◆芦沢先生の話
■カボチャ
日本で食べているカボチャには洋種、和種、ペポと3種類あります。世界にはもう1種類ありますが、日本ではあまり食べていないので3種類ということにしています。日本では種類を分けずにカボチャとして食べていて、英語でもパンプキン・スコッシュ(pumpkin&squash)と言いますが、植物分類上の種類とは錯綜iしており、大変やっかいです。
日本カボチャの特徴は、果梗の下が星型になっていて、葉はガサガサとした感じで、葉脈の付け根のところに白い斑点があることです。洋種カボチャはどちらかというと葉がやわらかい感じで丸みがあって、斑点が出ません。ペポカボチャは切れ込みがあってトゲがあります。葉を見れば洋種カボチャか和種カボチャかがわかります。
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数十年前、日本のカボチャは和種が主体で、ほとんど90%を占めていました。洋種は東北か北海道でしか作れなかったので、あまり出てこなかったのですが、品種改良が進んだのと、トンネル栽培をするようになったので、南の方まで作れるようになったのです。それと、和種はどちらかというと煮物など醤油を使う料理によく合うものですから、食生活の洋風化につれてだんだんとすたれてきて、今では洋種に変わってきてしまいました。 |
ねっとり型と粉質型がありますが、和種はねっとり型で、甘みもそれほど強くありません。日本では粉質、半粉質のものが好まれています。全体として、黒皮黒カボチャは粉質のものが多い。ペポカボチャは種々雑多で、有名なのは金糸うりです。この頃はほとんど使われなくなっていますが、高級料理などで使う「錦甘露」は頭の部分を切って中を出して詰め物をして蒸したりするのに使われますが、これもペポカボチャです。日本にペポカボチャが知られてきたのは、「錦甘露」と「なますウリ」があったからですが、最近になって「ズッキーニ」が食べられるようになってきました。
「ズッキーニ」は他のカボチャと違って、若い熟したものは食べず、硬いものを食べます。キュウリの化け物という人もいます(笑)。食べ方は若いカボチャを輪切りにしたり、生でも焼いても食べられるという変わったものです。日本では緑色や黄色のものがありますが、ヨーロッパにはピンクなどいろいろなものがあります。日本では若いものしか食べませんが、大きくして果肉をかき出し、小麦粉と混ぜて焼いて食べるという食べ方もかなりあります。日本では新参者ですが、ヨーロッパではかなりたくさん食べられています。
最近洋種とペポの雑種みたいなものも生まれてきています。「プッティーニ」「坊ちゃん」などはあまり大きくなりませんが、育成するときにいろいろなものをかけあわせて小さく育てたものです。これはキャベツや白菜にもいえることですが、大きいのを切って売るか、それとも小さくして丸のまま売るかというところです。かつて日本では切り売りといえば西瓜ぐらいでしたが、最近はダイコンでも白菜でも切り売りをしています。いろいろなことをして雑種を作り、それらが品種改良にも使われています。
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洋(南アメリカ) |
黒皮栗(えびす、みやこ)青皮栗 |
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(芳香青皮甘栗:東京カボチャ) |
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赤皮栗(赤ずきん) |
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白皮栗(伯爵、雪化粧) |
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和(中央アメリカ) |
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ペポ(中央アメリカ) |
錦甘露(テーブルクイーン) |
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金糸瓜(なます そうめん) |
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ズッキーニ |
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ズッキーニは緑色が主体で、それ以外はほとんど見かけませんが、黄色、ピンク、ぶちになるのもあり、ペポには空飛ぶ円盤のような格好をした(スキャロープ、ディッシュ)ものもあり、南ヨーロッパではかなり栽培されています。和種カボチャは温度が高くないとできないので、福島県から南でないと作れません。したがって、関東以南でいろいろなものが作られています。一般にギザギザがありますが、中にはツル首といってツルの首のように長くなるものもあり、今でも若干作られています。最近はふるさと野菜の復活といった機運で、そういうものが作られるようになってきました。
洋種では黒皮栗、色が黒くありませんが、色がかなり濃いので黒皮栗と呼ばれています。そのほかに、青皮栗、赤皮栗、白皮栗などがあります。しかし、現在日本で作られている主体は黒皮栗です。洋種カボチャ普及のハシリになったのが青皮栗で、芳香青皮栗というのがあります。一時期は「芳香カボチャ」というのが洋種カボチャの中で全国を制覇し洋種カボチャ普及の先鞭をつけましたが、より粉質で作りやすい黒皮が生まれて、今ではほとんど全部黒皮になってしまいました。赤皮栗は、赤というよりも朱色をしたもので、肉質はどちらかというと粘質です。粘質は嫌われているというよりも、黒皮の粉質のほうが好まれるものですから赤皮栗は今一つ伸び悩み、カボチャとしてはみな黒皮栗ばかりになっています。
和種カボチャは醤油との相性がよいので日本風な惣菜料理に使われていたが、今はそういう料理がはやらなくなって廃れてきたということです。
