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2006年(平成18年) 6月16日 (日) 第3回
産地見学  ポケットファームどきどき(直売所)、パプリカ生産者 (有)テディ、坂 農苑

 八百屋塾の参加者54名で茨城県内の直売所とパプリカの生産者、ブルーベリーの生産者を訪ねました。

ポケットファームどきどき(直売所) 茨城県
東茨城郡茨城町下土師字高山1945
小泉孝光(所長)さんの話

■概要
 ポケットファームどきどきは2000年の春にオープンしました。大人も子供も安心して楽しめるファーマーズマーケットで、経営は全農の茨城県本部が行っています。以前クリ林だった4万uの敷地に直売所、「森の家庭料理レストラン」、風のドームという休憩所、一部市民農園も兼ねている農園、子供たちの遊び場にもなるミニ動物園、バーベキュースペースなどがあります。
直売所は野菜の販売が中心ですが、野菜を使った惣菜、加工品、直売所ブランドの名物ハム・ソーセージなども販売されています。
 

小泉孝光(所長)さん

家庭料理レストラン正面入り口

 開設の経緯ですが、自分たちで生産から販売までを手がければ、農薬、食品添加物の問題も解決されるのではないかということから、このような施設を造ろうと考えました。広さは約3万uあり、 体験農場(約1万u)では、2005年に有機JAS認定をとりました。現在転換期間中なので販売はせず、もっぱらレストランで使う素材に利用し、約40数種類作っています。作るのは日本有機農業研究会という団体、8名にお願いしていますが、収穫は私たちが行います。農協組織ではJAS認定は珍しいようです。
 もともと有機部会を持っているのは全国の農協でも3つしかりません。茨城県の八郷農協 千葉県の山武農協、宮崎の綾農協です。農協関係は肥料、農薬で飯を食っているといつもいわれるのですが、私たちは有機をメインにしています。

■直売所

 直売所では、近隣の生産者約100人が登録しています、そのうち50〜60人ぐらいが常時出荷します。新鮮で安いだけならどこの直売所でも当たり前。ここには他の直売所にはない秘策があります。
 「安売りをせずに、キュウリならば昔の味わいのある四葉系など特徴のあるもの、ナスならば水ナスや小ナスなど、他にはないものを作ってくれと生産者に頼んでいます」
 したがって、新品種を積極的に取り入れてもらいます。それでも栽培技術が確立されていないと、生産に失敗したり商品として売れない品質のものが出たり、収量があがらなかったりするので、新しい野菜を豊富に品揃えするのはひと苦労です。

直売所全景

 ここに出荷している方は様々です。本当においしい野菜を食べてほしいといって、夕べどりと今朝どりと2回出荷する人もいます。その方の野菜はすぐ売り切れる人気です。花ニラなどかたい部分は商品にしないというぐらい徹底しています。その人のミニブロッコリーはオススメです。品物は人格を表すというのはその通りですね。
 ここで売られている紅芯大根は同じものがデパ地下でも販売されています。ビーツやハヤトウリなど珍しい野菜を手がけている人も多く、とてもバラエティーに富む売場になっています。
現在は約22品目くらい、例えばキャベツやホウレンソウなどを中心として、これらに関しては部会制を取り、前年の作付計画から出荷調整しています。そうしないと全員が同じものを出荷して、全員が下げていくという状況になります。品種ごとに出荷の目安を出しています。他の直売所と異なる点は隣に全農の青果センターがあるので、県内の青果ならすぐに届くという利点もあります。青果センターは出荷もしていますので果実などは帰りの便に市場から積んで来ることも可能です。ですから他の直売所よりも品物のやりくりが楽です。
 パプリカは元営農指導員だった人が生産者になって作っていて、ふだんは山のように出荷されます(笑)。赤7に対して黄色3にしてと頼むのですが、なかなかうまくいかないですね。
 葉物野菜やルッコラなどリーフ類は多いですね。小さいトレビスは、以前築地市場に出荷されたときに有名な料理人さんが全部仕入れたというぐらい品質がいいですよ。
 夏は高原野菜ばかりになり、一番売上げのよい5〜6月は買い物客であふれ、品出しができないぐらいになります。周辺30km圏内の人をターゲットにしていますが、名声が鳴り響いてさらに遠方からも来てもらえるようになりました。2000年にオープンして7年経過、現在では年間13億円売り上げています。売上げは駐車場のスペースが限られるのでこれ以上の伸びは数字的に難しいようです。

 基本的に直売所の商品はタマネギのように日持ちするものでもいったん下げて再梱包して出荷してもらいます。売れ残ったものはスタッフが床に落とし、それが翌日までひきとられなければ裏に回して処分します。売上げ手数料は15%です。
 ハーブ野菜は残る人が多いのですが、直売所としてはアピールできる商品なので、全部買い取るから自由に作ってほしいと頼んでいます。

