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2004年(平成16年) 9月12日 (日) 第6回
学習テーマ「タマネギ、キノコ」

 
芦澤正和先生の話

タマネギ

 タマネギは植物としてネギ科ネギ属に属し、ネギ属は細分類すると約600種類もあります。植物の分類上、ユリ科の種類が多すぎるため、もう少し整理し、ネギ科を作ろうという話もあるぐらいです。ネギ属はほとんど全世界にあるといってもよいのですが、新大陸には比較的少なく、旧大陸には非常に広く分布しています。ネギ属には花として使われているものもかなりあります。ネギ属の中で一番大きいのはタマネギとネギです。不思議なことに、タマネギは西ヨーロッパの方で発達し、ネギは東側の中国を中心にしてアジアの方で発達しました。ネギの原産地にあたるのは中国であり、タマネギの原産はおそらく中央アジアであろうといわれています。その外、日本で食べられているものの中にもネギ属は結構多く、ニラ、ラッキョウ、ニンニク、アサツキなども含まれます。

 モンゴルはネギ属の宝庫でいろいろなものがあります。モンゴルの深い山にだけ生えてるアリウム・アリタイカムは、ネギの元ではないかといわれている植物です。レッドデータブックに絶滅危惧種として扱われ、一般的な採集が禁止されていますが、アルタイカムは野菜として利用できるので、モンゴル人がとってしまってかなり減っています。

 アルタイカムは大変おいしいので、人間だけでなく、動物も喜んで食べます。私がこの山に登ったときには馬を見かけましたが、地元の人によれば馬もアルタイカムを食べたいから山へ登るのだという話でした。アルタイカムを山の下へおろすとウイルスがついてしまい、増えないのです。ですから、なんとか増やそうという努力はしているのですが、難しいようです。

 ラモーサムはニラの元になった植物で、モンゴルの草原地帯にたくさん生えています。
 
 モンゴルのアリウムが生えているところにいくと、アリウム・モンゴリカムとアリウム・ポリリズムが生えています。モンゴルの一番南端で、そこの羊は大変おいしく臭みがないといわれていますが、これはモンゴルの人たちに言わせるとモンゴリカムとポリリズムを食べているから臭くないのだと言います。このようにネギ属にはいろいろなものがあり、その中の一つがネギであり、タマネギであるということです。

 ネギとタマネギの作付面積と生産量の推移を見ると、タマネギがネギを追い越してどちらもはるかに多い。タマネギはそもそも10a当たりの収量がネギに比べると非常に大きいので、タマネギの生産量がネギを圧倒しているというわけです。
 

 タマネギの野生種はどんなものか分かっていません。これだろうという種類がいくつかありますが、おそらく中央アジアに近いところが原産で、そこから西に広まって作物として成立したのではないかといわれています。歴史は極めて古く、エジプトのピラミッドにはタマネギの絵が描かれています。それからインドにタマネギの大産地があります。イギリスの植民地になってから本格的に作り出し、そこから東アジアの方に輸出していたのですが、最近は中国が大産地になっています。

 
●甘・辛・中間型がある
 タマネギには甘タマネギと辛タマネギと中間型のものがあります。日本で甘タマネギという形で出ているものは、甘タマネギと辛タマネギをかけて、辛みを消したものが多いわけです。

 シャロットというネギがあり、ベルギーシャロットという名前で出荷されています。ふつうのタマネギは球が2つに割れたら商品として通用しなくなりますが、シャロットは分球型のタマネギで、品種名で<3、5、7、9>球型というものがあり、3球型は3つに別れます。日本ではあまり使われていませんが、ヨーロッパでは大事な食材として使われ、ソースを作るときのベースの1つとしてよく利用されています。

 
●エシャレットはラッキョウ
 日本で酒の肴として有名なエシャロットは、ラッキョウのことです。ラッキョウを若穫りして葉付きで出しているのをエシャロットという名前で出したものです。「葉付き若穫りラッキョウ」ですが、それでは売り物にならないので、フランス語の「エシャロット」という名を付けました。これは最初静岡県で作られ、その発祥の地も、名付け親もわかっています。