それから洋種は西洋のこと、和種は日本のことをさしますが、カボチャ自体は西洋や日本で生まれたものでなく、アメリカ大陸で生まれたわけで、和種カボチャは中央アメリカ、洋種カボチャは南アメリカ、ペポカボチャもどちらかというと中央アメリカの原産です。これがヨーロッパに渡って、それから日本へ入ってきたのです。洋種カボチャは冷涼な気候で、しかも雨が少ないところでないと良いものができなかったので、日本へ入ってきた当初は北海道と東北の一部で作られていただけで、他の所には普及しませんでした。和種カボチャは比較的温度が高くて、しかも湿気のある所でうまくできるものですから、日本中に広がっていろいろな品種が生まれたということです。
洋種の発生中心(原産地)は南アメリカ、和種の発生中心は中央アメリカといわれていますが、これが一次発生中心です。和種カボチャは日本へ渡ってきて気候が合ったので、世界における二次発生中心といわれるぐらいに発達しました。原産地という意味で、昔は「源生中枢」といわれていましたが、今では「発生中心」という言葉が使われています。
カボチャについては
・種類としての動きがあるということ
・「芳香青皮甘栗」という適用範囲が広い早生品種が生まれて日本中で普及した。それにはビニールのトンネル栽培が大きな役割を果たした。雨が降ってもビニールでよけ、株元が湿気が高くならないということで発達した。洋種のほうがより粉質で、栽培がしやすく、収量があがるので、現在のように洋種全盛に変わってきた。
ということです。
昔、洋種カボチャで「まさかりカボチャ」という大変大きなものが北海道にありました。皮が硬くてまさかりで割らなければいけないほどでしたが、粉質で大変おいしかったカボチャです。
和種が日本へ入ってきたのは戦国時代(1500年代)で、洋種も同時代に入ってきたのですが、その時にはうまく栽培できず、幕末になって入ってきたものが北海道で定着したのです。
現在輸入されているメキシコ産カボチャは黒皮栗で、日本から種子をもっていって向こうで栽培しています。トンガやニュージーランド、オーストラリアで作っているものも日本でごく最近品種改良したものを向こうで栽培し輸入しているのです。
洋種のカボチャはかつては時期を外して沖縄からずいぶん入っていましたが、今では輸入物がかなりのシェアを占め、半分以上になっています。日本は夏から秋にかけてですが、向こうは日本の真冬に作るわけなので、ある意味では騒ぎになるほどにはかちあわないのですが、沖縄はカボチャの産地としては成り立たなくなってしまいました。
カボチャが冷涼な気候を好むといっても温度格差があるとよいものができます。日中27〜28度で、夜間は5度くらい下がるというような気候条件だとでんぷんの蓄積がいいので、北海道では非常に品質のよいものができます。九州で作ると早くできますが、品質的には北海道のものがいいということです。
【質問】なぜカボチャがとれない冬至の時期にカボチャを食べるというのか。
日本カボチャは日持ちがよいので、冬までおいて冬至のときに食べたわけです。昔は大きくて貯蔵性があったので、どこかその辺りに転がしておけば冬至まで日持ちし、それを冬至に食べると健康によいというので食べていました。しかし、そこまで置いてしまうと、あまりおいしくありません。
■レタス
古い言葉でいえばチシャです。レタスには「玉チシャ」「葉チシャ」「立チシャ」「かきチシャ」の4つがあります。チシャの中には、クリスプとバターという2つのタイプがあり、日本ではクリスプのことをレタスといい、バターヘッドタイプはサラダ菜と呼びました。
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玉 |
クリスプ→レタス |
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バター→サラダナ |
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葉 |
サニー |
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立 |
ロメイン、コス |
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かき |
茎 |
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かき |
サンチェ 包菜 |
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「葉チシャ」は玉にならないもので、葉チシャの普及に貢献したのがサニーレタスです。
「立チシャ」は日本ではほとんど食べられていなかったのですが、最近見られるようになりました。ロメインともコスともいいます。若いのを食べるとレタスとしては大変おいしいので、最近見られるようになりました。「掻チシャ」は葉を掻いて食べるから、掻チシャといったのですが、掻き取った葉で焼き肉を包んで食べるので、焼き肉レタスと呼ばれ、「サンチェ」とも呼ばれるようになりました。サンチェは韓国語からきた言葉のようですが、いろいろなものを包んで食べるから「包菜」とか「焼き肉レタス」とかいわれています。
「掻チシャ」と同じ仲間ですが、大きくなった茎を食べるレタス「茎チシャ」は中国に行くとずいぶん出てきています。
チシャという言葉は平安時代にはあり、「掻チシャ」につけた名前がチシャです。ヨーロッパではいわゆるレタスを「レタス」と呼んでいます。実際には全部レタス類ですけれども、クリスプ(レタス)に比べるととてもレタスとは思えないものもあります。日本ではこれらを全部使い分けています。
バター・ヘッド型のサラダナは肉・魚料理などの敷物によく使われますが、サニーレタスやその仲間がたくさん出てきて、すたれてしまいました。東京の江戸川あたりでは多く栽培されています。
【質問】やまくらげは?
