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近藤商店(南千青果(有)) 東京都荒川区

近藤商店(南千青果(有))
■東京都荒川区南千住5-39-7 9:30〜21:00、日曜・祝祭日定休、従事者数5人(パート1人)
■東京北足立市場仕入れ。JR常磐線南千住駅から徒歩数分、コツ通り商店街に立地する創業1899年(明治32)という老舗で、近藤さんは4代目。青果物だけでなく、買い物に便利なように一般食品や花も品揃えしています。

 漬物に力を入れ、夏のナスの漬物(水ナス、小ナス)、ぬか漬け、冬のハクサイ漬けとたくわんは特に人気商品です。八百屋さんならではの「野菜たっぷりのお惣菜」は美智子夫人が担当し、ダイコンと鶏肉の煮物など、大鍋ごと売場に出して量り売りする惣菜が好評です。その日の安い食材で大量に作るので、お客さんにとってもお買い得です。弟の良雄さんが魚の惣菜を担当しています。

 商品の床置きはせずに、「グレードの高い販売」を心掛けているそうで、床の掃除が行き届き、料理から栄養までさまざまに情報提供しているPOPが印象に残ります。
 ビル6階の屋上庭園で、ナスの栽培とガーデニングをしていました。「野菜のよし悪しはわかるけれど、栽培は難しい」とか。実をつけたナスの植木を、納めをしている保育園に贈り、「生きた教材」として喜ばれています。「仕事をするにも余裕がないとね」「マンネリ化してはだめ」「八百屋が大好き。本物の八百屋を目指したい」「野菜はなんでも食べます。そのせいか病気をしたことがありません」――元気な近藤語録が聞けました。料理の本を見て実際に作りながら惣菜の研究をする時が目下の楽しみだそうです。

店主の近藤栄一郎さんと奥さん。 商品の床置きをしない、グレードの高い販売をしているのが特長


【ハクサイ】
 ハクサイは中華料理店への納めが多いので年間を通じて扱っていますが、売り場では秋から冬にかけての商材ですね。需要期の9月〜翌年3月ごろまでは茨城産を扱い、3〜4月は兵庫、長崎産。夏になって長野、群馬などの高原物になり、東北、北海道物から茨城へつなぐというサイクルです。

 店売りでは、年間を通じて4分の1カット売りが中心で、9月になれば半サイズを多く出します。半分で150円くらいが目安。カット売りは、球内色の黄色い面が出てきれいですが、時間がたつと芯の部分が青くなって反り返り、見た目がよくない。そうなると商品価値がなくなるから、気をつけています。ハクサイはボリューム感を出す方が売れるので、冬場は売り切れないくらいカットします(笑)。売れなくても、残ったものをどう加工するかですね。うちの場合、青くなる前にどんどん漬けてしまいます。
 

「今日はお鍋の日」と銘打って、ハクサイを特売する店もありますが、売れ行きは天候や温度ではあまり変わりませんね。ただし例年2月ごろはニラが1把100円近くに値上がりするので、ハクサイもよく売れる。キムチ鍋は人気があります。
 ハクサイを丸ごと買ったとき、切り口が赤くなるから外葉から1枚ずつむいて使うとよいといわれますが、私は芯が反ってくるのが嫌だからザックリと切って使います。芯を捨てるという人もいますが、芯を薄くスライスしてうま煮にするとおいしい。そうすると捨てるところがなくなるんですよ。

 丸ごとといえば、昨年(2003年)はミニハクサイを1個150円くらいで売りました。今後主流になるとは思わないけれど、欲しがるお客さんもいます。

冬場は売り切れないほどカットし、残ったハクサイは漬物にして販売している

 冬は自家製のハクサイ漬けをバンバン売ります。うちの店は一般の店で使うビニールの樽でなく、木の4斗樽を2つ使って漬けています。気のせいか、木の樽の方がおいしく漬かるような気がして……。冬場になると毎日漬けていて、近くの食堂や小売店からも買いにきてくれるほどです。

