(本記事は東京青果株式会社 営業管理部 卜部昭子さんに執筆していただきました)
消費者の果物離れが言われて久しいが、甘いもの好きの日本人が好む甘味素材の第1位は男性・女性とも「生の果物」(マーケティング・データ・バンク調べ)という結果があるように果物自体が敬遠されているのではない。
そこで消費者が日常生活で果物に親しむ場の一つの例として、2003年8月にオープンしたばかりの店舗をご紹介したい。
サンフルールの最寄駅である都立家政駅は新宿から各駅停車で15分とかからない距離にありながら、駅前は庶民的な商店街となっている。全国展開のチェーン店もところどころに見かけるが、昔ながらの商店も健在で、人々の生活感を感じるエリアである。
サンフルールは駅のすぐ近く。フルーツ&フラワーの店らしく、店舗入り口には胡蝶蘭をはじめ花の鉢植が並び、華やかな雰囲気に包まれている。
「店づくりのコンセプトはフルーツパーラーに花の美しさを添えることです」とオーナーの平野泰三さん。
平野さんはアメリカ・オレゴン州に留学中、どこの家にも果樹があり、庭いっぱいに広がる芳香にカルチャーショックを感じたという。帰国後フルーツの魅力に魅せられ、新宿高野に入社した経験を持ち、フルーツカッティングの技術に関する本も多数出版している。
●朝7時開店 フルーツ付きのモーニングセット
営業時間は7:00〜19:00。フルーツパーラーにしては開店が早い。「ここは朝日がよく入るでしょ?」と平野さんが言うように店内は自然光で明るい。ここの特徴はフルーツパーラーらしくモーニングセットに(ランチセットにも)、また、コーヒーだけの飲み物にもフルーツポンチがつく。「朝に食べるフルーツは金」という諺のせいかどうかは知らないが、朝から生のフルーツを食べることできる。
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取材に伺ったのは9月のある朝早く、開店直後の7時台から常連のお客様が続けて来店し、モーニングセットをご注文。陽の光が入る店内でゆったりとフルーツをいただいている様子を見ていると、こちらの気持ちもゆったりとしてくる。セットの飲み物のカップもお客様の好みに合わせたものを選んで、サービスする凝りようである。
お勘定を済ませて「ごちそう様、また来ます」という言葉をかけていく品の良い年配のご婦人のお客様もいれば、茶髪で派手なファッションの若い男性もモーニングを注文する。
ちなみにこの男性、店の前を通りがかって初めてサンフルールに来店。一人暮らしのため果物を買って家で食べることはないが「小さい時から果物は好き。特にモモ」。セットのフルーツポンチにモモが入っていて嬉しかったそうだ。 |
| サラリーマンが1人でもくつろげる大テーブル |
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| 素材自体がディスプレイになるのもフルーツのいいところ |
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| フルーツポンチ付きのモーニングセット。これに飲み物がプラス。(写真は厚切りバタートースト) |
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| 生の果物とクリームを贅沢に使ったフルーツケーキ。ケーキをテイクアウトする場合、皮をむくと色が変わりやすい果物は皮とむかずそのままトッピング。ところでサンフルールの生クリームが薄いブラウン系なのは、砂糖キビを使っているから。さっぱりした甘さのクリームは果物の甘さをより引き立てる |
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●お客様に合わせたミックスジュース
メニューの中心はフルーツを贅沢に使ったデザート類。メニューを見ると季節のフルーツパフェ、季節のショートケーキ、バニラアイス・季節のフルーツ添えetcと“旬”にこだわりがある。
重視している素材は?とお聞きすると「マスクメロンです」。マスクメロンが一切れあるだけでも高級感が漂う。しかしながら、口にする機会が少なく、一人で一個を食べるわけにもいかない。だから一人でもマスクメロンが味わえるようとの思いがある。
ミックスジュースも定番のメニューだが、常連のお客様には好みや体調を考慮して作ってくれる。これからお酒を飲む方には胃膜を守るようアボカドを多く、お腹がゆるいようならバナナを多めに、すっきりしたいならグレープフルーツにレモンを搾って、とジュースの作り方も「漢方薬の調合と同じ」なのだそうだ。
オープンキッチンだから、平野さんの手際の良さと丁寧な仕事振りが垣間見える。「お客様に喜んでももらえるなら、私が手間を惜しまなければ済むことですから」。
また、オープンキッチンの良さはお客様とのコミュニケーションが図れること。カットのコツからフルーツポンチの語源、デザートの作り方と「私が知っていることは何でもお教えします」とフルーツを通して会話が弾むこともしばしば。
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シトラス系は皮の苦味が出ないように手で絞る。それから果汁と他の素材を合わせてジューサーにかける