 ところが、エシャロットが普及したとたんに日本に本物のシャロット(エシャロットの起源であるフランス語では「エ」の部分がよく聞こえない形で発音します)が入ってきました。しかし、偽者が有名になりすぎたために、「ベルギーシャロット」の名前で出しています。実際はこちらのほうが本物です。名前をきれいにつけるのは大変大事という例です。
 
●土着するまで長い間かかった
 タマネギは明治時代に日本に入ってきましたが、特殊な性質があるため土着するのにずいぶん年数がかかり、品種改良をした人たちが大変苦労をしました。辛タマネギが日本に土着し、その元になったグローブ・ダンバース、イエローグローブ・ダンバースが日本に入ってきて土着しました。入ってきた当時はいろいろな系統があり、それを篤農家や研究者が研究したもので、現在の日本の品種はほとんどこの流れをひいています。しかし、最近はF1になっていますから、他のものを交配して作られています。

 
●春蒔き、秋蒔き
 タマネギには春蒔き、秋蒔きの栽培方法があります。北海道から東北の一部では「春蒔き」という形で作られています。ヨーロッパのタマネギの作り方の基本も、春に蒔いて晩夏から秋にかけて収穫する「春蒔き」です。

 もう1つ、日本の大産地は大阪から兵庫(淡路島)にかけてあり、ここでは「秋蒔き」、8〜9月に種をまいて、早いものは5月末から6月にかけて収穫するという栽培です。いまでも兵庫の淡路はタマネギの大産地ですが、「秋蒔き」=南の方で作るのに適した品種と、「春蒔き」=北の方に適した品種の2つに分化したということです。

 
●球になるために日長が影響する
 タマネギが球になるのにどういう条件が必要かということをご説明したいと思います。


 タマネギは、
      ○葉が増える     温度
     大きくなる

       ○球 日長
        球が完熟すると上が枯れて倒れる

 タマネギは葉が増えてきて、大きくなり、その力で地下の球が太ってきます。球が肥大すると上が枯れて倒れ、倒伏するとタマネギが成熟したことになるわけです。ところが、タマネギの球ができるのには日長時間が影響します。秋から冬にかけてだんだん日が短くなり、春から夏にかけて日が長くなり、日の長さに大変厳密に反応します。葉が増えているということ、葉が増えているための一番大きな要因は温度です。

 だんだん暖かくなってくると根を出して葉が増えて大きくなっていきます。

 片方で、ある日長を超えないと球が全く肥大しません。それが微妙に絡まり合って、この地帯にはこの品種という使い方が極めて厳密に分かれているわけです。

 たとえば日本ではタマネギの極早生の品種は、日長時間が12時間を超えると肥大し始める。極晩生は14.5時間です。極早生と早生の間にはさらに細かく12.15(12時間15分)、12.5(12時間30分)、12.75(12時間45分)という形に使い分けていかないと球にならないわけです。ただし、これは球ができるかできないかの話で、そのときに十分葉が大きくなっていないと大きな球になりません。葉が小さい状態ですと、その日照時間になっても球は肥大しても大きな球にならずに小さな球で終わってしまうということがあります。

 それを組み合わせていって播種期、栽培期を決めているわけです。タマネギの中には15時間とか16時間というタマネギがあり、それは日本のどこで作ってもその日長時間にならないから作れません。ところが、ヨーロッパの北の方は、日長時間が長くなるので作れます。そのタマネギは大変貯蔵性が高いので、日本でもこれを交配して貯蔵性の高いタマネギを作ろうとしたのですが、球にならなかった。タマネギと日長時間の関係が第2次世界大戦の頃に分かってきて、タマネギは何時間型というように分けるようになりました。