 漬物に向くのは黄芯系ですね。以前使っていた昔からのハクサイはあまり手に入らなくなったので、ほとんど黄芯系です。切って中が黄色いもの、白い部分の軸が厚いものを使います。その方がやわらかいですから。作りづらくても、おいしいものを残してほしいと思いますね。漬物も軸の方が葉の部分よりも甘みがあっておいしいですよ。昔はよく漬かったものを食べたけれど、今は浅漬けにしてサラダ感覚で食べる方が多いから、黄色い葉が好まれる。第一に見た目、第二においしさとなっているけれど、八百屋がおいしい味を教えて味優先にしていかなければいけないよね。ハクサイ漬けやぬかみそ漬けは、家庭で作ったり、スーパーで買ったりするものでなく、八百屋で買うものなんです(笑)。

 そうそう、産地に一つだけお願いがあります。夏場の雨が続いた後などに、葉先が黒くギザギザ状になったものが時々混じることがありますが、商品価値がないから産地段階で出荷を止めてください。予冷物は品質がよいだけに、そういうものが混じるとガッカリします。

【サツマイモ】
 サツマイモは値段の変動があまりないので、年間を通じて1袋(M・L2〜3本入り)180円くらいでしょうか。9月頃からは蒸かして売ります。1回に6kgゆだる大鍋で毎日1〜2回ゆでています。MとかLサイズでずんぐりと丸い形のものを、ゆであがってまだ皮の周囲が濡れているうちに、包丁でやや斜め半分に切るんです。そうすると真ん中がどんどん乾いていってホックリと栗のように見えます。品種はほとんど『紅あづま』。温かい時はそれほどの味でないのに冷たくなるとおいしいものなど、品種の特性はさまざまですが、うちでは蒸かすのに向く品種を選んでいます。焼きイモにはネットリした感じのイモがいいけれど、蒸かすにはホックリした方がいいと思うから、個人的に茨城産はちょっと水っぽい気がして、もっぱら千葉産サツマイモを使っています。
 

 8月に出始める新サツマイモは外皮の色がきれいですが、ゆでると皮がむけて汚くなってしまう。だから、9月になり、皮の色が濃くなって皮がむけにくくなったら、ゆでるようにしています。この時分は果肉が粉質だからホックリ仕上がりますが、年明けぐらいには糖質になってベタッとしてしまう。甘いことは甘いけれど、見た目はホックリした感じがしない。そういう時に半分に切って売ると、いくらかでもホクホク感を出せるという効果があります。今の人はネットリよりもホクホク感を好みますからね。

 うちは惣菜も売っていますから、新サツマイモが出る前は、サツマイモのオレンジ煮やレモン煮を出していました。サツマイモの感触はトロッとしているから口の中がもたつく感じがしますが、柑橘類を加えて煮るとさわやかな味覚になるんですよ。蒸かすだけでなく、こういう料理もいいですよね。

サツマイモの切り方を説明をする近藤さん

 暑い時期は天ぷらがよく売れます。蒸かしたイモをスライスして天ぷらにしていますが、それだけでもおいしい。イモを蒸かしすぎたら天ぷらにするといいですよ。

 とはいえ、うちの店ではゆでたものよりも生で販売するほうが多い。料理のヒントを提供し、お客さんが野菜をたくさん食べてくれるのが理想です。

 

ぬか漬けの種類は多い。季節によって様々な漬物が並ぶ。写真の植木鉢に植わったなすは屋上で栽培している。子供たちは野菜がなっているところをあまり知らないので、小学校の教材に分けたりする

野菜をメインにした惣菜も好評。お年寄りが好んで購入していく。写真は、ダイコンと鶏肉を煮たもので、覗き込んでは「これちょうだい」と買っていく

 

 

取材日2004年8月11日