をどんどん出して、その分、仲卸さん等に協力してもらいました。全国の果物店が果物に力を入れれば絶対に売れると思います。だって、こんなにおいしいフルーツを買わないわけはないですから。売れないのではなく、お客さんに気付かれていないだけですよ。絶対売れます。産地と卸・仲卸に協力してもらい、フルーツを普及させましょう」

 ●台車、コンピュータ、果物をパワーアップ

 客層は、果物を中心に販売しているときはほとんど40歳以上の顧客ばかりだった。特によく買ってくれる客は60歳代が中心だったので、あと10年経ったら顧客はいなくなってしまうと不安になったこともあった。ところが
、他の食品を扱うようになってからは、客の年代も下がり、あらゆる世代が来店するようになってきた。

 石塚園では、前店舗から省力化を図る意味で台車を活用していたが、新店でも台車は大活躍している。

 売場で働く従業員は女性が80%と多いので、力仕事を減らすため、商品を台車に乗せて運び、そのまま陳列台にしているのである。特に新店舗では、売場に柱をなくしたので、効果はさらに大きい。上階の倉庫からエレベータを利用して売場に運び、短時間で並べることができる。150台あった台車を、新店舗では450台と一気に増やした。

 果物以外の食品については、ロットをまとめ、低価格で提供できるようにした。店の形態はミニスーパーのようだが、基本的に小売店の雰囲気を出し、安さで数をこなしていく商売をしているので、「石塚園は安い」というイメージが果物にも感じてもらう効果をあげている。

 
また、石塚園の経営の大きな力となっているのがコンピュータである。早くからコンピュータを使って、仕入、在庫、販売管理をしていたが、現在ではこれらのシステムがないと仕事にならないという。顧客の管理は宅配便などの伝票発行が中心で、顧客カードなどの扱いは、システムが古いため、現在は中止している。だが、顧客データはあるので、新しいシステムを使って近々に再開する予定である。
 天井は配線など工事がしやすいようにしている。
 
 果物売場の冷蔵ケース。冷蔵ケースの上は、盛りかごが用意してある、遠方から病気見舞いや、不祝儀用にわざわざ来店してくれる。右横に専用の搬入口を作ったので、商品の出し入れが客と交錯しないで行える

果物売場が約3分の1を占める。箱やパック詰め以外にバラ売りもある。バラ売りは必要なだけレジへ持っていく


 レジはPOSレジ3台で処理をし、POSデータは、売場の隅にあるコンピュータにリアルタイムに流れ込んでくる。このコンピュータで、売行きに応じ、価格の変更処理をしている。売場で処理をすると、商品を個々に確認できるので、間違えて価格を付けるというミスがなくなった。

 3階の事務所にも社員用のコンピュータを増やし、サーバーを置いてデータの一元管理をするようになった。倉庫のスペースが増えたので、コンピュータを使った在庫管理はもっと重要性が増すはずである。インターネットに接続できる環境も整えたが、効果的な利用法については目下検討中である。

 「今回看板を作るに当たって、インターネットで検索して価格を調べ、業者による価格差が大きいことがわかりました。こうした価格の比較ができることなどは、商売をしていく上で非常に役に立ちます。今回、新店舗を建設した目的の一つは、経費を少なくし、その分販売価格を下げるということでした。その意味で、インターネットの有効性が感じられましたね」

 とはいえ、ネット販売などを行うつもりはなく、あくまでも地元周辺の客を対象に、販売を伸ばしていきたいという。
「今後、しばらく様子を見て、新しい販売方法を考えていきたい、例えば惣菜なども扱いたいし、業務筋への販売も増やしていきたい。商売は、固定観念で考えないで、柔軟に販売方法や扱い商品を変えたりする必要があると思います」

 果物はこれからも主力として扱っていきたいし、石塚園は果物で始まったので、果物をやめることはないと力強く語ってくれた。前向き、スピード、柔軟性が石塚園のキーワードだろうか。
 〒124-0013 葛飾区東立石3-1-11
  棚以外に陳列する商品は、必ず台車に乗せて陳列する。無駄な力を使わなくても、簡単に陳列ができる 果物の専用試食台、下は皮などのゴミ入れ。試食は販売効果が高く、特に価格の高いものほど有効。迷っている客に試食させると、大半が購入する