Home

     

せいか研修セミナー「八百屋塾」第9回3月25日
 

青果研修を終えて−修了式

1回 2000年 7月16日
2回 2000年 8月20日
3回 2000年 9月17日
4回 2000年10月29日
5回 2000月11月26日
6回 2000年12月10日
7回 2001年 1月21日
8回 2001年 2月25日

9回 2001年 3月25日

 
 
11月5日の朝日新聞に掲載されました! 
 
 

Link

食品広場
八百屋のページ  
(有) 柿沼商店   大田区
(有) 八百武    世田谷区
八戸青果買参会(八戸市中央卸売市場)
 
 
お問い合わせはこちらへ
江黒孝

東京都青果物商業協同組合
本部青年会会長


 

 2000年7月から始まった八百屋塾も、3月に最終回を迎えました。最初に西牟田誠実行委員長より熱心な感謝の受講に対して感謝の言葉が述べられました。今回の試みは、八百屋からの情報発信ということで様々な反響があり、「八百屋もいろいろなことを試みているのだなぁ」と思ってもらえた効果がありましたが、これを次につなげていきたいという呼びかけがありました。

 この日は江澤正平先生が「青果店と経営」について話した後、近藤氏、浅賀氏、野本氏がそれぞれの自分の青果店経営をスピーチ。受講生も新たなやる気がわいてきたようでした。このあと、各人に修了証が手渡されました。4月からは新たなカリキュラムで八百屋塾が開催されます。

老舗の挑戦(近藤 栄一郎さん)
若者に支持される店づくり(浅賀 隆夫さん)
八百屋の哲学(野本 要二さん)
当日のすなっぷ
修了生たち

【講義 江澤正平先生】  青果店と経営 

 ●人間の論理で仕事をすること

 仕事の考え方として、お客様が先にあるのか、自分が先にあるのかがあります。

 自分が先かというのは、儲けが先かということ、儲けが先かというのは、資本が先かという資本の論理です。バブルがはじけて、儲けばかりいう世の中が壊れました。これからは人間を考えなければなりません。ですから、「八百屋が食べ物屋になる」というのは、仕事が人間のためになるということ。経済学で言えば、「使用価値」。「使用」は食べること、「価値」はお金の問題です。資本のなかで人間の論理を大切にしてバランスをとっていこうということなんだね。

 今のスーパーは資本の論理中心で、効率をあげるとか、儲けが中心になっている。だが、みなさんはお客の要望に応えていかなければならない。いわば人間の論理が大切です。スーパーはますます大きな資本になって、倒産すると社会的な影響があるといって国の資本も注入しかねないところがある。スーパーが人間の論理で物を考えるようになると、スーパーはスーパーでなくなっちゃうんだね。だから、スーパーは今苦悩の時代といえる。
 みなさんは時代を先取りして人間の論理で仕事をしていくこと。そこには誇りもやりがいもある。細かな仕事だと手を抜いて省力化したくなるかもしれないけど、八百屋本来の目的を忘れて省力化に走るといけない。


 今、日本でも農家がその問題にぶつかっています。米や野菜が中国からずいぶん入っていますが、野菜は日本人が指導してつくらせている。日当は1日80〜100円なんだから、野菜の値段ではかないっこない。中国では日本の昭和30年代以前のように一つの畑で多くの野菜をつくっていた。単品栽培にすると連作障害とか問題が出てくるけど、向こうにしてみれば賃金を確保できればいいわけだから。

 韓国と中国とは違っていて、韓国は国が中心となって輸出産業をしているが、中国では国が推進する形をとっていない。だから、日本の商社が中国でつくらせて輸入している。いわば商社と日本の生産者がぶつかり合っている形だけど、国内生産者は変わってきていて、儲からなければいけないという資本の論理で考えるようになった。よいものよりも手数がかからないもの、重くないものを生産するというようになり、農業そのものが資本性優先になってきた。キャベツでも、植えるのはすでに機械化しているが、収穫も機械化しようということになると、機械が先で品物が後になり、堅い、まずいキャベツがいいということになる。アメリカは機械優先なので、ブロッコリーも堅くなるのは当然なんだね。日本の生産者が昔の考え方で生産してくれれば国産のほうがよいとなるのだけど。 
 
 ある栄養学者が野菜のビタミンCの含有量がどんどん落ちてきていると報告している。これまでは野菜の色が濃ければよいということだったが、窒素肥料をたくさん入れると色が濃い野菜はできる。だけど、それに伴って亜硝酸塩が出てくる。これから亜硝酸塩は問題になってきますよ。

 1995年の国勢調査でみると、東京の一人世帯は37.8%になっている。一人暮らしだとダイコン1本買うと食べきれないよね。残ったらどうすればよいか。みなさんに質問します。こういう保存方法をお客に教えてあげないといけないよ(この結果は下記を参照)。

