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2004年(平成16年) 8月22日 (日) 第5回
学習テーマ「ピーマン、梨、ブドウ」

 
 
●江澤正平先生の話

・八百屋さんが元気がよいとお客さんも元気になるわけですから、食事計画をきっちり作って八百屋さんも野菜を食べてください。


・野菜の消費が減っています。野菜は食べられてしまうと野菜の生命がなくなるから防御物質を作っている。それを乗り越えて我々人間が食べているわけです。このため、子どものうちはまだ体ができていないから野菜が好きというわけにはいかない。子どもに無理やり野菜を食べさせようとしてもだめです。若者の冷蔵庫には残り物がありません。たいがい捨てるか、あまり買わないかです。野菜は料理して食べるのに手間がかかるので、若者はあまり使わないのです。若者にも常備菜という形で食べる、残り物は火を入れるというような昔のような考え方で野菜をすすめれば食べてもらえると思います。
 
 65歳以上は、野菜が(金儲け主義のおかげで)まずくなってきているのであまり食べないという人が増えています。そうすると、子どもからお年寄りまで野菜になじんでいないという状況になっています。これをおいしく食べさせるにはどうしたらよいかと考えてほしいと思います。

 若い人たちにはピーマンを炒めてそうめん類に入れるとか、ごぼうをみそ煮にするとか、簡単な食べ方を教えてあげる。お年寄りにはカボチャをはもっと細かく切って提供するなど、いろいろ考えて販売していただきたい。
 

・1960年に農業基本法ができて、時勢に合わなくなって1999年に食料農業農村基本法ができたが、それも見直そうという動きもあります。各国との流通が盛んになってくると、日本は工業製品を輸出したい、海外は農産物を日本に買ってほしい、そのせめぎあいです。WTOの問題というよりも、個々の国同士、二国間の動きが盛んになってくるということを踏まえて農業をどうするかが問題になってきます。農産物を輸入すると食料自給率が下がるということを考えてください。

・野菜をもっともっと食べさせるには、やはりおいしく食べさせることです。それには食べ物屋になる必要があります。ウォルマートなど海外資本も入って流通再編が進み、青果店を取り巻く状況は厳しくなるでしょう。けれども八百屋が食べ物屋として商売していればお客さんはわかってくれると思います。

 
■ピーマン

・ピーマンは熱帯アメリカ、北アメリカと南アメリカのぶつかるところが原産地。唐辛子の仲間の辛みの少ない野菜である。ヨーロッパへ伝わって、そこから各地へ広まった。日本では安土桃山時代にシシトウが入ってきた。シシトウの「シシ」というのは、ピーマンと同じように一つの品種で、シシの唐辛子という意味でシシトウとなった。「伏見甘」は甘い唐辛子ということで出てきて、みそによく合う。

・ピーマンが入ってきたのは昭和の初め。戦後になっていろいろな形のピーマンが出てきた。肉厚と肉薄のものがあるが、昭和の終わり頃から大きなジャンボピーマン、パブリカが出てきた。パプリカはオランダから輸入され、韓国物も多くなってきた。栄養価が高く、熟すると甘くなる。肉厚なのでいつまでも外観がいたまないように見えるが、とりたてのほうがうまい。

・ピーマンの中で、唐辛子の辛さが残っているものでは「かぐらなんばん」がある。 
・ピーマンは和風、中華風、洋風、すべてによく合う。ピーマンを揚げてそうめんつゆにひたすと美味。簡単なのでお客さんにも教えてあげてほしい。


■梨

・梨には日本梨、中国梨(ヤーリー、ツーリーなど)、西洋梨がある。日本梨は日本が原産地。多摩川などは第二の原産地といわれるぐらい豊富な種をもっている。

・赤梨、青梨があり、長十郎は赤梨、幸水は赤梨と青梨を交配したもの。青梨といっても、二十世紀は完熟すると色が黄色くなる。
 

赤梨を代表する品種 豊水


・梨の場合、早どりしているので、日持ちはよくない。果物は完熟させたほうがよいし、温度管理をするとうまいものができる。完熟させると傷みが早くなって日持ちが悪い。このため早どりするのが今後の課題だろう。

・林フルーツの先代社長は、幸水を売るときに長十郎と区別するためにお尻の部分を上に向けて売った。以後、この販売方法が広まった。

・西洋梨はねっとりして、とろけるようなメルティング質だが、日本梨はガリガリし、サンドペアーといわれている。梨の消費は増えているが、うまい梨を提供していないという問題がある。


■ブドウ

・ブドウは日本古来のものでなく、原産地は中央アジアの西方、西ヨーロッパ地中海沿岸から中国へ伝わった。

・ブドウは世界中で最も多く栽培されている果物だが、フランス177万ha、イタリー170万ha、スペイン150万ha、ドイツ80万heなどに比べると日本は2万haで少ない。ヨーロッパはブドウ酒の用途が多い。

