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せいか研修セミナー「八百屋塾」第1回7月16日
なぜ勉強が必要か
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1回 2000年 7月16日
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江黒孝
東京都青果物商業協同組合
本部青年会会長
せいか研修セミナー「八百屋塾」の開講式並びに研修の第1回が2000年7月16日(日)、新装オープンなったばかりの東京青果物会館8階会議室(東京都千代田区神田)で開催されました。
朝9時の開講に参加したのは、都内の青果商約50名。第1回とあって、ワイシャツにネクタイの正装で訪れた人も大勢いました。塾長である市川吉三郎理事長が「新青果会館落成と同時に何か少しでも組合の皆様方にお役に立ちたいという見地から始まった企画である。皆様方の活性化につながるような勉強をしていただきたい。と同時に、勉強した成果をぜひとも支部に戻って末端の1人でも多くの人に情報伝達していただきたい」と挨拶。小山五郎推進委員長が「せいか研修セミナー」を開催するに至った経過を説明。その後、青果研究家江澤正平先生が「なぜ勉強が必要か」をテーマに、休憩もはさんで約2時間講義をしました。
講義終了後は、参加者が1人ずつ所属と店舗の状況などを自己紹介。安売り店が近くに出店しているなど、厳しい立地環境にある人もいましたが、それだけにこうした研修などを通じて何かをつかみたいという意欲が強く見受けられました。
これから、来年の3月まで月1回のペースで、全9回「八百屋塾」が開催されます。
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江澤先生プロフィール
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当日のすなっぷ
【講義 江澤正平先生】
なぜ勉強が必要か
お客様のことを考える
野菜が健康によいと脚光を浴びています。その意味で、皆さんは大事な仕事をしている。だ
から、皆さんの商売が今日も明日も、来年も再来年もちゃんと続いてもらわないと消費者としては困ります。続いてもらうためにはどうなのかというと、やはり利益が出てこなければいけない。では利益の出し方をどうするか。それが一番の問題です。
持続的にずっと続けていくためには、ハイリスクでは困る。すると、どうしても儲かる商売をしなければいけない。儲かると儲けるとは段違い。儲けるというのは自分のことが先にある。?? 儲かるというのは、お客さんのことが先にある。皆さんが怪我をしても、自分の痛さだけですむと思うでしょ。でも、皆さんのところに来ているお客さんに迷惑をかけるんですよ。
これからの小売店というのは、お客さんの利益になって、かつ自分の利益になるということをする。ごまかしたり、だましたり、嘘をついたりするのはだめです。我々はお客さんを先に信用しなければいけないんです。信用すれば、信用してもらえる。先に惚れたほうが勝ち。そうでないとお客を獲得できないよ。言うのは易いが、やることはなかなか大変なことです。
野菜は食べ物
戦後、高度成長期まで消費者の生活は大家族で、食卓を囲んでおばあちゃん、お母さんが娘さんたちに野菜のことでもなんでも教えたものだった。
昔の八百屋さんは、その時分のおばあちゃんに「八百屋さん、こういう食べ方しなきゃだめよ」「こういう食べ方をするとうまいよ」と教わり、それを若い人たちに教えていた。今、専業主婦でも勤めに行って、自分の小遣いを持ちたいという女性が多い。だから、野菜のことなどあまりよくわからなくなっている。それでいて野菜が大切だとは思っている。
皆さんでも、野菜を本当に知っていますか。
野菜が少ない頃は、たくさんとれて、作りやすくて、病気に強いとか、見てくれがよくて、揃いがあって、日持ちがよいものがよいとされ、そういう野菜にどんどん切り替わってきてしまった。私なんかも市場に行って、昔のよい野菜があるのに気が付かずに、大事にしなかった。多くの人もそうだった。
今でも気が付かない人は多いけど、野菜というのは食べ物なんだ。食べ物は「生産性」と「流通性」にしわ寄せされて、「利用性」があまり考えなくなった。その状態がずーっと今まで続いている。スーパーに行っても確かに野菜は並んでいるが、食べ物としては並んでいない。スーパーの責任者に聞いてみても、(野菜は)見てくれと値段ですよ。
とうがんがあるスーパーに並んでいて、お客さんがスーパーに食べ方を聞いたところ、「冷蔵庫に入れて食べなさい」と答えていた。スイカと間違えている。それがスーパーなんですよ(笑)。
食べ物としてどのように食べたらよいなんて説明は一つもない。
