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応援団

平成13年度 第2回 6月13日(水) 

岡本哲男氏(東京支店開発部課長)の
バスの中での解説

1日の報告
岡本さんの解説
タキイ研究農場
ハウス園地にて
圃場にて

 
 今日、タキイの茨城研究農場を見て、生産現場と種苗会社がどのようなつながりでどう動いているか、流通段階でどんな問題があるかを農場の担当者にぶつけていただきたいと私も非常に楽しみにしています。

 日本で菜種梅雨といわれる時期にタネをとることが多いので、天気の不安定な日本でなく、今では海外の梅雨のない地域で種とりをしています。外国へ行く前は北海道とか高冷地で種とりしましたが、今は遠くアメリカ、オーストラリア、アフリカなどに行って種をとることも増えています。

 米・麦・ジャガイモなどは国の機関でやっていますが、当社では野菜類について全品目手をつけているのが現状です。
岡本哲男さん(左から3人目)

 種苗会社もいろいろ扱うところと、単独で勝負をかけるところと2通りあります。いわばタキイは百貨店商売が期待されているので、どれもこれもないと困るわけです。しかし、生産者、消費者の要望、両方を満たしていくのは難しいと思います。

 タキイでは「桃太郎」(トマト)「向陽2号」(ニンジン)が大きな柱になっています。「向陽2号」のように寿命の長い品種もありますが、5年ももてばよいということがあります。1つの品種ができるのに15年くらいかかりますが、それだけ開発に年数がかかったものが5年で寿命が終わるのは情けない思いもします。

 生産者の中には、どうすればよいものができるか、きちんと作り方を教えてくれないとできませんという人が多い。だけど、そうじゃないんです。畑はそれぞれ違う。その畑でどうすればよりよい野菜が収穫できるかはそれぞれが工夫していってほしい。ですから、農家の人がマニュアルを望むのはとても不思議な感じでもあります。
 
 【農場と品目の紹介】
 タキイ茨城研究農場はまだできてから4年ぐらいしか経っていません。田圃の中に竜ヶ崎飛行場と農場があるという状況です。春野菜を主体に作られています。
 【トマト】
 今日見ていただける野菜としては、トマトがハウスに入っています。トマトは「桃太郎」を主力にしながら、新たなものも栽培しています。あと1週間余裕があるということですが、桃太郎の中にも元祖「桃太郎」からいろいろ品種があります。「桃太郎8」「桃太郎J」などがあり、ことしは「桃太郎ファイト」を新発売しました。「ホーム桃太郎」はホームセンターなどに家庭菜園用に出ています。時期により使い分けをしてもらうためにいろいろなタイプがあります。
 「桃太郎」は、おいしい完熟系のトマトをめざし、赤くしても肉がかたい、食べておいしい、ということで作りました。しかし、「桃太郎」系統は従来のトマトから比べると作りにくい、収量があがらない。それでも、流通業者のみなさんが「桃太郎」のよさを認めて高値で引き取ってくれたから、生産者も生産意欲がわいたということがあります。このため、よくトマトのことを勉強してくれました。天敵を使う、マルハナバチを使って交配する、省農薬で栽培する、などあらゆる面で努力したので、栽培技術全体が向上してきました。したがって、低温時の栽培に向くもの、高温期を経過して収穫するもの、大玉のもの、果肉がかたいもの、甘酸バランスのよいもの、ということで食味の点で違いが出てきました。ですから、「桃太郎」については、こんなに種類があるのだというところを見ていただきたい。昨年発表した「桃太郎J」は大玉になりやすいですし、ことしの「桃太郎ファイト」は完熟しても果肉が締まって食味がよいという特徴を出して作ったものです。
 
 【ミニトマト】
 ミニトマトは韓国からの輸入が増えてきました。やはり食べておいしい、安定した色合いで、裂果が少なく収量が上がるものが求められています。「千果(ちか)」を奨めていますが、「ココ」「ペペ」などもあります。これらは品種名でなく、ミニトマトというひとくくりで流れています。

 
【キュウリ】
 ハウス棟の中にはキュウリがあります。このごろはブルームレスの接ぎ木した、皮がかたくて見た目がよいというキュウリでなく、自根でやる産地も出てきています。また、作りやすくて味がよいというのも入れています。「夏すずみ」は病気に強く、作りやすく、食べておいしいという品種で、現状では減農薬の栽培には向いていると思います。プロの生産者向けと、家庭菜園用のホームセンターに行く種とありますが、ホームセンターでも好評です。新発表した「夏のめぐみ」は、病気に強いから作りやすい、減農薬でできるというのを売りにしています。べと病、うどんこ病に耐病性があります。
 
