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大きさがまちまちで、酸味の強いさくらんぼ。虫食いの跡やシミがあり、デコボコのりんご。プラスチックパックの中で食べ頃を過ぎ、果汁が滲んでいるいちご・・・。 フランスのアルザス地方に住む、クリスティアンヌおばさんが作るお菓子の主役は、いつもこんな「不揃いの果実たち」。ジャム、コンポート、グラタン、タルト、ババロワ・・・。家族の需要と供給のバランス、おばさんの気分に従って、さまざまに加工され、食卓にのぼります。 そのほとんどに、決まったレシピはありません。材料も、目分量。おそうざい作りの感覚です。
皮つきのりんごに、ザクザクと包丁を入れます。グラタン皿にてんこに盛って、砂糖をふり、夕食の鶏の煮込み鍋とともに、オーブンへ。 タルト生地をこねるのは、野菜を切っているまな板の脇で。転がったじゃが芋をよけ、ビニール製のテーブルクロスをさっと拭いて、直接手粉をふり、伸ばしていきます。 生地からあふれんばかりにのせる、さくらんぼ。種はそのままです。さくらんぼが足りない場合は、プラムなどを適当に混ぜる。
 「お菓子作りが、こんなにいいかげんでよいのか?」と、最初はとまどいました。なまじ、料理学校なんぞで身につけた知識があった分、よけいにです。 けれど、果物をそのまま畑からもいで食べているような、自然な甘さには、学校で教わったものとは違うおいしさがありました。見た目も、味もおおらかで、作り手の人柄を感じるようなお菓子。いつのまにか、魅せられていました。
「お店で売っているお菓子って、おいしいのか否か、ときどきよくわからない。たくさんの材料を使っているから、味が複雑になりすぎていて」とは、あるフランス人の言葉。 家庭では、凝った細工はできません。そのかわり、自分好みの素材と、好きなだけ会話ができます。果物なら、果物と。素直な気持ちで、持ち味を引出すことができる。だから、おいしいのかもしれません。
口に入れると、果物畑の風景が、ふっと目の前に浮かんでくる。そんなお菓子が作れたら、と思っています。
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