売れる野菜がよい野菜ではない
皆さんがよくわかる例はブルームレスのキュウリです。
キュウリは自根のキュウリと接ぎ木とどちらがうまいかというと、自根のほうが純粋種だからうまい。だが、たまたまキトラというカボチャに継いだら、ふつうキュウリは粉をふくが、粉をふかないキュウリができた。粉をふかないとピカピカで、鮮度がよく見える。見てくれがいい。それを並べると、消費者は粉をふくよりも鮮度のよさそうなものを取るからブルームレスのキュウリが増えてしまった。
スーパーには、ブルームレスがまずいということがわからない人もいる。でも、農家はわかっているんです。作れば売れるから、まずいほうを作っている。売るほうも、ブルームレスのキュウリはお客さんが買ってくれるので、いちいち説明しなくてもいいやということになる。だから、キュウリはみんなでまずくしている。だから、キュウリの生産は10年たって落ち込んできている。
秋になるとホウレンソウが露地で出てくる。露地だと寒さに当たるとあまり伸びないんですね。ハウスのホウレンソウは、雨風にやられずカプセルに入っているようなもので、すくすく伸びる。では、どちらがうまいのか。消費者はわからない。ハウスのほうがまずいのに、市場でも高い。うまいほうが安いんだね。
食べ物だから、食べてみてどうなのかというのはとても大切だと思います。このごろは、タネ屋さんでも食べ物としてうまいかまずいかということを考えてタネを作り始めた。よく見極めて、よいものを大切にしていくということにしないと、これから店はたちゆかない。
野菜は、品質が一番中心で、外観や形状は基本的な性質ではなく、栄養性と嗜好性、安全性が一番食べ物として必要なんです。
食べ物を考える場合、「食性」、人間の性質があります。食べ物は合う、合わないがあります。子供に野菜を食べろといっても、食べられない人もいる。そういう人が少しでも食べたら、ほめてあげてください。
ほめてあげれば子供たちはだいじょうぶ。野菜嫌いのお母さんの子供も野菜嫌いです。野菜好きにしなければならないが、むりやりにすると反発するので、若い人には「こんなふうに食べろ」といわないほうがいい。うまいのはうまいと伝えるべきです。
素性はっきり、安心野菜
「嗜好性」というのは、味だけでなく、臭いや肉質です。臭いや肉質は変えようがないんです。
「安全性」は、農薬のことばかり言いますが、きちんと守って使っていればいいんです。安全性に気を使う農家が作ったものは、皆さんも多少応援してあげなければいけません。応援するというのは、少しぐらい高く買ってあげるからちゃんとやりなさいということなんです。
緑色が濃いとビタミンCが多いというのも違う。窒素肥料をよけい入れれば色が濃くなる。その代わり亜硝酸塩が出てきて、魚の脂といっしょになれば、ガンの元になってしまう。だから、緑が濃いからいいというのはだめ。皆さん方は、卸に「これはまじめな農家が作っているのか、ふつうの農家なのか」って聞かなきゃだめだよ。
素性はっきり、安心野菜ですよ。そういうのをこれから考えていかなきゃいけない。
「野菜の品種と作型」だけど、皆さんは、メークインと男爵とどう違うかわかる? 男爵のほうがでんぷんの入り具合が多いから、熱を加えて、でんぷんが膨らむと細胞膜に入っていって粉ふきいもになる。でんぷん質が少なければ煮くずれしないとか品種によっていろいろある。品種というのはいつでも頭に入れておく必要がある。
作型も品種同様、肉質の元になっている。産地と風土、作り方などが影響してくるし、収穫期も大切。規格と味は一緒ではなく、健全に育ったほうがうまいのです。
それから氏(うじ)、育ち、食べ頃が大切になります。
次に、消費者の動向を知らないといけない。そのためには、我々も具体的な知識をもたなければいけない。おいしい時期においしいところを見つけて売ることが大事です。
和菓子屋さんは旬をとても大切にしています。ひなあられは3月3日から後は売らない。しょっちゅうあるということは、しょっちゅう売れるということではないんです。
いままでは端境期があったけど、こう1年中できていると、わからなくなる。うまい時期にうまいよというべき。こういうことを対面で話ができるのは八百屋さんだけになってしまった。
野菜のいいものをなくすのはわけないよ。いいものを大切にすると、日本の財産、皆さんの財産になるんです。なくしたら、誰の責任になるのか、子供たちがかわいそうです。そういう思いを行動に移せるのは、八百屋さんしかいないんだよ。
まず第一に食べてみて、生ならこの品種、煮るならばこれと研究する。それから手軽な料理というのも大切です。農家は簡単にたくさん食べられる方法をよく知っているから、農家の奥さんに聞いてみることだね。
市場には「こういうのがほしい」と言ったほうがいい。皆さん方のような商売は、スーパーではやりたくともできないことなので、安心して自信をもってやってください。