・ブドウはヨーロッパ種とアメリカ種と2集類ある。ヨーロッパ種はブドウの皮が薄く食べにくい。日本人は皮を出すが、向こうは皮のまま食べる習慣がある。房が大きく脱粒はない。肉質はよく美味。一方、アメリカのブドウは皮が厚く、房を大きくすると脱粒が多い。ブドウが押しくらまんじゅうをしているような形をしている。

・日本で一番古いのは甲州ブドウ。鎌倉時代に甲州ブドウだけはヨーロッパから中国経由で伝わった。

・明治時代に伝わったブドウは、ブドウ酒を作るために入ってきた。その後、国策として繭とお米の生産が奨励され、果物は保護されなくなったが、そのおかげで、よい生産者が生まれ、よい品種が生まれてきたといえる。

・日本ではアメリカブドウが主になっている。ヨーロッパブドウを交配したものもあるが、デラウェア、ネオマスカット、ベリーA、キャンベルなど、作りやすいアメリカブドウが中心でになっている。

・ブドウは種が黒ければ熟している。

・藤稔や巨峰はアメリカブドウを交配してできたものなので脱粒し、臭いがある。イギリスのサッチャー元首相が来日したときに巨峰を出されて食べられなかったというエピソードがある。食べるとキツネの臭いがするからということだが、イギリス人はキツネ狩りをするので、キツネの臭いに敏感なのだろう。

・アレキやネオマスカットは緑色をしていても完熟すると飴色っぽくなる。完熟しても緑色のままなのはナイアガラぐらい。黄色くなると商品価値がないという人もいるが、完熟して黄色くなったのをもってくればネオマスなどはおいしい。温度管理をしてもってくればさらにうまくなる。果物は温度管理をしなければいけない。
 


(株)橋本商店 橋本幾男さんの話

【梨】

・梨は注意しないと、早い時期にジベレリン(成長促進剤)を使っている地域があり、ジベ処理をした梨はどうしても軟らかくなるのが早い。梨は芯の部分が細くしっかりしているのが本来の姿だが、ジベを使うと芯の部分が太くなることがある。

・幸水は1959(昭和34)年に品種登録されたが、当時東京市場では長十郎が優勢で幸水はあまり売れず、横浜、川崎方面の市場だけで人気があった。その後、5〜6年くらいたって売れるようになり、今では主力品種になった。ただし、長十郎も袋がけをして木で完熟させると、幸水よりもうまいと思う。

・無袋にすると、どうしても梨がかたくなってしまう。市場を通して、生産者に有袋で作ってくれと頼んでもらったが、手間がかかるから生産者も作らないそうだ。

・豊水は酸味が残って味がバラつく。豊水の後に出てくる南水がよく、産地がうまく貯蔵すれば翌年4月頃までもつので、最近は豊水の冷蔵物がなくなってきた。
 
・赤梨は、十分熟して茶色をしているものがうまい。だが近年は若切りされて青い色で販売されている。これだと店頭で日持ちするからスーパーは売りやすい。スーパーのいうことなどきくなというのだが、スーパーの売りやすい流通になっていく。(鮮度を重視して早く売り切る)野菜の感覚で売っていけば、梨はおいしく食べられると思う。

・これは300円で販売されていたが、梨の皮むきが簡単にできる。皮をむくのを面倒だと思う人もいるので、こういうものを店で取り扱ってもおもしろい。
 

【ブドウ】

・ロザリオビアンコはロザキとアレキを交配したもの。ロザキ自体はあまりおいしくないが、アレキとかけあわせてうまいブドウになった。

・レディースフィンガーは先が茶色くなっていたみやすい。青ブドウの味は淡白なので、甘さはあっさりしていると説明しないと、黒ブドウの感覚で「甘くなかった」といわれることがあるので、販売時に気をつけてほしい。

・ゴルビーはまだ仮の名前で昨年から売り始めているが評判がよい。

・ブドウを試食させるときには縦に2つに割っている。こうすると種なしのものはすぐわかるし、試食させると少々高くても売れる。

・瀬戸ジャイアンツは風変わりな形がしっかり出ているものは品質もよく、あっさりしていて食べやすい。ただしやや糖度が低い。去年は爆発的に売れたが、サビが出やすくいたみが早いのが欠点。産地からは袋に入っているのでよけいにいたみが出る。

・このごろは黒ブドウがよく売れ、赤や青のブドウはお客があまりのってこない。黒ブドウでジベ処理してあるものは脱粒しやすく、特に、種なし藤稔はボロボロ落ちる。

・贈答用には赤や青ブドウを詰め合わせて送るようにしているが、白い薄紙で房を包んで箱に詰め直すとあまり脱粒しない。また、クール便にするとぬれて脱粒しやすくなるので、夏場はしかたがないが、気温が下がってきたらクール便を使わないほうがいい。白い紙で中が動かないように包み、「取扱注意」のシールを貼っておけばお客からの苦情はこない。そのあたりをブドウの販売ではとくに気をつけてほしい。

アレキサンドリア(岡山)
緑黄色から完熟すれば淡黄色に。マスカット香をもつ。

ネオマスカット(岡山)
露地栽培のできるヨーロッパブドウ。短楕円形で大きさは7〜8g。甘みが強くマスカット香をもつ。

   

