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イチゴ 苺 Straw berry
 
 ばら科の多年草で、厳密には果菜類・トマトやナスの仲間である。ストローは、ストレー(広がる)の転化したことばで、つるを伸ばして繁殖することからきており、ベリーは実という意味。世界各地に野生種があり、古くは石器時代のスイスの住居遺跡からイチゴのたねが発見されている。現在栽培されているイチゴは、北米のバージニア苺(1534年に発見されフランスへ導入された)と、南米のチリーイチゴ(1714年フランスへ導入された)が1750年頃オランダで交雑されてできた。これは、パイナップルに形や味が似ていたところから、アナナス(パイナップルのペルー語)と名付けられた。その後多くの品種が作られて急速に普及するとともに、アメリカに伝わった。

 わが国では平安時代に清少納言が「枕草子」に記載をしており、その後江戸時代末期の1840年ごろにオランダ人がもたらしたので、オランダイチゴの名がある。明治初年以降何回か導入されたが、栽培化されたのは明治32年以後の「福羽」からで、市場向けに栽培されるようになったのは戦後である。ビタミンCが100g中80mgと豊富で、成人の必要量65mgを満たす。

 盛夏を除けばほとんど周年栽培され、生食やケーキ材料,ジャム,シロップなどの加工用としての用途も広い。世界の年間総生産量は約260万t,そのうちアメリカが約20%を占め、わが国はイタリア,ポーランド,スペイン,韓国に次いで年間約20万tが生産されている。1999年には市場取扱金額が果物の中でミカンを抜いてトップになる。

 2003年の品種別構成比は、とよのか32%,とちおとめ31%,さちのか10%,章姫9%,さがほのか6%,女峰5%,そうして濃姫,アスカルビー,越後姫,あまおう,さつまおとめ,あかしゃのみつこと続く。2004年は、福岡県でのあまおうの栽培面積の拡大が計画されており、とちおとめ33%,とよのか24%,さちのか13%,章姫9%,さがほのか7%,あまおう5%,女峰3%と見込まれている。 イチゴは露地栽培では秋になって休眠し、冬の低温短日(5〜17℃,日長12時間以内)に合って始めて花芽ができ、春の高温長日で開花し初夏に結実・実が成って収穫される。このため露地栽培以外のときは、次のような方法をとって春がきたと錯覚させて(花芽分化)、花を付けさせる。

1.夜冷育苗…ハウス内で低温短日管理(夜間の温度を冷房によって下げ、シルバー,黒色ポリなどで覆(おお)って暗くし、日長を8〜10時間とする)をする。作業が比較的に楽なため、増えている。
2.山上げ育苗…高冷地育苗ともいい、高冷地は温度が低いことを利用して苗を育てる。
3.株冷蔵…10℃前後の冷蔵庫に10〜15日前後入れる。
4.遮光(しゃこう)育苗…黒寒冷しゃなどを1,5m位の高さに張って光をさえぎり、日中の温度を下げる方法で、これにより3〜6℃は低下する。

選び方と保存

果色が鮮明でつやがあってへたが緑色のもの、パック詰めは底部の傷みに注意が必要。保存は冷蔵庫へ。

1〜4月。
 

 

 
 痩果( そうか )とランナー

 いつも食べている赤い果肉は花の付け根の花托が膨(ふく)らんだもので、本来の果実は表面にあるつぶつぶ、種はその中にある。こうした果実のことを痩果と呼ぶ。繁殖には親株のつけ根から伸びるつる(ランナー)を育てて増やす。近年、オランダで育種された種子繁殖型F1品種としてカラン,W78(シンジェンタシード株式会社)が品種登録された。これは、繁殖に種子を使用することから苗の生産や育苗期間の短縮がはかれる。

