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タマネギ 玉葱 Onion
 
 アジアから地中海沿岸が原産のユリ科の野菜。たまねぎは、ねぎの白根部,葉が発達して変形肥大したもので、頭状,または球状を呈していることから頭葱といい、玉葱の字を当てたといわれる。

 古代エジプトでも栽培され、ピラミッドの建設(紀元前2700年ころ)にたずさわった労働者に、「大根,玉葱,にんにく」を支給したとの記録がある。原産地からヨーロッパヘ、そして16世紀には米国ヘ伝わり、今日では世界各国で広く栽培されている。
   

 わが国へは江戸時代に長崎に入ったとされるが、本格的な栽培は明治4年に札幌ヘ、明治18年に大阪ヘ導入されて各地に広まった。その中で、米国系のイエロー・グローブ・ダンバース Yellow globe danvers(マサチューセッツ州ダンバース町原産)が北海道で春まき栽培に順化されて札幌黄に、イエロー・ダンバース Yellowdanversが大阪で秋まき栽培用の泉州黄に、また、フランス系のブラン・アチーフ・ド・パリ Blanc hatif de parisが愛知で秋まきの早生種の愛知白となった。これらが、その後の基本品種となった。

 栽培には冷涼な気候を好み、生育の適温は15℃前後であるが葉球の肥大には15〜20℃が必要である。寒さにはきわめて強く−8℃でも凍害を受けないが、暑さには弱く25℃以上になると生育障害を受ける。葉球の肥大には、温度のほかに日長(日の出から日の入りまでの長さで、3月21日の春分の日が日長12時間・昼と夜の長さが同じで、以後、段々昼が長くなる)がある程度以上に長いことが必要で、早生で12時間,札幌黄で14時間以上である。早生種は形が偏平で日持ちが悪いが、中・晩生種は腰が高く丸形で貯蔵力がある。
 
 食用にする部分はりん茎といって、葉の基部のうろこ状の茎がふくらんで出来たものである。また、特有の刺激臭と辛味はアリイン類で切ったりすりつぶして細胞が破壊されると、その中の酵素アリイナーゼが活発に働き、アリシンや硫化アリルを生成し臭いをだす。このアリイン類は煮ると甘味を生ずるほか、強い殺菌作用があり、また、ビタミンB1と結合して体内に吸収しやすくするので、B1の多い豚肉などと一緒に食べると効果的である。ビタミンB1が欠乏すると、かっけ,神経炎,便秘などになりやすい。ほかにも、胃や腸の粘膜を刺激して消化酵素の分泌を促すとともに、エネルギー代謝を活発にし脂肪の分解を促進する働きを持っている。そのほか、各種無機質や糖質を含み発汗作用があり風邪の初期の症状に効果がある。
 
 外側の皮はTシャツやハンカチなどをきれいな黄色に染める。卵をゆでるときには外皮を一緒に入れておくと、卵の表面に迷彩的な模様がつく。玉葱を冷蔵庫や氷に冷してから切ると、目を刺激する成分が揮発しにくくなり泣かなくてすむ。肉料理の普及など食生活の洋風化とともに需要は順調に伸びている。

選び方と保存

 外皮がよく乾いてつやがあり、身が固くしまっているもの。首の部分を押して柔らかなものは中が傷んだり腐っていることがある。また、発芽,ヒゲ根の伸びたものには注意。保存は冷暗所へ、よく炒めて冷凍しておくといつでも使える。


秋、新たまねぎは春。

 

 

玉ねぎの収穫風景

   
 セット(子球)栽培
 新しい栽培方法で、2月下・3月上旬に播種して5月上・中旬ころ直径2pくらいのとき抜取り(これをセットまたは、子球という)、通風のよいところで貯蔵して、それを8月下旬に植え付けると11月下旬から12月の収穫、10月下旬に植え付けると3月下・4月上旬の収穫となる。特長として生育期間が4〜5カ月と短く、セットの植え付け時期で収穫期を変えられ、他作物との組み合わせができる。そして販売は11月から4月迄で、肉質が柔らかく多汁で辛味の少ない新玉葱として利用できる。品種は、はやて,ふゆたま,ポインター335,グラネックスイエロー,いなずま,マッハ,シャルムなど。

早生(新)たまねぎ
 貝塚早生,愛知白,静岡早生,ひかり,いなずま,マッハ,錦毬(きんきゅう)などの品種の総称。4月から5月にかけて出回るが、早いものは3月始めに市場に顔を出す。主産地は太平洋岸に面した温暖な地方に多く、静岡,愛知などがよく知られている。品種の変化とともに形も変わってきており、従来の早生(わせ)=偏平から、晩生種の腰高・円形に近付きつつある。とくに昭和58年の錦毬は、この傾向に拍車をかけた。栽培面からも機械収穫が可能で、調理面からも円形が好まれている。また、この早生(新)たまねぎとして出荷する前の未成熟果を商品化したものが葉たまねぎで3・4月に出回り、柔らかさと独特の甘味があり炒め物や和え物に使われる。

北海道の玉葱
 明治4年(1871年)に開拓使次官の黒田清隆が渡米し、開拓に必要な機械,種子などを購入して帰国し、札幌官園で小麦,甜菜(てんさい),キャベツなどとともに試作されたのが、わが国での最初である。明治13年ころから札幌付近(現元町)の農家の間でも試作されるようになり、16年には道外ヘの移出販売も行なわれるようになった。急速に増えたのは、明治27・8年の日清戦争による軍需景気で玉葱の価格が高くなってからで、その後、明治40年にかけて岩見沢,滝川,富良野ヘと普及していく。 品種は、イエロー・グローブ・ダンバースから変化した札幌黄−空知黄−北見黄の時代が長く続いたが、病気の多発から昭和53・4年ころからF1 (1代雑種)が普及し、ひぐま,春ひぐま,カムイ,ウルフ,北もみじ,北もみじH86,H136A,ツキヒカリなどが主力となっている。生産も昭和40年以降急速に伸びて、今では全国の3分の1を占めてトップ、道産野菜の代表のひとつとなっている。

 1代雑種・F1(エフワン)
 遠縁の品種を交配すると、その子供F1は、両親よりも強健でいろいろな形質が優れていることが多い。このように、雑種が両親よりも生活力が旺盛になる現象を、雑種強勢,ヘテロシスと呼ぶ。この性質は雑種第1代にもっとも強くあらわれる。玉葱の場合の特長としては、耐病性がある,玉揃いがよい,熟期が揃う,商品化率が高い,貯蔵性がよいなどとなる。

イヌ,ネコとたまねぎ
 犬や猫にたまねぎ,ねぎ,にら,にんにくといったネギ類を与えると、血尿や下痢,おう吐をして元気がなくなる。これはネギ類特有の刺激成分のアリイン類が、犬や猫の血液中の赤血球の膜を破壊してしまうため。従ってネギ類の入ったエサ(ハンバーグなど)は与えない方がよい。

2003_11-22