 「半白(はんじろ)キュウリ」や、「四葉(すうよう)」のようにイボの多いタイプも栽培しています。「四葉」は流通にのりにくいので、少し短くした「シャキット」という品種も作りました。キュウリがタキイにあるのかと思う人もいるでしょうが、現在、キュウリには力を入れています。

 
【ホウレンソウ、コマツナ】
 ホウレンソウは耐病性への要望が強くなっています。黄色いモザイクような症状が出てくると商品価値がないので、耐病性のある品種を栽培するようにしています。病原菌の密度が増えてくると菌がより進化し、段階によりベト病レース4といわれています。かなりの耐病性品種でないと主力産地では作れなくなってきています。

 報告されているのはベト病レース7まであるといわれ、病原菌のほうが進みが速く、耐病性育種が追いつかないとのが現状です。レース5までは耐病性のあるものが出ていますが、実用面からはいろいろ問題があります。ホウレンソウやコマツナは束ねて値段が出るので、生産者が注目するのは束ねやすいという点です。食べておいしいのは当然ですが、作業性のよいものが注目されているのです。そのために、収穫するときに、葉が開いているよりも立っているほうが葉が絡まずに束ねられるというので、立ち系のものが要望されています。葉の軸もしなやかでないと折れやすく、見場が悪いということで、しなやかなものが求められます。

 しかし、収量をあげて、なおかつしなやかでというのは、かなり難しい。軸が太くなると収量があがるけれども空洞になって折れやすい。軸をしなやかにすると細くなって収量があがらないということがあります。姿がよく、収量のよいものといった作業性のよしあしに対し、生産者はよりウエートを高く置いています。収量があがって、なおかつそういう要素が求められています。
 
 軟弱野菜については、密植栽培すればするほど(たくさん植えれば植えるほど)、総収量はあがります。しかし、軸が細いのは扱いにくいからやりたくない。本数を少なくすると収量は落ちるけれど作業効率はあがってくる、では何本がいいのかということで植える本数が決まってくる。江戸川地域のように、地価の高いところに畑をもち、栽培面積の少ない人は総収量をあげるために、より密植にして細いタイプのものを上手に束ねてもってくる。茨城のように広大な面積を確保できる産地では、ホウレンソウであれコマツナであれ、1株あたりに目方をのせたものをもってくる。ということで、産地によって違いが出てきます。作りが違えば品種も違ってきます。
 
 夏は色の濃いものを要求されますが、注意してもらいたいのは、表が濃いタイプは葉裏が意外に白っぽいということです。表が淡いのは葉裏も表と近い色合いのものが多いので、葉色の差がないタイプのほうがかえって束ねたときに見栄えがよいのではなかろうかと私は思っています。上から葉菜類を見たのと束ねた姿とはずいぶん感じが違います。そんなところも踏まえて見てください。
 
 
【ナス】
 ナスは「千両2号」が発表後30年以上経過しています。短いもの、長いタイプのもの、より肉質のやわらかいものなど、在来の品種が地域ごとにあり、各種苗会社がそれらを残していこうと努力しています。「水ナス」は、荷いたみしやすいという欠点がありますが、やわらかくておいしいと評価されてきました。
 
 
【カラーピーマン】
 このごろはカラーピーマンがサラダの彩りなどでよく出てきています。これはもともと花が咲いて日数を置いておかないと色が付いてきません。花が咲いた後はまだグリーンで、それらが色づき完熟するまでの日数が温度の高い時期で60〜70日かかります。ということは、グリーンでとるよりも時間的に倍以上かかるわけですから、倍の値段で売れるか、収量的に倍でもとらないと農家は引き合わないわけですが、なかなか倍の値段で売れるということはありません。長い間木にぶらさがっているので、成り数も少ない。収穫労力があまりかからないというので作る人もいますが、単価の割には金がとれていないというのがカラーピーマンの世界だと思います。

 
【スイートコーン】
 スイートコーンの世界は、このごろはバイカラーの世界からまた黄色の世界に戻ってきました。黄色の世界は、「未来」が出てくる前は「キャンベラ」が主流でしたが、「みらい」が出て一気にスイートコーンに変わり、より甘く皮がやわらかく食べられるタイプになってきました。皮がやわらかいということは、棚もちが悪いという要素につながります。中に含まれている種というか胚乳のところが澱粉質が少なく糖質が多いので、ちょっと過熟になるとシワになりやすい。ですから、適期に食べてほしいと思います。これは作るときに温度が低いと種が発芽しにくいという要素をもっています。発芽しにくいのです。

