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若者に支持される店づくり

有限会社マルアサ(葛飾区東金町)

 浅賀  隆夫さん

1回 2000年 7月16日
2回 2000年 8月20日
3回 2000年 9月17日
4回 2000年10月29日
5回 2000月11月26日
6回 2000年12月10日
7回 2001年 1月21日
8回 2001年 2月25日

9回 2001年 3月25日

 
 
11月5日の朝日新聞に掲載されました! 
 
 

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食品広場
八百屋のページ 組合員
(有) 柿沼商店   大田区
(有) 八百武    世田谷区
八戸青果買参会(八戸市中央卸売市場)
 
 
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江黒孝

東京都青果物商業協同組合
本部青年会会長


 

  難しい時代にもかかわらず売上げを伸ばし、1日来客数が900人と
八百屋としては異例に多い来店客数を誇る


 紹介にあった900人という来店客数は,昨年の12月29日の記録です。ふだんは500人、ちょっといいなという日が700人、ばかにいいなという日は800人くらいです。

 私は父がしてきた相対売りの昔ながらの八百屋をもっと格好良く商売したい、要するに、コンビニスタイルにしたいと思ったんです。父のスタイルだと伸びないのではないかと思い、消費税が導入されたときにレジを1台入れました。家も建て直しかったので、平成5年に5階建てのビルにしました。1階が店舗、2〜3階が貸し部屋、4〜5階を自宅で使っています。父は契約するまで悩み抜いていましたが、私ががんばるからと説得しました。

 店は父の名義になっていますが、実質的な経営権は私がもっています。意識的にも法律的にも法人にしたい。八百屋を一つの会社にして社長に座るのだという目標をもって現在に至っています。それには父の理解と家族の協力が大切です。うちでは弟が野菜を担当、女房も商売が好き、嫁に行った妹も商売が好きで手伝ってくれるので、総勢9人います。息子もパートで手伝ってくれています。

 コンビニは本当に便利なので、コンビニを利用しない人はいないでしょう。私自身は、八百屋はいずれ食品を扱うコンビニになってもいいのではないかと思っています。八百屋を主体にし、関連の食品を扱えるコンビニです。でも、完全なセルフでなく、人と人とのふれあい、大事なコミュニケーションをなくしてはいけません。今のコンビニはマニュアル化された一方的な対応しかできないですけど、八百屋として、うちの店はなんでもきかれたら答えられる、きめ細かなサービスを心がけてやっています。

 自分で考えたことをまとめてみました。

 
■若者に支持される店づくり

・清潔感のある明るい店
・気軽に入れる店
・商品を自由に手にとって見られる店
・新鮮で、安くて、少量でも買える店
・セルフスタイルで通路が広く乳母車でも通り抜けできる店
・お客様が気軽に店員と会話ができる店

 こういう店だと若い人が気軽に入ってくると思うのです。

 
■販売戦略

 品揃え
 品揃えは十分にあるかどうか。お客様のニーズにこたえられるか。

 価格設定
 八百屋の感覚だと買ってきた値段に儲けを上乗せしがちですが、売れる値段で売らないと話になりません。イチゴを400円台で買ってきて500円で売れるかというと売れない。300円台で損してでも売らないと動きません。売れる値段で売って他で穴を埋めるというマージンミックスをしてお客様に安い印象を与えることが大切。

 鮮度と賞味期限の管理 

 店員の接客態度
八百屋はとかく接客態度が悪いと思うんですよ。自信満々で偉ぶってる。だけど、そういうところには若い人は行きづらい。買おうかと思ってと見てると、「いつ買うんだよ、買うのかよ」とジロジロ見られる。いまの若い人はほうっておかれたほうがいいんですよね。そういった環境を整える。
 
 特売日の設定
 これはうちは特売日もチラシは一切しません。ビルにして新装オープンしたときにはチラシをまいて3日間1000人以上きました。すごい、やればできるのだという感触を得たんですが、特売を終えたら700〜800人になって500くらいまで落ちます。そこでチラシをうつのは経費もかけられないのでやめました。少し様子を見て地道にやっていこうと。うちの特売日は、土曜日に1000円以上お買い上げのお客様に市販されている100円くらいのものをおまけにあげるんですね。ポイントカードは客数が多くなると忙しすぎてできないんです。それで、1000円の限度はあるんですが、缶コーヒーや菓子、のりとかを3年くらい続けていて、土曜日は定着しました。ふだんの日の1.5倍くらいになります。
 
 きめ細かなサービス
 きめ細かなサービスをしているかということですが、5〜6軒先に地元で有名な杉田眼科という医院があります。白内障の手術のうまさで全国的に有名なのだそうです。それで、道をきかれることが多いのですが、帰り際にまた寄って買物してくれるんです。電車で帰りたいのだが、きれいな袋に入れてくれないかと言われる。わかりました、とデパートで使った紙袋をとっておいたりして惜しみなく入れてあげるんです。それが喜ばれて治療にきたときにまた買ってくれるんです。
 
 卵に関しては、自転車の客は割れやすいのでリンゴのパッキングで包んであげたり、紙に包んであげたり、ミカンを箱で購入してくれたお客さんには荷台に載せてあげたりします。すると、お客さんはすごく喜んでくれます。「こういうのがうれしいのよね、どうしても来ちゃうんだ」なんて言われると最高、八百屋冥利に尽きます。旦那さんにされていないサービスを私が代わりになって一手に引き受けています。すると、お客様は大喜び。それで一人のお客さんを獲得してリピートにつながります。

 会社のメリット
 みなさんが個人商店や株式会社、いろいろあるかもしれませんが、いずれ会社にしてほしいと思います。そうすると、融資の面でも条件がよくなります。それから、経理は親が一手に握っているあやふやな経理を明瞭にしてもらいたい。そうしないと、会社というのは決算ごとに出ます。売上げも仕入れも経費も出ます。運転資金は十分あるかどうか。それは親に相談してください(笑)。親はもっていますが、出さないだけです。70歳以上の貯蓄率はすごいんです。いまお金をもっているのはほとんどお年寄りです。それをいかに吐き出させるか。
 
 経費節減
 それから税金対策です。会社にするというのは節税に結びつくので有効だと思います。
 むだな経費はかけないということで、パートを使う場合も最小限にする。袋の経費もばかになりません。お客様にもってきてもらって再利用しましょう。そういうこともレジのところに書いておきましょう。そうやって経費を削減しているので安く売れるです。だから協力してくださいねとこちらからのアピールもしてしまうのです。

 それと、消費税対策ですね。内税は絶対よくない。外税にしておけば消費税が上がっても何事もなく対処できました。
 
 自家消費
 自家消費を計上しろという割にはしていないのは、うちの場合、経営者である親父です(笑)。みなさんもちゃんと追及してください。それは大きな問題です。うちでも野菜だけで2〜3万円使います。自家消費を計上するようになると売れるものは使わなくなります。悩んでいるものとか、傷んでいるものを使い始めます。ほうっておくと、商品になるものをバンバン使ってしまいます。

 
■八百屋の商売に誇りをもって

 八百屋は今とても注目を浴びていて、マスコミにも取り上げられます。健康志向と、健康によい野菜を売る八百屋とは密着な関係がある。大事な商品を我々は扱っているんだなと思います。歴史的にこれだけ八百屋がマスコミに取り上げられたことはなかったのではないでしょうか。ちょっとうれしくなってきました。もっと誇りをもってやらなければいけないのかなと。後世に伝えるためにも、倅にも大事ないい仕事なんだよと言っています。最も生活に密着した商売だと思います。だから、自信と誇りと信念をもってやっていただきたいと思います。

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