やまくらげは「茎チシャ」と「掻チシャ」とほとんど同じようなものですが、これを裂いて干したものが「やまくらげ」で、「チシャトウ」のことです。
中国山東省に日本との合弁会社があり、そこから輸入されています。チシャトウというのは「茎チシャ」で短いものと長いものがあり、皮をむいて小さく切って食べます。生でも食べます。
チコリー(アンディーブ) トレビス、レッドチコリー エンダイブ(シコレ)
西洋料理のプロの料理人たちは、チコリーをアンディーブ、エンダイブをシコレとフランス語でいいます。植物としては全部キク科です。共通点としては苦味があることで、裂くと白い乳液が出ます。キク科なのでレタスは黄色いきれいな小菊のような花ですが、チコリは青い花が咲きます。
トレビスはイタリア語からなんとなく付けられた日本名ですが、レッドチコリのことです。我々が知っているトレビスはレタスの赤いようなものですが、イタリアに行くと全く結球しない長いもの、赤と白のぶちみたいなものもあります。
シュンギクもキク科で、原産地は地中海ですが、ヨーロッパの人たちはこれを食べずに黄色いかわいい花を鑑賞し、中国、ベトナムでよく食べます。
レタスは学名でラクチカ(lactuca)といいますが、これは乳のことです。和名の知者は、乳のような白い液が出るから、乳草でそれが縮められたといわれています。
ヨーロッパでレタスはラテン語からきたそうですが、これも乳の意味です。東も西も同じ発想で世界共通の名前が出てきたのがおもろしろいところです。
【質問】レタスは若いときのほうがおいしい?
回答・杉本さん:冬場は締まってきて重くなると、苦味が多くなる。元来はチシャは全部苦い。それを若どりすることによって、苦くないうちに食べようというのが日本の食べ方である。
レタスはキャベツや白菜と同じでキュッと締まったものがいいとされ、出荷されていた。ところが、最近になってギュッとなると苦味が強くなるので、少し軟らかいもののほうがよいということで、レタスの産地は若どりするようになった。そうすると、苦味が少ない。
■エダマメ
エダマメは植物としてはダイズの若どりしているものです。エダマメになるようなダイズの品種を選んでいます。エダマメはこうでないといけないということがたくさんあります。たとえば「サヤが密について実が充実している」ということですが、サヤが密についていて、早生でサヤが大きく分枝が多く、サヤつきがよいということは、植物として相反することばかりなのでありえない、とダイズ研究者が言っています。サヤつきが粗であれば大きくなるし、分枝が多ければサヤが小さくなってきます。
トマトでは「早生で果実が大きくて収量がある」ものが求められますが、早生であれば収量が落ちるに決まってるし、果実が大きければ早生でありうるわけはない。エダマメでも同様で、要求されていることの中には相反するものがあるということです。
「だだちゃ豆」はうっかり手を入れると独特の風味がなくなり、作る時期が限られ、豆の充実もふつうに作られているエダマメよりも悪い。これにうっかり手を入れると本来のうまみがなくなってくるということで、種苗会社泣かせです。無理をしてもしかたがないし、うっかり手をつけて文句をいわれても困るという感じも強いわけです。ダイズ自体は生産量がガタ落ちしていますが、エダマメだけは増えてきて最近少し落ち気味になっているということです。
エダマメはサヤの毛が白いものと茶色のものがあり、白毛で黄色い豆のものが主体ですが、最近は黒豆のエダマメが出てきています。
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