 いちごとショートケーキ

 ショートケーキといえばしっかりと焼き上げたスポンジにたっぷりの生クリームと苺をサンドして上にトッピングのイチゴをのせるのが定番。こうした形になるのは、16世紀にポルトガルからカステラが伝わった下地があり大正時代末期に生クリーム製造器が輸入されてから、この頃に横浜や東京・銀座で洋菓子を販売していた不二家やコロンバンが始めたといわれる。ただ誰もが食べられるようになるのは経済復興と冷蔵ショーケースの普及した1955年以降のことである。

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1) 栃乙女 (とちおとめ)

 栃木県農業試験場栃木分場が1990年に、大果で多収の久留米49号に大果で食味の優れた栃の峰を交配して育成された。大果で食味がよく、収量も女峰に比べて10%以上高いことから栃木県では女峰に代わる品種として、急速に作付けの転換が行なわれており1999年では80%を超える見込みである。
果実は円すい形で、鮮紅色で女峰に似て光沢があり、果皮,果肉とも硬く日持ちがよい。平均果重が15gと女峰より大きく豊の香なみ、果肉は糖度が高く酸味が低いので食味はきわめてよい。写真なし

(2) 豊の香(とよのか)
 
 農林水産省野菜試験場久留米支場において、昭和48年より春の香の食味を改善する目的で、宝交に久留米34号(ダナー×八千代)をかけ合わせたひみこに、さらに春の香をかけたもの,昭和59年に登録された。
果実はやや丸味のある紡すい形で、独特の芳香があり甘味は強く酸味が少なく食味がよい。果肉は締まって日持ちもよいが、変形果がでやすく低温での着色が不安定である。九州を中心に栽培されている。
 

(3) 章姫 (あきひめ)

 静岡市久能の民間育種家である萩原章弘氏が昭和60年に、久能早生に女峰を交配して選抜、1992年に登録された。果実は長円すい形で光沢に優れ、果皮は鮮紅色で果肉は淡紅色、糖度10度以上、酸度は0,5〜0,6で食味はよい。乱形果の発生がきわめて少なく果肉は女峰より柔らかいが、多収である。1998年で静岡県のイチゴ栽培面積の80%以上を占める。

(4) 幸の香 (さちのか)

 農林水産省野菜試験場久留米支場が豊の香にアイベリーを交配して育成、1996年に農林登録された。果実は長円すい形で光沢があり、果皮はとくに紅が濃く色がよく回る。平均糖度が10度、酸度が0,59で食味は濃厚、果肉は硬く果形もよく揃って日持ちがよく輸送性に優れている。豊の香に比べて育苗,収穫,選果の全てで省力化が可能。佐賀,愛媛で産地化が進められている。
(5) さがほのか
 佐賀県農業試験研究センターで草勢が旺盛で大果の大錦に食味,香気に優れ多収性の豊の香を交配して、1998年に命名,登録された。果肉は硬く果形が揃って糖度は豊の香と同じかそれ以上、酸は少ない。

(6) あまおう

福岡県農業総合試験場が久留米53号(豊の香×てるのか)に92-46(久留米49号×さちのか)を交配して育成、2001年に品種登録出願をして翌年に一般名称を公募して、あまおう(甘王)と名付けられた。あかい,まるい,おおきい,うまいの頭文字をとったもの。果皮は濃赤と着色がよく果実が大きいため作業の省力化が図れ、糖度,酸度とも高く食味がよい。福岡県の2003年の栽培面積が8haに対して、2004年の計画が203haと大幅な増加が見込まれている。

(7) 女峰 (にょほう)

栃木県農業試験場佐野分場が昭和45年3月から品種改良を開始、ダナー×春の香に再度ダナーをかけ合わせ、さらに麗紅をかけたもの。種苗登録は昭和60年1月で、日光連山の名にちなんで名前をつけた。
果実は円すい形で光沢があり、肉質は締まって日持ち=輸送性がよい。果肉は甘味,酸味とも多く作りやすい、ただ、大きさがやや不足なことと耐病性に欠ける欠点がある。

(8) 宝交 (ほうこう)