 北海道に適応している品種を本州にもってきてもうまく肥大しない理由は日長時間が足りないので、球になってもへんてこな形になるのです。

 「秋蒔き」をしたものは、春になってだんだん葉が大きくなり、極早生の品種には4月頃から肥大し始めるものがあり、品種により、12時間、13時間、14時間と日長時間が長くなってきて、それにつれて肥り出します。南の方で栽培したときには4〜5月に上の葉が十分大きくなっていきません。早生の品種は南の方で作りますが、早く気温が上がるので、まず葉が大きくなり、日長時間が長くなっていきます。この品種を北海道にもっていった場合、温度が低いので春蒔きをして5〜6月に植えます。植えると、そのときに日長時間が12時間をこえているので、葉が大きくなりきる前に球が肥り始め、大きな球が作れません。

 逆に、北海道の品種を内地の南の方へもっていって作ると、春になって上の葉は少しずつ大きくなるが、日長時間が短いので球は肥大せず、これから球になって肥大するという日長になる頃には気温が上がりすぎて暑さで上の葉がばててしまう。品種が北海道型の品種と内地型の品種ときれいに分かれている一番大きなのは、こうした理由からです。日本の品種は世界から見ると比較的早い品種だけが作られています。晩生になればなるほど大きくなり、収量が上がります。他国と比べてみると、日本のタマネギは収量が少ないというのは、日長時間が短く、その時期には温度が高くなってしまい、作れる品種がないからです。

 最初は、貯蔵性の高い、晩生の品種を作ろうとしてヨーロッパ型の品種を交配したのですが、全部しくじりました。葉が大きくなっても日長時間が足らない。日長時間が十分になった頃には日本は暑さがやってくるということで、どの品種も作れないという事態が起こっていたわけです。このため、日本での作付は、「秋蒔き」初夏穫りと、「春蒔き」晩夏穫りの2タイプに分かれています。秋蒔きの主体は北海道です。内地のタマネギの出荷が途切れる頃に北海道のタマネギが出てきて、貯蔵性が非常に高いためにうまい具合につながっています。

 
●おいしいタマネギ
 軟らかくて貯蔵性があるというのは始めから無理な話で、貯蔵性が高い品種は硬いということになります。

 輸入の主体はメキシコやニュージーランドでしたが、最近は中国からのものがかなり増えています。ニュージーランドは日本と気候が逆なので、日本が作れないときにずいぶん入っていました。

 2001年を見ると、約十数%が外国からの輸入品、これを時期別に分けると、7月以降に輸入品が増えます。タマネギの品種と球の肥大は極めて並行的ですから、それが栽培時期を限定しているのです。

 日本のタマネギは1年型の栽培(種をまいてから収穫するまで1年)ですが、ヨーロッパへ行きますと2年型、3年型という栽培です。これは日長と温度との関係があり、向こうは春蒔きをして日長が長くなってから球が肥大する。それと同時に温度も上がっていき、その年に3〜5cmくらいになる。その球を集めて2年目に球を蒔きます。すると根が出て日長時間が長くなると肥り、2年目でやっと大きくなる。中にはもっと条件の厳しいところではそれを貯蔵して3年目にやっとまともな球になるわけです。3年型で作るためには貯蔵性が高くないと生産ができないという状況です。日本の場合、タマネギの採種は2年型で、春か夏に球が穫れたものを植えて、翌年に種が採れるわけですが、2〜3年型の栽培をすると、3年目、4年目に種を採ることになって大変手間がかかります。

それからタマネギでペコロスというタマネギがあります。タマネギそのものを肥らさず、小さな形で穫ろうというものです。

 
●まとめ
・タマネギの葉が大きくなるのと球が肥大するのには温度と日長が関係する。

・このため、北海道(ごく一部青森県)の「春蒔き」と内地の「秋蒔き」とで栽培が分かれている。品種は全く共通していない。春播きする品種は内地で作ったら球にならないし、内地の品種を北海道に持って行ったら収量が上がらないので、品種を使い分けている。