 
【枝豆】
 次に枝豆ですが、最近茶豆や黒豆が新品種として売り出されています。茶豆のほうがうまいという声もありますが、関東の人は意外に黒豆がいいという人も多い。臭いがあるより食味がよいほうがよいということです。千葉県あたりでは、担ぎ屋さんがちょっと変わったものを販売したいというので、黒豆が出ています。

 
【カボチャ】
カボチャは「エビス」につながって「ホッコリエビス」など、より粉質になるタイプのもの、または開花してから収穫まで早いタイプのものを並べて入っています。小型のタイプで料理せずに電子レンジで食べられる簡便タイプのカボチャもおもしろい商材かなと思っています。

 
【キャベツ】
 キャベツも品種により玉がいろいろあろうかと思います。寒玉系(冬玉)のもの、春玉タイプ、その中間のものとあります。これも家庭用、業務用があり、流通による箱の形態が平箱に変わってきました。形態を出荷箱に合わせるということで、あまり厚い玉は好まれません。関東県内はみな箱に入る8玉でないと売りにくいということで、箱に合ったサイズにどう作るかということがキャベツの世界になってきています。

 割れないということがよいのか悪いのか。昨年はキャベツの大産地で適期のものが畑でどんどん割れるということが起こりましたが、割れないというのも業務用ならともかく市場出荷になると多少問題があるかと思います。形状が出荷形態に合うということと、食べてうまいということが大切な要素です。結球野菜は完熟状態になるのが一番うまく、割れる直前、割れたぐらいが一番うまみがのってきます。

 結球野菜は生理形態的に低温完熟条件になっていくほうが結球はしやすいんです。白菜、レタス、キャベツにせよ、いわゆる秋から冬にとるほうがおいしいといえます。
 
 
【レタス】
 ほとんどの洋菜類・根菜類はアブラナ科ですが、レタスはキク科で花が咲く時期がアブラナ科と違います。最近急激に伸びてきました。茨城県でも白菜の産地がレタスに切り替えるということで産地の動きも活発です。比較的高値安定ということもあり、白菜からキャベツやレタス、中でもレタスに変わるほうが多いかと思います。ただ茨城県を中心として関東全体にいえますが、畑が肥沃化してきているだけに非常に作りにくくなってきています。品種も選ばないといけません。特にレタスは播種期と肥料のかねあいで結球したりしなかったりします。大きくなりすぎる状況になりやすいので、畑の選択と同時に、品種選択もしていかないといいものがとれません。

 ことし(2001年)2月は非常に高値になりました。あのときに良い玉がとれたという人は、たぶん平年だと大きくなりすぎる品種を作っていた人だと思います。生育が旺盛になりすぎるきらいが産地に見られるようになりました。

 園地にはバークレー、ウィザード、カスケードなどの品種があり、これらは食べておいしいというタイプです。バークレーは収穫期の幅が比較的狭いです。

 レタスの新たな産地は、契約栽培で、量販店やファミリーレストラン等のサラダ用にということでカットにされるレタスの面積が増えています。そうなると大玉のコンテナ出荷が求められます。レタスの面積は増えていますが、内容は市場向け出荷だけでなく、用途がいろいろ変わってきています。

 
【ミブナ】
 京野菜のミブナは、関東でも埼玉県経済連などが力を入れています。本来ならば2kgくらいの大きな株を作りますが、周年出荷というわけにいきません。小株や中株であれば比較的周年出荷できるということで作られています。千枚漬を樽で買うと、中に青い菜っ葉が入っているのがミブナです。いわゆる関東京菜といわれる、細いタイプのミブナは、ホウレンソウやコマツナを作っている人から注目されつつあります。

 
【カブ】
 カブは品目的には保守的な野菜だと思います。なぜ食べられない尻尾が細く伸びているのか、玉の格好もこうでないといけないというこだわりの強い品種だと思います。コマツナも丸い葉じゃないとだめとか、袴がついて長丸葉でないとだめだとか、産地により「こうでなければいけない」といううるさいことを言っていましたが、いまはそれほどでもなくなりました。

