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(株)大熊果実店

〒500-8842 岐阜市金町2丁目16番地

営業時間9:00〜19:00 日曜定休
大熊果実店のホームページ

 定休日 年中無休(元旦を除く)
従事者数(2F除く):役員3名 他5名

 大熊千晴社長(左)、子息の伸哉さん(東京で映像関係の仕事をした後、入社)。首に名前を書いたスタッフカードを下げて応対。専門店として100%満足してもらえる商品、接客を心がけている

  

 「フルーツ王」は岐阜にいた!!

 
(株)大熊果実店のホームページを開くと店のロゴマークでもあるパイナップルが「いらっしゃいませ」と出迎えてくれる。そこをクリックし実質的なトップページに進むと、真っ先に目に入るのが「王様のくだもの店」と書かれた文字である。

 TVチャンピオン「フルーツ王」の店 大熊果実店と書かれた部分には「いらっしゃいませ。店長の大熊伸哉です。早いもので私がテレビ東京系「TVチャンピオン」フルーツ通選手権に優勝してから10年がたちました。今は実家である当店の店長として贈り物のアドバイスなどさせていただいております。おかげ様で当店は創業60周年を迎え、これからも厳選されたフルーツで皆様にお喜びいただけるよう努力してまいります。このサイトでは私が自信を持っておすすめする商品をご案内致しております。贈り物の参考にしていただければ幸いです。尚、ご紹介しきれないフルーツもありますので、気軽にお問い合わせ頂ければご案内させていただきます。もちろん全国への発送も致しております」と挨拶文がある。

 一般的に、トップページの一番目立つところに店主(店長)の顔写真があるサイトは少ない。それだけに印象が強く、ホームページ全体にわたり、店長が語りかけるようなイメージになっている。TVチャンピオンになった人=スゴイ!と思ってもらえるからより効果的である。

 TVチャンピオンは、大食い競争、甘味女王、ケーキ職人、インテリア、売上げを競う魚屋さんなど、よくここまで考えられるという項目で競い合い、それに対してよくぞここまでマニアックあるいは素晴らしい技術、知識をもつ人がいるものだとひたすら感心させられる長寿番組である。その「フルーツ通選手権」に優勝したのだからはんぱな知識ではない。

 「きっかけは友人のすすめだったんですよ。私は番組を知りませんでした。友人との会話の中で自信満々な態度をとったので、友人が私に代わって応募したのです。番組内容がわからなかったので、果物関係の本を数冊読んだだけで出場しました。

 優勝できたのは、知識よりも味覚に関しての問題が多かったからだと思います。ドライフルーツも含めて、幼少の頃から好き嫌いなく食べていたので、感覚で答えることが多かったです。さすがに害虫を見て何の果物につく虫か?というのは全くわかりませんでしたが、まわりの回答などの中から統計、類推して3品の果物を当てることができました。あれは果物の知識ではなく統計学ですね」

 せっかくフルーツ王の肩書きがあるのだからホームページで積極的に販売をしてもよさそうだが、季節の果物を紹介するにとどめている。

 「現在ネットでの直接販売はしていません。ホームページはあくまでもカタログとして考えています。フルーツなどの生物は実際に見るか、人対人の情報交換が大切だと常日頃感じています。お客様との信頼の元に販売したいので、店売りを重視しています。現在は1週間に1度更新をしていますが、これを見て買いにこられるお客様もいて、反応もまずまずです。フルーツ王に関して聞かれ、そこから会話がはずむこともあります」
 さて、では実店舗のほうを訪問しよう。

 ●柳ケ瀬バス停前で約60年
 
 
(株)大熊果実店は岐阜市営バス柳ケ瀬バス停前にある。歌謡曲にも歌われた柳ケ瀬は、JR岐阜駅と名古屋鉄道新岐阜駅から約1km離れているが、岐阜市の中心地区、一番の繁華街として栄えてきた。

 初代の大熊年夫氏が1939年に本巣郡北方町で果物店を創業後まもなく現在地へ移転し、1948年に土地を取得した。

 1966年に地下1階、地上5階建てのビルを建設。1968年に日本初の超高層ビルである霞ヶ関ビルが建つまでは9階までしか建てられなかった時代だから、初代社長は先を見据えていたのだろう。

 1979年10月には「フルーツパーラーおおくま」をオープンさせ、1階の果物売場は大熊千晴さん、伸哉さんの2世代が担当し、2階のパーラーは千晴さんの弟、大熊聖三さん夫妻が営業している。お店は高級感があふれているが、若い感覚もいっぱいで、2代目の千晴さんは3代目伸哉さんに全幅の信頼をおいているように見える。そこで、今回は伸哉さんにお話を伺った。

 「10年前に比べると、郊外に大型SCが進出し、柳ケ瀬商店街はずいぶん衰退してしまいました。平成になってからは柳ケ瀬ルネッサンス計画、柳ケ瀬21世紀ビジョンと活性化事業が進んでいますが、いまひとつという感じです。もともとは専門店街ですが、100円ショップなど安さを売り物にする店も多くできてきて、果物も近くに激安店が開店したので自宅用品の売り上げは減少しています。それに加えて、景気の低迷で客数が減少しています。

