有限会社 ナリタヤ

n01.jpg (15512 バイト)

ひとりひとりの惣菜コンビニ店


  東京都豊島区西巣鴨のナリタヤストアーが2月25日に改装し、インストアベーカリーを導入した新タイプの惣菜コンビニ店「NARITAYA」に生まれ変わった。キャッチフレーズは「ひとりひとりのお惣菜やさん」。改装後、3ヵ月を経た手応えと、これから惣菜を手がけたい食品小売店へのアドバイスを成田廣文社長に聞いた。
住所:東京都豊島区西巣鴨2-7-9

焼きたてパンで若い客が増えた

 同店は鮮魚店から80年に総合食料品店へと移行し、焼き魚や刺身といった得意惣菜を生かしながら徐々にアイテム数を増やしてきた。これまでも湯気がほかほかとたつ店をイメージすべく、厨房を店頭に配置するという思い切った改装をしたり、焼き魚の宅配などで話題を呼び、惣菜業界ではかなり知られた存在だ。そして今回は新たな挑戦をめざして惣菜歴20年の集大成ともいうべき店をつくりあげた。

 一番大きな変化は店を若者向けのモダンなイメージにしてパック商品以外にサラダバーやバイキング形式を採用したこと、従来は仕入れたパンの販売であったがインストアベーカリーで焼きたてを提供していること、できたての味を提供するための新機械を導入したことなどである。

 改装後は約60平方メートルの売場面積で月商2000万円、改装前より25%増と出足好調だ。アイテム数はごはん類・惣菜で150、パン40だが、3ヵ月で3分の1は入れ替わっている。パンの導入とともに、サラダを100g150円のサラダバー形式で販売したところ、売上げは3倍に伸びた。

 また、10時から夜11時の閉店まで客が途切れなくなったことが大きな変化だという。午前中は年配客、昼食時は近隣のサラリーマン、午後は若者、夕方は主婦、夜は単身者や若者と幅広く客が訪れる。

n02.jpg (20444 バイト)

 これを成田社長は「アイテム数が多い中から、顧客が好きなようにコーディネートできる提案型の店<画像>づくり」をしたからとみる。家族分として4000円も買い求める主婦もいれば、数百円の買い物をする若者もいる。 

 各世代にとって必要不可欠な店になりつつある。平均単価も900円と一般のコンビニ店よりも高い。「食料品店は地域に近いのでやりようによっては伸びる、ただし意識改革が必要」と語る成田社長に自店の勝算についてインタビューした。

常時8人体制(厨房4人、パン2人、レジ2人)、時間帯別で4つのシフトを敷いている。

 ―改装のポイントは。

「惣菜の主食系が伸びているので、今回ベーカリーを新たに導入した。主食がしっかりすれば、おかず類は付け合わせとしての品揃えでよい。小型店は回転率が勝負なので、荒利の高い店、極端にいえば1日10万円売れば半分は儲かるような店にした。これから小さな店は、仕入商品のみの販売では成り立たなくなることは明白だ。ではどうすべきかを形にしたのがこの店だろう。
 できたて、作りたてを大きなテーマにしたのは従来と変わらない。それと若い層が入りやすい店になるよう工夫した」

 ―その結果は。
 
「こぎれいな店に改装してみて、この周辺に若い人がこんなに多かったのかと驚いた。昼過ぎのアイドルタイムに来店する客が多い。近隣の家族全員が来られる店になった」

 ―惣菜は始めは大皿に盛り、夕方になるとパックで売るという販売をかつてはしていましたね。

「パックするのは手間がかかるので、今はバイキング形式の惣菜はそのまま押し通している。逆にいえば、和惣菜も回転がよくなったということだろう」
 

n05.jpg (13284 バイト)

 ―強化していきたいのは。

「今は売れ筋商品を徹底的に販売している段階なので、徐々に季節対応をメニューに打ち出していきたい。イベントも6月は居酒屋惣菜、いわゆるつまみにテーマを絞ったバイキングをしてみたい。焼き魚の宅配は中止したが、いずれは復活しなければならないと考えている」 

 ―サラダバーが人気がありますね。

「パンに合うアイテムとしてシチューとサラダを考えた。サラダは最も売れるのはポテトサラダだ。毎日来ても飽きないようにシチュー類はメニューを替えている」

 