・日本の品種のほとんど全部は、イエローグローブ・ダンバースから出てきて、それを元にして日長の反応にうまくいくように区分けして作り出された。


 【質問:ことしのように曇天が多い場合、日長時間は。】

 日照時間と日長時間は違います。日長は、どれぐらい明るい時間があるかということです。日長反応を調べるときには電気をつけてもよい。日長時間を長くすることはできるわけです。曇っている程度では日長反応にはあまり関係ありません。球が肥大する、しないに曇天は影響ありません。電気をつけて植物をごまかすのはキク(菊)です。キクは電気をつけている間は花が咲かない、電気を切ったとたんに、短日になったと感じて花が咲く。それぐらいで感応するわけです。


 【芯腐れが出るのは?】
 日長とは関係ありません。科学的ではありませんが、例えば球を肥らせて作ろうと思えば、ある程度窒素をきかせればいい。ところが窒素がききすぎると他のものとの吸収のバランスが崩れて芯腐れが起こる。雨が降りすぎたということが関係するのも、球が肥大する時にどういう条件があるかで決まってきます。ハクサイの芯腐れでも、窒素のやりすぎで石灰が吸えなくなって芯腐れが起こるのです。これは石灰があろうがなかろうが、肥料のバランスが崩れるからだめなのです。

 タマネギの日長は、曇ったりする程度の照度は問題がありません。ところがキクはキクは照度と関係なく、夜が明るければそれに感応します。月の光を嫌うので、キクを作る人たちは夜間も真っ暗にします。

 
【葉タマネギはなぜ千葉しか作らないのですか。千葉の長生というところでしかほとんど出荷がありませんが】
 葉タマネギは千葉とか愛知とかであります。葉タマネギは「愛知白」のようなものを使っていましたが、最近は新たに育成された「ソニック」などの品種が使われています。


 【「札幌黄」という種類はなくなったが?】
 
 「札幌黄」を母体にして「改良オホーツク1号」「スーパー北もみじ」などができ、それに別のものをかけあわせF1にしている。したがって「札幌黄」は作られなくなりました。今は雄性不撚を使って、F1をとりますが、北海道の耐病性の品種を作るにはアメリカの品種をかけて作っています。

 【*江澤先生「病気になりやすい。それで、「札幌黄」はうまいのだけど、作らなくなった」】
 
【輸入物で、すごくでかいタマネギがあるが】
 16時間型の品種を北で作ると非常に大きなものができます。

 「札幌黄」のほかに「北見黄」が出ています。「札幌黄」はいろいろな系統がたくさん分かれ、小谷系、河島系、黒河系というのがありますが、これらはイエローグローブ・ダンバースが北海道へ土着してその中から北海道で選ばれた。それが南の方に土着し、「貝塚早生」「今井早生」「淡路中甲高」などが作られました。早生は平べったく、北海道の品種のように晩生になるにつれて丸くなってきます。

 「札幌黄」は大阪では「泉州黄」といわれ、それが元になっていろいろ出てきています。かつてはタマネギの形で甲高、中甲高といった言い方をしました。


 【もみじというタマネギがありますよね。】
 七宝というタマネギ専門の種屋さん(香川)が育成した品種(F1)です。

 
 【タマネギはよく吊り下げていますが、どれぐらい置いておくのですか。

 冬を越してもよい形で置いておきます。香川とか兵庫、大阪ではこの形が結構残っています。ある時期を越えると芽が出てきますが、最近はそんなことをしなくても冷蔵技術が発達してきましたから、淡路などでは冷蔵していると思います。

 
 【先日帯広に行ってきて今年のタマネギは小玉が多いといわれました。先生の話からいえば今年は日照時間もあったと思うので、大玉でよいと思うのですが。8月が高温だったのと雨が少なかったからではないかと言っていました】
 私もそのようにお答えしようと思いました。温度が高すぎて葉が大きくなりきれないのと乾燥とがあると思います。言うなれば葉も夏ばて状態です。ふつうは25℃以上になるとじっとしています。ものによっては日中温度が25℃くらいに上がって、夜温度15℃くらいの温度格差があれば何でも肥ります。

 
 【国産は炒めると飴色になるのですが、中国産のタマネギは炒めるとまっ黒くなるものがある。どうしてか】
 品種としては中国も日本の種子を使っています。ちょっと分かりません。