ロザリオビアンコ(山梨、長野)
白黄色の大房系。甘みが強く、糖度も20度位と高い。

レディースフィンガー(山梨)
女性の指のような果形。皮ごと食べられ、あっさりとした食感で、品のよい甘さ。

   

ロザリオロッソ(長野)
大粒果で白黄色の大房形。甘みが強く、糖度も20度位と高い。
 

(種なし)ゴルビー(山梨)
赤色品種で食味と品質に優れ、大粒果。糖度も高く(20〜21度)で、ジベ処理により無核となる。

   

(種なし)安芸クイン(山梨)
赤色、大粒種で美しい鮮紅色、食味も巨峰よりなめらかで、糖度も高い(18〜20度)。

甲斐路(山梨)
マスカットの香りがあり、果汁多く高糖度。やや果肉との皮ばなれが悪い。

   

(種なし)巨峰(山梨)
大きさ10〜15g。果汁が多く、甘みが強く、食味良好。

(種なし)ピオーネ(山梨)
巨峰よりも大きく、真黒色で美しい。濃厚な味。ジベ処理により無核になる。

 

   
 

(種なし)藤稔(山梨)
400〜600gの果房で、果粒は1粒20〜26gにもなる巨大粒であり、多汁で食味良好。

 
   

鈴木寛先生の商品説明

【ピーマン】

・ピーマンは全体で110%近い入荷増、反面単価安で安値低迷。

・高知JAれいほくは「みおぎ」(赤ピーマン)という品種が増えてきている。収量性よく大型になりやすい。

・「さらら」は北海道のJA東川でサラダピーマンと銘打って販売。大型でやわらかいのが売りになっている。

 
・パブリカも取扱量が増えてきている。韓国、オランダの順で輸入されている。韓国は国の施策としてミニトマトに力を入れていたが、近年はパプリカの輸出が増えている。パブリカは赤・黄・オレンジ・緑・紫・白・茶・黒色の8色あるが、色によって内容も違うということを消費者に教えてほしい。黄色が一番甘く、オレンジは甘味プラス酸味があり、赤は酸味が勝っている。茶はほのかな甘み、紫・白・黒は甘味も酸味もない。

・伏見甘長とうがらしは「京都伝統野菜」。万願寺甘とうがらしは在来種だが、歴史が違うので「京都伝統野菜」に準ずる野菜になっている。九州でも作られるようになった。

・アナスタシアはロシアの品種で、ロシアの種を日本で契約して作っている。発ガン性抑制力があるといわれる。
商品説明をする、鈴木寛先生。右は試食の調理をする、荒井先生

・カラーピーマンといわれる中型タイプ3色をセットにしている産地もある。


試食の感想

【ピーマン、パプリカ】(生や揚げ浸しなど)
・パプリカはあまりおいしくない。

・黄色が一番おいしかった。

・北海道は生がみずみずしい。岩手は油との相性がよかった。

・パプリカはグリーンが青臭い。

・揚げ浸しは北海道のものがやわらかすぎた。パプリカはオレンジは甘く、黄色が食べやすい。

・揚げ浸しはたくさん食べられる。
 

鷹嶺とうがらし、万願寺甘とうがらし(京都)

かぐらなんばん(新潟)

この日学んだピーマン
ピーマン(岩手)、パプリカ(オランダ)、赤ピーマン(高知)など
鷹嶺とうがらし、万願寺甘とうがらし(京都)
かぐらなんばん(新潟)
サラダピーマン(北海道)
伏見甘長とうがらし(京都)
インド唐辛子、ハバネーロ、ハラペーニョなど珍しい世界のとうがらしも展示された


【梨】
・産地によって肉質違うから好みのものを選べばよい。長野の梨が甘みとしても好きだが、肉質が硬かった。

・食べ比べると幸水は栃木、長野が好き。

・梨は栃木がおいしかった。二十世紀は味が淡泊。

・長野の幸水がみずみずしかった。長野、茨城は甘みが強いがみずみずしさが足りない。

・酸味が入っているほうが好き。

・地元ということもあり、地元の人が持ち込んだものを売っているが、JAの選果場から出たものは青くてガリガリするという苦情をもらった。箱で売るときは日持ちしないといって売っている。もう少し赤めで売りたい。

・長野の幸水が一番おいしい。二十世紀は幸水を食べた後なのでおいしくなかった。

試食用、梨の皮むきに使用した皮むき器。
梨やりんごの皮が簡単に向けます。価格は300円くらいで、東急ハンズなどで入手できるそうです。

【ブドウ】
・ロザリオロッソはロザリオビアンコよりも酸味があった。

・好みとしては藤稔、マスカット系はあまりおいしくない。

・ロザリオビアンコが一番おいしい。ネオマスカットはあまりおいしくない。

・アレキと安芸クインがおいしかった。

 


■この日の見学者
 

 農業を学ぶ大学生の黒木孝昌さん(真ん中)は、野菜の美味しさ、食の安全性など様々なことを考えた後、「八百屋さんになりたい」と決心し、浅賀さん(右奥)の店で週2回研修中だそうです。八百屋塾も応援します。