でも、そのおかげで、ギフト専門店としての立場が明確になったというか、明確にできた気がします。客単価は、この景気状況の中でも減少することはなく、まずまずの状態です。今では売り上げの80%ほどがギフト商品です」

災い転じて福となす。パーラーができたばかりの頃に訪問したときには、店の奥に広い作業台があったのが印象的だった。それだけ冠婚葬祭の盛りかご注文が多く、とりわけ年間を通じて「店の顔」となるマスクメロン、地方発送のメインとなる富有柿には力を入れていた。そのころからギフト用の特製箱を10種類以上オリジナルで作成していたから、先進的な果物店であったといえるだろう。

 その姿勢は現在も変わらないが、仕入れの工夫などで、贈答になる果物を増やしてきたことが贈答の割合向上につながっている。
高級な盛りかごやギフトもオリジナリティを出す工夫をしている

 この店は間口、奥行きともに約14mあり、以前の店は見通しがよく、だだっ広いという印象だった。このため、壁面を缶詰の陳列で埋めたりしていた。

 今回訪問した店は様子が違っていた。全体的に茶色の落ち着いた色調で、中央の太い柱の中央部分がショーウィンドーにもなる陳列ケースになっている。
その前面にある陳列台はキャスター付きなので自由に配置できる。壁面には絵画が何点か飾られ、店内はゆとりある陳列になっている。商品の一つ一つに丁寧なPOPが付けられ、高品質なイメージをより一層高めている。全部パソコンによる手作りだ。商品のイメージに合わせてカラーの紙も変えている。

 「産地表示や正確な品名表示を心がけ、ポイントを明確にアピールするようにしています。その結果、指名買いが多くなり、リピートにもつながってきました」と、明らかにPOPの効果があがっている。

POPではポイントを明確にアピール

●こだわりの果物、加工品で差別化
  
 POPでいったん購入しても勝負になるのは果物の味である。仕入れは岐阜市中央卸売市場から70%、東京など他市場からが10%、残り20%が生産者直送である。西洋梨、蜂屋干柿 富有柿など。中でも西洋梨はマスクメロン、山形産さくらんぼと並び、「こだわりの逸品」と位置づけている。「幻の洋梨」として知られるドワィアンヌ・ド・コミスとル・レクチェを長野県の農園と契約してシーズン中送ってもらっている。さくらんぼも年々販売が伸びている。 
 「どこにでもある商品ではアピールに欠ける。なぜおすすめなのかを明確に伝える」ことに力を入れ、地道な対話販売で扱いを増やしてきた。

 また、岐阜県自体も果物の産地であるので、夏は飛騨白桃、秋からは富有柿、冬場は蜂屋柿と、地方発送に取り組んでいる。

 これらのギフト類はオリジナルギフトボックスに商品を入れ替えて販売しているが、そのようにすることで自店の商品に責任をもつことにもなり、「信州の西洋梨」が「大熊果実店の西洋梨」というとらえ方をされるようになる。こうして法人関係や年配層の個人客に絶大な信頼を得ている。

 また、果物の加工品についても、2階のフルーツパーラーが作ったカットフルーツ(フルーツヨーグルト、完熟パインカット、フルーツみつ豆、フルーツミックス、フルーツゼリー、静岡メロンカット、フルーツサンドなど)や自家製アイスクリーム(オレンジやメロンなど時期に応じて製造)をオリジナル商品として販売している。とはいえ、2階は全く別会社であり、提携商品として仕入れているのだが、昔からなじんでいる客にとっては店は一つのイメージであり、互いの存在がイメージアップにつながっている。

自家製アイスクリームの隣にカットフルーツのケースを並べている。2階のフルーツパーラーの商品だが、お客にとって店は一つのイメージ

 

 もう一つの特徴として、他店はあまり扱っていない頃からドライフルーツを扱ってきたが、いまや注目されるようになって店頭の特等席に配置されている。ブルーベリー、ドライマンゴー、ドライプルーン、ドライバナナなど約10種類をオリジナル商品として販売しているが、道行く人の足を止める効果は高いようである。

 果物、その他の商品についてオリジナリティがあることがこの店の最大の特長といえるだろう。せっかく「フルーツ王」がいるのだから、ホームページでは伸哉さんのキャラクターをもっと押し出していけばよいかもしれない。だが、大熊果実店の姿勢は、「売り上げを伸ばすことよりも、お客様の満足度を限りなく100%に近づけていきたい。それが結果的に売り上げにもつながると考えています」と、どこまでも堅実である。

 最後にひと言。岐阜に行ったときには、懐石料亭「割烹すみ」(東高岩町20番地、電話058-262-0700) に立ち寄ってみてほしい。

 「私の母(社長夫人:すみ子さん)が経営して、私の弟が板場をしています。基本的には予約制の純懐石料理のお店です。もちろんデザートは当店の果物です」。果物に負けないおいしい料理が出るはずである。お楽しみに。(2003.10)

ドライフルーツの品揃えも豊富

 店頭でも目をひくアレンジ