 ただし、中国は独自に品種改良しているので中国のものがやがて出てきます。ネギの育種の元を山ほどもっています。種屋さんと中国を歩いた時に、多くの育種の元を使って育成するのだから、いいものを作り出す素地があると感心しました。日本は改良を加えすぎて元になるものがありません。

 中国では、野菜の作付面積がものすごく増え、高速道路網が発達していることにも驚かされました。輸送条件もよくなっており、日本向けにタマネギもネギもいくらでも輸出できる状態になっています。品質もいい。これではとてもかなわないと思いました。

(このほか、会場から「今年は2Lサイズが少ないので給食向け納入が困る」という話、先生から「タマネギは蒔いて種をとるまで機械化しているので、労力が少なくなっている」といった話を伺いました)

 


江澤正平先生の話

・タマネギは昔は平べったかったが、丸くなってきた。業務用に多くは圧搾空気で皮をむいて納める。このため、圧搾空気を当てやすいように、丸く改良されてきてしまった。

・ネギを吊すのも傷みやすいからだが、風に当たるとタマネギが乾燥して色が変わってくる。だから、昔は北海道でも箱を並べてシートをかぶせて風当たりをよくしていた。
 
・アメリカでも一番最初に入ってきたのは「札幌黄」。今でも「札幌黄」の種をアメリカでもっている業者がいる。

・タマネギの効用は血液をサラサラにすること。血液は栄養分を各臓器に回し、汚れた血液を心臓で浄化して再び循環する。血液がサラサラで動くということは大事なこと。

・1〜3月は葉タマネギが出るが煮て食べるとおいしいからたくさん売ってほしい。売れないならば食べさせて売るとよい。
 

キノコ

・キノコは約3000種類あるらしいが、そのうち食べられるのは200〜300、毒キノコが60くらいある。自然の野山に行ってうかつに食べないでください。そのもの自体を専門家にみてもらってから食べないと危険です。

 人工で作っているのは、木材にぬかや栄養剤を入れ、腐らせると出てくるもので、シイタケの人工栽培などはそのようにして作られています。温度や栄養分の関係がなかなか難しいところです。

 エリンギはもともとはフランスでできるようになって、日本でも作られるようになりました。当初は、農家が副業的に施設を作って手がけたが、今は企業生産されるようになっています。

 生産には日数をかけたほうがうまいようです。ですから、フランスではマッシュルームの栽培にずいぶん時間をかけています。

 木材腐朽菌などいろいろなものが出ていますが、中にはマグソダケといわれるくらい馬糞をたくさん入れているものもあります。今はいろいろな形でやっている人が多くなっています。

 ただし、マツタケは人工ではできません。松の根の周囲にある程度菌が培養されるようなものがありますが、そういった培地が作れないとマツタケはできないわけです。キノコ類は栄養分、カロリーはあまりありませんが、機能性が高く、じっくりと効いてきます。

    活物寄生
    死物寄生

 菌の中には生きているものと死んでいるものに寄生しているものがあります。人間が栽培できるのは死物寄生です。今日展示されているキノコ類は全部死物寄生です。活物寄生で代表的なのはマツタケで、活物寄生を人間の力で栽培しようという努力をいろいろしていますが、今のところは実現していません。

 活物寄生の菌を作ろうとしても菌を残しておくことができないのです。
 


荒井慶子先生の料理アドバイス

・西洋料理からタマネギがなくなったら料理が成り立たないかと思われるほどウエートが高い。香り、辛みと甘味は独特のもので、脂身をまろやかにする効果もある。

・タマネギを使ってどんな和風料理をするかときくと、たいていはみそ汁、肉じゃが、親子丼と答える。あまり日本料理では使われないが、一番好評なのはかき揚げだと思う。串カツ、牛丼、鶏丼もタマネギが必要で、中華料理も酢豚はタマネギが欠かせない。
 