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グラスの縁を飾るフルーツにもひと工夫
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●店で使う果物は吟味した中からさらに選ばれたもの
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| 津軽フルーツの奥様、鈴木アサさん |
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店で使う果物のほとんどは近所の果物店“津軽フルーツ”からの仕入れており、1日に2度、3度と平野さん自らが店に来て選ぶ。
同じ種類の果物であっても、ジュースにするにはジュースに合った熟度のものを、カットフルーツにはカット向きの熟度のものを、ケーキに使うなら適度な硬さのものを、とそれぞれの用途に一番合った状態を「果物が話しかけてくるんですよ」というくらい見極めて仕入れている。
老舗の果物店が吟味して市場仕入れたものから、さらに平野さんが選ぶ。
津軽フルーツ店の奥様のお話では「サンフルールさんはいままで商店街になかった華やかさのあるお店です。地元の人々の生活の場にフルーツに親しむ場ができました」。
フルーツは家庭内外で楽しんでいいものではないだろか。 |
●カッティングでフルーツに親しみを
果物離れの理由の一つは「皮をむくのが面倒だから」。特に若い人はそうだ。カットフルーツの需要が伸びている現状を考えると、皮がむいてあれば食べるわけだ。既存のカットフルーツ商品もいいが、この店では見ていて楽しい切り方をしてくれる。
店内に入ってすぐ目につくのが8人掛けの大きなテーブル。お客様一人で来られても気軽に利用でき、グループにも対応できる便利なテーブルであるが、実はこれは店内でカッティング講習会を開くことを考えての特注品である。お客様からもカッティングを教えて、という要望もあって、さっそく10月から店の定休日を利用して講習会が開かれる。
色がキレイで、形もさまざま“目で見て楽しい”のもフルーツの良さ。その果物にカッティングを施すのもフルーツの楽しみ方の一つ。消費者にとっては、皮をむくのは面倒?でも、自分でカッティングするのは楽しいことなのかも知れない。
●フルーツで人を喜ばせるために
平野さんはフルーツパーラーに勤務していた頃から、果物店の後継者を始めたくさんの人達にカッティング技術を伝えてきた。後継者の中には実家の果物店にフルーツパーラー部門を設け、成功を収めている例もある。
たびたび果物産地に招かれ、カッティング講習会の講師も務めた経験をお持ちだが、毎日果物に触れている生産者も自分達が生産したものが美しく変身する様子に感激するという。 |
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| 人気メニューのフルーツパフェ。下からフルーツポンチ+アイスクリーム2種とカシスのシャーベット+季節の果物たくさん。同じぶどうにしても、生のままと凍らせてシャーベット状にしたものをトッピング。「違う食感が楽しめるでしょ?」 |
果物店の方でも生産者でも、一般の消費者であろうと「フルーツの楽しさを一人でも多くの方にお伝えできるのなら、どこにでも参ります」(平野さん)
そのうち入り口をオープンスタイルにして、果物の香りを道行く人にも楽しんでもらおうと計画中だ。フルーツパーラーと呼ばずに「フルーツテラスです」。
オープン2ヵ月も経たないうちに、サンフルールでのパーティーや既にクリスマスケーキの予約が多数入っているという。「目で楽しみ、香りを楽しみ、味を楽しむのがフルーツ。フルーツからお客様と対話のできる、笑顔のたくさんあるお店をと心掛けています」とフルーツで人を喜ばせたいと考えている。
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オープンキッチンからフルーツの香りとオーナーとの会話が生まれる
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メロンのスワン。まさにプロの技!誕生日パーティーにと注文が入る
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知人の画家 今井アレクサンドル氏から贈られた絵画―金色に縁取られた赤いぶどうー白い内装の店内に映える
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おしゃれなメニュー。センスのよさが店内にあふれている
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★★お知らせ
クリスマスフルーツパーティー開催
日時:12月20日(土)18:00〜20:00
会場:サンフルール(問い合わせ先)
参加費用:未定(大人と子供料金あり)
*フルーツのメニューほか軽食いろいろ、ドリンク付き(アルコールもあります)
*お子様の参加大歓迎!
*パーティーでは、皆さまの目の前でフルーツカッティングをいたします。 |
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