 カブは病気が出やすい。特に夏のカブに根コブ病が出てくるということで、病気に強い品種も夏場は作られてきています。玉や葉の姿がよく、バランスがとれている、食べておいしいのがよいカブといういうことになろうかと思います。タキイでは小カブだけでなく、「耐病ひかり」を中心に、「スワン」というサラダにしておいしいカブもあります。比較的玉としては大きめになっています。

 
【ダイコン】
 ダイコンも葉さえできれば下が肥ってくるというのでなく、あまり葉を作りすぎないで根を肥らせていくのが上手な作り方です。関東の火山灰だとどうしても葉ができやすく、雨がひと降りすると葉が伸びるということで、伸びすぎるとダイコンの肥りが遅れる、短くなりやすい、割れやすいという面も出てきます。バランスのとれた作り方をしていかなければいけません。ダイコンは青首一点ばりにならないように注意しています。

 
【ニンジン】
 ニンジンは「向陽2号」という品種を春播きで主に使っていただき、市場向けにかなりの分量が出ていると思います。「向陽2号」は生産者側からすると、ニンジンの肌にアバタ(シミ)ができにくいので、商品価値が高い、だから作りやすいということがあります。

 ニンジンもだんだん栽培形態が変わってきていて、千葉の富里や八街などでも機械収穫が増えてきました。ですから、機械に通りやすい、収穫しやすいタイプが残っていくのではないかと思います。ということは、衝撃に強い、割れにくい、堅いタイプでないとなかなか商品価値を保ち得ないということです。葉がしっかりしている、肉がしっかりして傷がつかない、割れないということが求められてくるでしょう。もっとも、あまりそういう方向に動いていっても困ります。当社としても品質がよいものをたくさん栽培してほしい。そういうタネをたくさん売りたいという面はありますが、生産者サイドの高齢化、後継者不足などの問題があって、大面積に集約されてくると機械化もしかたがないのかなということを感じています。

 
【ハクサイ】
 関東の産地を見ていて、一番大型化しているのがハクサイだと思います。ハクサイ産地の八千代に行ってびっくりしましたが、通年で60〜80町歩ぐらいの面積を平気でこなす人間もいる一方、屋敷回りの1町歩をやるのが精一杯というお年寄りの生産者もいます。どちらが増えていくかというと、やはり大規模生産していく生産者が増えていくと思います。畑はいくらでも貸してくれるし、彼らはマイクロバスに収穫の外国人を乗せ、大型10tトラックに段ボールを載せて、借りる畑は高速道路のインター近くでないといやだとか、大型トラックが横付けできないような畑は借りないという状態で、1反歩のハクサイを1時間未満で収穫して次の畑に移っていきます。トラックに積んで高速道路に入ってからどこへもっていくかということをしているような人もいます。非常に極端な方向に動いてくるのではないかと思っています。
 こういう状況が増えてくると、サラリーマンの世界よりも農業の世界に入りたいという若者が増えてくると思います。そうなると、こうでないといけないとか、こうしないといけないでなく、自分の責任において決めていく農業に魅力を感じて入ってくる人もいるでしょう。しかし、職業の自由の選択があるといっても、簡単には農地は買えないのです。そこらが職業の自由が本当にあるのかなと疑問に思うところです。

 農場へ行くと、若い育成者たち(ブリーダー)がいます。自分の作った品種が産地に作られ、それが八百屋さんや量販店に並び、消費者の食卓にあがるということを夢見て仕事をしていますので、ぜひとも「こんな野菜を作ってほしい」というようなことをアドバイスいただければと思います。
 栽培のしかたはいろいろなので、研究農場で見た品種が各産地にいって同じ姿であるということでなく、いろいろな姿になると思いますが、基本的なところは大きくは変わらないだろうと思います。生産者もうまいのを食べてほしいと努力していますので、その意味でも流通に携わる方々の意見が貴重です。



 
【質問1】
 タキイさんの「桃太郎」はネーミングがおもしろいと思いますが、ネーミングの付け方、エピソードがないのか教えてください。「金太郎」はないのですか。


 
【岡本さん】
 「金太郎」は別会社のマクワウリです。ネーミングは苦労しています。なんでもよいから名前をつければということでなく、1つの品種に名前が2つあっても困るし、1つの名前で別メーカーで違う品種ということでも困るというので、日本種苗協会が名称登録を義務づけています。種苗協会に登録しているメーカーはかちあうことはありません。字で桃太郎と登録したら、カタカナ、漢字、平仮名全部だめです。品種名を育成者がつけていたという時代もありますが、このごろは社内公募します。ネーミング委員が各部署から出てきて、それぞれ候補を出し、最終的に決まると報奨が出るという仕組みにしています。ただ育成者の名前が最終的に残ってくるということは多いようです。