・タマネギがなかったらできない料理はオニオンスープ。薄くスライスして水を出さないように火力に注意してスライスしたタマネギの10%位の油で炒める。水が出てきそうになったら火を強くし、水がなくなったら中火にする。今日は中途でそのままでも食べられるというところで火を止めた。20分くらい炒め、お湯をさせばブイヨンキューブなどを入れなくてもおいしい。

・スライスオニオンの仕方は繊維に沿って切るのと、繊維を切断する半月切りと両方あるが、半月の方が苦味が出る感じなので、縦にスライスする方がいいと思う。

・今日はあえてさらしていないが、スライスしたものは冷水か氷水にさらして温度を下げて出せば辛みや苦味があるものもだいじょうぶ。

・サラダには縦に薄切りにして水か氷水に5〜10分さらし、水を切ってからおかかとしょうゆをかけると美味。みそもタマネギには合う。
 


鈴木寛先生の商品説明

・8月の開市日数は23日あり、野菜全体の入荷量は102%で入荷増、単価は前年比95%で、平均単価は203円で終わっている。
 
・品目的には大根、にんじん関係が高い。また葉物関係は高温推移で前進したので高い傾向がある。果菜類についてはトマト、ミニトマトが比較的入荷減の単価高という高値推移。豆類が入荷減の単価高。タマネギは8月、京浜市場に1万1000トン(前年比108%)で入荷増、単価が96円(前年比92%)ということで終わり、入荷増の単価安という推移。主力産地は北海道、佐賀県、兵庫、中国の順。兵庫は前年の71%で入荷量が減っているが、台風による豪雨等の影響。その反面、北海道産が順調な入荷(8月前年比150%)をみている。昨年は冷夏だったが、ことしは順調な入荷をみている。

 菌茸の中で、シイタケは約500t(前年比98%)、単価は881円(98%)で、入荷減の単価安傾向。

【タマネギ】

 タマネギは主力産地の北海道(JA美幌「オホーツク」L2200円)、兵庫県(JAあわじ島「もみじ3号」L2600円)、中国産(日中貿易、「桜龍5号・6号」L1500円)を持ってきた。特色としての軟らかい、硬いについては日持ちの問題が影響する。兵庫県産は生食用に向く、甘みが強いといっているが、辛みがないというわけではない。

 北海道産は煮込み料理に適する。辛味が強いが、日持ちがよい。 中国産は品種や特徴を卸でもよく把握していない。こうした機会を利用し食味の違いを確認して販売の糧にしてほしい。

 (このほかエスカ農法のタマネギが参考出品された)

【キノコ】  当日用意されたキノコの写真一覧

 ( )は県/産地、品種、販売価格
*シイタケ(福島・蓮羽/原木)230円、島根・奥出雲(菌床)180円)は原木栽培と菌床栽培が両立している。原木ものが減る傾向にある反面、菌床栽培という場所を選ばない作り方が可能になった。原木と菌床の違いを感じとってほしい。

*ハナビラダケ(山梨・南アルプス500g)は、幻のキノコといわれ、マツタケに匹敵する希少価値があり、上品な香り、歯ごたえがある。ユニチカ事業部で生産している。がん抑制効果が高く、キノコよりもサプリメントのほうが認知度があるらしい。話題性があり、近々東一でも手がけたいが、商品化されている100gと500gが卸値で500g2800円もする。関西のデパートでは100g1000〜1200円で販売されているそうだ。

*タモギダケ(山形・庄内)は、黄色が特色。毒々しいイメージがあるが、熱を加えると色が灰色になる。この特徴は旨味で、ダシが出るので、みそ汁、鍋物に適する。ほかには天ぷら、ピザ、オムレツなどに。

*エノキの中でも特に山エノキ(新潟・津南森林組合100g、40円)は原種に近いエノキダケで、ふつうのエノキ(長野・中野市200g)より味が濃い。株どりで大きめサイズになっている。今はエノキの産地が混迷し安値推移になっているが、量を食べてもらいたいということで株どりが多くなってきた。 