兵庫県農業試験場宝塚分場が昭和32年に、幸玉(フェアファックスの実生)とタホーの交配により育成されたもので、宝塚交配の両者の頭をとって名付けた。草勢は旺盛で子苗の発生が多く育苗は容易で、果形はよく整った円すい形,果実は中果で鮮紅色,甘味が強く多収であるが、果肉が柔らかいため日持ちが劣る。

(9) その他 これまでの品種

1.福羽(ふくば)…明治32年ごろ福羽逸人氏が、フランスから導入されたジェネラルシャンジー種の実生中より育成したもの。紅赤の鮮やかな色で、果肉は締まって香りが高い。

2.幸玉…昭和15年に玉利幸次氏が、フェアファックスの実生中から育成した品種で、砂糖イチゴ,八雲の別名もある。果形はよく整って鮮紅色,粒の揃いはよいが果肉の締まりがよくない。

3.ダナー…アメリカのカリフォルニア大学で1945年、トーマス,ゴールドスミス両氏により野生種の中から選抜,育成された。我が国へは、1950年にタキイ種苗より発売された。果形は短紡すい形で暗紅色,果肉の締まりもよく日持ちがよいのが特長だが、多少酸味がある。

4.盛岡16号…盛岡支場が昭和43年に、フェアファックスにエタスブルグをかけ合わせ、さらに千代田をかけた中から選抜された。果実は濃紅色で光沢があり、甘酸適度で食味もよく、輸送性もよい。東北地方での栽培が多い。

5.春の香…久留米支場で昭和36年に、久留米103号(宮崎×ザサン×福羽)とダナーの交配から選抜,育成したもの。果実は鮮紅色で、肉質が硬く酸味は少ない。

6.麗紅(れいこう)…千葉県農業試験場が福羽と春の香を交配した中より選抜、51年に命名された。果実は大果で鮮紅色、とくに光沢がきれいで独特の芳香がある。

(10) その他 新しい品種

1.アイベリー…愛三種苗が麗紅と宝交の交配から選抜したもので、昭和58年に命名された。特大果で甘く食味がよいが、株疲れにより小果になり味が落ちる。

2.レッドパール…1987年にアイベリーに豊の香を交配して選抜、1993年に登録された。果実は卵円形で大きく、糖,酸のバランスがよく独特の芳香があいまって食味良好である。果肉は硬く日持ちや輸送性がよい。

3.雷峰…四季成り系統の円雷に女峰の実生系統を交配して育成。果実は円すい形で光沢があり、果皮は鮮橙色で酸味はあるが食味良好で果肉が硬く日持ちがよい。

4.ペチカ…種苗開発のホーブが、大石四季成2号にサマーベリーを交配して選抜したもの。果実は円すいで果皮は鮮赤色、酸味が低く香りが多い。大きな特長は端境期の夏から秋に出荷できることで、ケーキ用として輸入物を押しのけて北海道で作付面積を拡大している。

5.けんたろう…北海道立道南農業試験場が豊の香にきたえくぼを交配して2000年に開発された。宝交早生より着色、日持ちがよく味もよいが、着果数が少ないので収量確保が課題となっている。

6.アスカルビー…奈良県農業試験場がアスカウェイブに女峰を交配して、1992年に育成された。果皮は鮮紅色で強く光沢があり、糖度は豊の香より高く収量のよいことから高い評価を受けている。

7.越後姫…新潟県園芸試験場がベルルージュ×女峰に豊の香を交配して育成、1996年に品種登録された。果実は平均15g,鮮紅色で光沢があり食味がよい。

8.濃姫…岐阜県でアイベリーに女峰を交配して育成、1998年に品種登録された。豊の香と比べると香りが高く平均果重16gと大きく、両者の特徴である大果で食味のよい品種となっている。

9.さつまおとめ…鹿児島県農業試験場が農林水産省野菜・茶業試験場の育成系統に幸の香を交配して育成、2002年に品種登録された。果実は長円錐形で鮮紅色,果肉は白で。

10.あかしゃのみつこ…福岡県の木下清和氏がアイベリーに女峰を交配して育成、1995年に登録された。平均果重23gと大きい。
 

2003-12-17