 時々電話でかかってきますが、「モロッコインゲンはモロッコでできたからですか」という問い合わせは困ってしまいます。特に意味なくモロッコとつけたそうですから。アジアの砂漠で豆類が生産されることはないと思います。

 

 それと語呂合わせの名前もだいぶあります。関連性のある名前を付けていきたいということで失敗例もあります。コマツナで「楽天」があり、「夏楽天」も作ったところ、「夏じゃないだろう。冬のほうがよい出来になる。ネーミングが悪い」と生産者から言われたことがあります。「笑天」「極楽天」としたら、「次はなんだ、どんどん上にのぼっていくのか」と言われたこともあります(笑)。斬新なひらめきがないとネーミングは難しいですね。コマツナ菜は女性名が多いです。うちも以前は「おしん」などという名前をつけたことがあります。これはテレビドラマがあった直後だと思います。
さつきみどり2号はインゲン


 
【質問】
 スナップかスナックインゲンどちらですか。

 
【岡本さん】
 うちはスナップインゲンですが、メーカーによる違いがあると思います。
 
 
【江沢さん】
 ココとかペペとかあるけど、「千果」(ちか)はんがつくと「ちかん」になっちゃう。「せんか」のほうがいいと思う。

 
【岡本さん】
 紛らわしいのがあると困るんですよね。「春笑い」「初笑い」というのがあって、クレームの対象になるのではないかとヒヤヒヤしています。品種名というのは関連づけないといけないというものの、へたに関連させるとだめになるということもありますし、「秋まき」何とかとつけると、秋しかまけないと思われてしまうし、春にもまけますよというと、「秋まきと書いてあるじゃないか」と言われてしまう。常にそこらの問題は残っていると思います。しかし、ネーミングで動くというものも中にはあります。うちとしても重要な要素と思ってはいますが、なかなかいい名前が出てきません。

 一般名称で「美濃早生大根」とかいう名称はかちあってもかまわないといわれています。

 タネの話になりましたが、このごろ我々が売っているタネはF-1という交配種になっています。最近有機などをしている人たちが「F-1のタネは取り返しがきかないからだめだ」と言っていますが、トマトのタネをまいてもトマトにはなります、しかし、同じものはとれないという意味合いです。メンデルの法則で学生時代に習ったと思いますが、分離の法則で1つの形質に対して3対1に分かれるということです。葉の色が黄色と黒、トマトの実が赤とピンクのかけあわせをすると、1つの形質について3対1ですから、2つになると9:3:3:1に分かれます。この形質が3つになるとさらに雑多なものが出てくる。そういうことでF-1品種というのは、生産したものについて生産者が金がとれるような形質に揃えてきているのです。ですから、収量がよい、形がよい、食べておいしいというような要素になっています。F-1を作る場合、ある程度純系にしたもの同士をA×Bということで2つかけあわせをします。純系にするということはそれだけ遺伝子が少なくなるということです。ですから、作ったものが揃いがよいということは、栽培適応能力に対する環境条件に対しては幅が狭くなっているので、F-1種で金をとろうと思えば、その品種にあった条件を与えてやらないといいものがとれません。上手に作る人は金がとれるけれど、ただまいただけという人はなかなかいいものはとれません。F-1種においては栽培をきちんとやっていただきたいと思います。

 交配種に対して、昔からあったものを固定種、在来種、一般種といった表現をしています。このタイプのものは、F-1と違って、収穫物がいろいろな形態になります。これは遺伝子がいろいろとりまぜて入っているので、栽培の適応能力は幅広くなり、少しぐらいの気候の変化ならばそれぞれの遺伝子が能力を発揮するので、そこそこのものがとれるわけです。交配種と一般種との使い分けをしていかなければいけません。このごろはF-1だとどんな作りをしてもいいものがとれるという感覚が生産者に強くなってきました。種苗会社のほうでも、その考えを助長するような表現を用いてきたのが間違いの元になったので、修正をしていかなければいけないと思います。
 
 今研究農場ではほとんどF-1種ですが、レタス、ゴボウ、シュンギクはまだほとんどが固定種だと思います。しかし、主力な品目で交配種になっていないのはレタスぐらいだと思っていただいていいでしょう。