ジャガイモ

涼しいところ、暗いところ、風通しのよいところに置く。休眠期を過ぎると芽が出てきて、2月頃が芽が出やすい。そポリ袋の中に一緒にリンゴを入れるとエチレンガスが出て、芽が出るのを抑えてくれる。
レンコン 泥を落として新聞紙に包んで暗いところに置く。スライスして堅めにゆでて冷凍するという手もある。
ニンジン 葉を落とし、泥を落として少し乾かしたほうがいい。
ダイコン、カブ 葉を切ってから乾いた新聞に包む。葉をつけておくと呼吸作用のため、成長が促進され、いたみやすくなる。
ハクサイ 切ったものはラップで巻いて冷蔵庫に入れる。
コマツナ、ホウレンソウ 冷凍する場合は塩を入れてゆでてから冷凍する。
チンゲンサイ、シュンギク ぬれた新聞紙に包んでポリ袋に入れて冷蔵庫に入れる。
ブロッコリー 小分けするときには、軸のほうから切らないとばらばらになってしまう。軽くゆでてから冷凍保存する。
カボチャ タネのワタの部分から傷むので、タネをとってから保存する。
ニラ 風に当てない。
サトイモ、ヤツガシラ 通気性のよい冷暗所に置く。湿気があるとカビが生える。
サツマイモ 直射日光に当てず風通しのよい所に保存する。冷蔵庫に入れないこと。
ゴボウ 風通しのよいところに置く。
ナガネギ ヒゲ根を切って立てて冷蔵庫に入れておく。ネギは風に当たると外の皮が堅くなるが、ひと皮むいて食べるとよい。
レタス 芯を取って冷蔵庫に入れる。
ナス 冷蔵庫に入れるとだめ。風通しのよい暗いところに置く。

 こういうのはみなさんも実際に自分でやってみて情報を与えていくと、あの八百屋さん、何を聞いても知っているわねとなる。これからは人間の論理で行きましょう。

 
●データで管理しよう
 
 次はお金のことを話します。
 私は昭和10年に開場した神田市場の卸売会社の社員になって40年いました。卸売会社は人間の論理でなく、資本の論理で動いていたので、野菜のことは何も知らずに過ごしました。それで、63歳になってやめた時に、西武百貨店の堤清二さんに来てくれと言われた。私も卸だと靴の上からかゆいところを掻いているようなものだけど、小売は消費者と接することができるので興味があった。だから、やってみようと思ったけど、その条件として、1)やめたいときにはいつでもやめさせろ2)企業に対して個人保証はしない、の2つをつけた。そのほかには給料もそちらで決めてくれと言った。初めから2期4年間だけやればよいという心づもりだった。

 社長になると、「これだけ儲かった」と毎月報告に来る。儲けたのは確かだろうが、なぜ儲かったの?ときいてもわからない。儲かった理由がわからなければ、いつだめになるかもわからないんだね。その時分、私が責任をもっていたのは80店舗だが、損しても、損しなくても、その理由がはっきりしないと対策がたたない。そこで、単品管理をすればよいと考えた。
 11月はどの店でもあまり儲からないが、えらく損しているという。それなのに、損したのがなぜなのかわからない。各店の店長を集めて1人ずつ「どうなの?」ときいてもわからない。どういう商売をすればよいのだろうというのは。計画がないとわからないんだね。

 この損失の理由は26店舗展開する京都のスーパーを合弁して引き受けることになったことから始まっていた。野菜と果物を分離して責任をもてということになったが、分離しない前は8%くらいの利益があったのを、うちがテナントになったのでテナント料を10%出せという。この2%の違いが26店舗だと1000万円になり、半年で6000万円の赤字になっていた。それで、私は信頼できる部下に、誰でもよいから能力のある者を6〜7人連れていっ責任をもってやってくれ、と頼んだ。26店舗くらいだとやりやすいので単品管理をしてみた。品揃えや商品構成、トマトならばどんな種類をいくつ置いて値入はどれぐらいにするか、客を呼ぶ販売促進はどうするか、ロス管理はどうするかということを数字的に決め、1か月では大変なので、1週間ごとにやろう、と計画をたてて仕入れるようにした。「仕入−販売=残品」となる。こうして週に1度ずつ棚おろしをした。

 それから半年くらいたってどうにか損をしない程度にまでいきました。
 
 給料など必ず出ていく固定費用は決まっているのだから、いくら売らなければいけないかということは自ずから出てくる。そういう形で計画をたてていかないといけない。
 
 みなさんの場合は勘でわかるかもしれないけれど、1週間ずつの計画性をもって仕事をしてください。
 
 ではデータの基礎になるのは何かといえば、去年はどういう商売をしたのかを比較するには、毎日のデータをとる必要がある。データをとることだけに一生懸命になると、日々の仕事がおろそかになってしまうから難しいね。アバウトでもよいから、計画を立ててデータをとっていってください。

 景気はますます悪くなります。八百屋は景気に関係ないと言われていましたが、これからは厳しくなるでしょう。でも、これからは人間の論理が、経済の論理になります。みなさんは1週間ずつ計画性をもって堅実にやっていってください。
 後半は、ベテランの仲間に話していただくことになっています。今日は、私は前段です。オワリッ。