サラダバーが人気

食品小売店は加工を手がけるべき

 ―他店がこうした店を手がけてみようとしたときに最もネックになることは。

「オペレーションが一番難しく、正直言って不可能に近い。設備も含めてこれだけの店づくりをするにはよほどのスタッフがいないと難しいだろう。近年は惣菜導入の指導に呼ばれる機会が増え、研修受け入れも多くなった」

 ―メニュー開発は。

「売れ筋のうち売上げがある程度止まってきたらいったん切って、新しいものを入れていくようにしている。一番大きく変わったのはスチームコンベクションといって、スチームとオーブンがついている機械を導入したことだ。惣菜は、1.生産性、2.大量にできないか、3.マニュアル化ができないか、4.衛生管理などの問題点があるが、それらを網羅して解決できるようになり、新しい機械を用いた中華惣菜などを作りつつある」

n04.jpg (16380 バイト)

 ―惣菜を始めたい人にアドバイスを。

「絶対に取り組んだほうがいいのは、ごはん、めん類、パン類などの主食系をおさえることだ。山の中で1000人しか住民がいなくても客を呼ぶ店はできる。というよりやらなければ食品店はたちゆかなくなるだろう。うちの店は500m圏内にコンビニ店が11店舗あり、弁当屋も多い。

どんな店だって厳しい状況に置かれている。売れないのは景気のせいでなく、店主に責任がある。だが、店を継続したければ、物販だけの販売はやめたほうがいい。地域密着型の強みを生かして、なんらかの形で加工を取り入れるべきだ。s

大皿に盛った惣菜

 惣菜をするにはまず主食から取り組むべきで、食肉店ならばトンカツでなく、カツ丼から始めてほしい。ごはんものを売って炊飯量を増やしてからおかずを考える。お米は精米したてのもので炊くのが望ましい。これならば炊いたごはんだけでも売れる(笑)。当店は全体で1日100kgは炊いている。
 小さな店だってやり方次第で成果は出る。地域に近いところで何をしたらよいかを考えればよい。現在の売り方を見ていても、生鮮3品の店は量目がお客様のニーズに合っているかが一番問題だと思う。いまどきダイコン1本なんて売れない」

 ―惣菜の指導でまずすることは。

「現場、厨房に入ってそこから考えて惣菜の基礎講座から入っていく。煮物でもダシの取り方ができないのはだめ、片づけをしながら調理できないのはだめ、作業台は作業をする場所なのだから、物を置いてはいけないなどいろいろ気がつくことはある。
 すし1個が倒れているのを直すか、直さないかが大切。バックヤードからお弁当をもっていって『できました』と言えばそれで『できたて』になる。何時にできましたというシールを貼ることはない。基本を学んでもらうために、バックヤードと冷蔵庫の徹底掃除、片づけから始める。繁盛していないところは雑然とした店が多い。
 とにかく個性的な店であることがベースになる。各店それなりのことをしてトータルで店が繁盛すればそれでよい」

 ―惣菜の荒利は何割ですか。

「個人の店では6〜7割が目安。逆に大きな店ほど荒利は低いほうがよい。惣菜の荒利益の枠は2〜7割で、その枠内で店舗規模、立地、商品構成などによって変わってくる。個人商店は荒利を最低6割確保しなければ次のステップに進めない」

 ―これから強化したい点は。

「販促と季節対応の強化、顧客管理。課題はいっぱいあるが、まずやれるところからやっていく。毎月25日は20%割引とし、イベントも随時実施している。子供の日セールでは500円以上お買上げの方に『うまい棒』をプレゼントとして、3日間で4000本さしあげた。やりようによってはおもしろい店になると考えている。

 付加価値の高い商品はどんなにきれいごとを言っても利益が出ていないと話にならない。生のトウモロコシが出ているのに、安いからといって冷凍トウモロコシを売る店が旬を大切にしているとか言うのだもの。世の中へんなことが多い(笑)。

 でも、店を継続させたいという人は業種に合わせて加工を工夫すべき。そうでないと淘汰される時代に入った、とだけはいえる。そのために自分の店で、どんな時代にも生き残れるノウハウを培っていきたい。

n06.jpg (13497 バイト)
n03.jpg (14493 バイト)

レジ前は弁当売場

入口すぐ右がインストアベーカリー

先頭へ