*ナメコは定番(山形・平田100g)のものと、「ジャンボなめこ」(福島・鈴木農園200g、120円)と「食べごろなめこ」(福島・鈴木農園200g、100円)という品種を持ってきた。ジャンボはふつうのナメコの2番刈りで大きくして出荷する。天ぷらやホイル焼きに最高。食べごろなめこはサッと湯通ししてポン酢で食べるとおいしい。本来のナメコの味が大きい割りにはある。ナメコは小さめが好まれるが、自然のナメコも結構大きい。入れるだけでいい味が出るので、見てくれだけでなく、大きいナメコを消費者に紹介してもらいたい。

*シメジは「味しめじ」(埼玉・マルケイ)は炊き込みごはんに最適。「ブナシメジ」(長野・北信州100g)はほんしめじのこと。「ブナピー」(香川・ホクト産業)は今はやりの白いキノコ。

*ヒラタケ(山形・庄内遊佐、150円)は、シメジよりも大粒だが、「しめじ」の名称で親しまれている。吸い物、酢の物、和え物、煮込み、コンソメ、ピラフ、コロッケ、中華スープ、チャーハンなど様々な料理によく合う。。

*エリンギ(鳥取・北村きのこ園100g、100円)は、菌茸の中ではヒット商品。原産はヨーロッパ。

*パイリング(群馬・赤城きのこ本舗、150円)は、白嶺茸という呼び方をされている。新しいキノコの一種で、中央アジアの標高30000m以上に自生していてエリンギよりも味が濃い。また、食感もエリンギに近い。

*マイタケ(群馬・三夜沢100g=白、80円)(群馬ナバファーム100g、500g=黒、350円)は汁物に入れると煮汁が黒く出るということで、白いマイタケも出てきた。消費者に白いマイタケもあるということを紹介してほしい。

*雪の羽衣(茨城・ファングス、220円)2003年に発表された。マイタケ栽培技術の研究により生まれた。歯ごたえがよく、しゃぶしゃぶや野菜サラダによいということで出回っている。

*やまぶしたけ(山形・山形もがみ、100円)は、ぼけ帽子ということで、薬効を売りに出回った商品。サラダ、鍋、八宝菜、天ぷらなどに。歯ごたえがある。

*アワビタケ(和歌山・三幸食品、50g150円)は、沖縄、台湾の特産である。焼き物においしい。


【この日の見学者】

河野章さん(東京都職員:改良普及センター)

 八王子の農家を対象に流通指導をしている。今までは作ったものをどのように売るかを考えればよかったが、これからはどういうニーズがあるかを知らないと指導できない。その意味で今回参加してとてもよかった。
 
 野菜は市場流通が多いが、市場に出荷するとその先がどうなっているのかわからない。自分が作った野菜がどういう形でどこで売られているかがわからない、ということは売り先からの反応も返ってこないということ。売り先と密接な関わりのあるところは味にこだわった品種の選定をしているが、市場に出荷して終わりというところは、揃ったものを納めるということが第一条件になっている。

 農家が自分で食べるのであれば、おいしいと思うものを作り、味が一番いい時期に十分な量も確保できるが、それを外に出荷するとなると難しく、安定供給できない。

 八百屋塾については、流通関係者に教わり、インターネットで毎回のレポートを見て、見学したいと思った。こだわりの八百屋さんたちの勉強会に参加できてとてもためになった。こだわりの農家とこだわりの八百屋さんとをつなげることができればいいと思う。



小杉吉巳さん(八王子市で野菜、果樹、お茶を生産)

  タマネギは、耐病性、輸送性、収量性、貯蔵性を重視する。産地によっては効率品種とか近所で作っている人気品種だから作るということがある。味について農家に情報が伝わってこない。一方で、うまい品種とわかっていても、経営面で考えると作れない、ということがある。そうやって地方の品種がなくなってきた(それを売りにしている人もいますが)。

 この講座は皆さん、自信をもっていいと思う。生産者はこんなに勉強しない。

 今日は種子から食まで通して勉強させてもらった。生産者はいつも出荷までで終わってしまうので、いい勉強になった。これから食についても研究したい。