■家庭料理レストラン
 敷地の奥の森の家庭料理レストランは、当初、テナントに外食チェーンのレストランを入れたのですが、2年もたたずに撤退しました。そこで、自分たちができることとして、オーガニックな家庭レストランを目指したところ、おいしい料理が食べ放題と口コミで噂が広まり、いまや並んで予約しないと入れないほどの人気となりました。
 レストランで使う野菜は、敷地内にある農園で栽培されたもの。農園全体をオーガニック栽培の野菜に転換しつつあります。その日の収穫の大半はレストランで使われます。というのも収穫物を束ねる人手がないので、そのまま厨房へ直行し、シェフがその日のメニューを考えるのです。農園で多品種栽培されているうち、ラディッシュやルバーブなどは直売所でも販売されていますが、将来は農園発直売所の野菜を売ることが夢です。
 「タマネギはバーベキューにすると真っ黒になりますが、葉つきのフルーツタマネギのようなものを適当な大きさになったらそのままで食べようと思って栽培してみたんです。それでバーベキューをしたらとてもおいしくて、試験区画で栽培したものを全部食べられてしまいました」


【お断り】ポケットファームどきどきに関しては、2005年タキイ種苗「園芸新知識」で取材した折の原稿を元に、6月18日の当日取材分を加え、再構成しました。
 


パプリカ生産者 (有)テディ
茨城県水戸市小吹町270-13
林 俊秀さんの話

 

私たちはパプリカを専門に栽培している農業生産法人です。輸入パプリカが大多数を占める中で、数少ない国産パプリカの生産者として周年体制で出荷しています。
国産だから安全・安心ということに甘んじることなくきっちりとした裏づけをもって安全・安心な栽培に取り組んでいます。

  2000uの温室4棟を田の字に配置してあります。そのほか165uの作業場が2棟と50uの予冷庫があります。ちょうど今いる場所からどこの温室にも直接アクセスすることができます。

林 俊秀さん

  パプリカは約2万5000株を栽培しています。そのうち3棟の温室で赤色を栽培、残りの1棟で黄色を栽培しています。赤の棟では出入り口に近いところのみオレンジ色も栽培しています。概ね70%が赤色で25%が黄色、残りの5%がオレンジ色というような品種構成になっています。6月は収穫の終了期が近くなり、7月には終わってしまいます。種を蒔いたのは昨年の同月くらいで、10月、11月から収穫が始まり、クリスマス頃と春に収穫の最盛期があり、7月の中旬まで収穫が続きます。

 4kgの段ボール箱で100〜150箱くらい毎日出荷しています。昨年(2005年)日本で2万6000トン輸入されたうち、約60%が韓国、約30%がオランダ(夏場)、残りがニュージーランドとなっています。ちなみに1993年がパプリカの初輸入です。当時は、いや5年ほど前でもパプリカの知名度は低く、半分位の顧客はなんとなく分かるが、そのほかの半分は何それというような状況でした。現在では10人中9人くらいは知っているという状況になりました。

   ピーマンの生産量は14万トンくらいですから、国産のパプリカの生産量は私の知る限り約1000〜2000トン(農水省の統計も無い)くらいだと思います。大規模な生産をしているところは当方の他、熊本、高知など僅かです。

 

オレンジのパプリカ、収穫も終わり頃なので数は少ない

選果場、品質をそろえるのは熟練の技術が必要

 当初は土耕でやっていましたが、本場ヨーロッパでは溶液(水耕)で栽培している例が多く、種苗も水耕を考えて育種していますので、水耕に切り替えました。 また、土壌障害に極めて弱いので水耕にする必要がありました。3年くらいは土耕でしたが、青枯病や連作障害で苦労しました。ヤシの実の繊維を土代わりにして栽培しています。農薬の使用量を極力減らすために天敵を温室内に放つようなこともしています。もちろん残留農薬の分析なども行って安心・安全の掛け声だけでなく裏付けもとっています。全農の分析センター(ポケットファームどきどきの隣)で何も出なかったといわれほっとしています。

  輸入品は流通時間が長いので、半分位色がまわったら収穫してしまうのですが、私の所では90%が着色してから収穫します。輸入品は届いたときのはきれいに色がまわっているのですが、当方のものは色むらがあるといわれますが、流通時間が短いので、棚で少し追熟していただくときれいに色がまわります。100%色がまわってから収穫すると割れてしまったり、光の当たる面にしわが寄ったりしてしまうので仕方がありません。


坂 農苑
かすみがうら市宍倉4493
坂 尚武さんの話
 

 茨城の果物というとナシ、クリなどがありますが、ここは栗の産地として有名です。以前は約6万uほどクリの栽培をしていましたが、クリの人気も凋落し、またクリは農薬の使用量も多いので、他の果物を探していました。そこで候補に上がったのが農薬をほとんど使用しないブルーベリーでした。

坂 尚武さん

 

 現在は約32000uの栽培面積で茨城県ではトップです。国産のものは市場流通は極めて少なく、流通しているものは、早穫りのかなり酸味の強いものだと思います。熟して味の良いものは果肉が柔らかいので崩れて商品価値が無くなってしまいます。なので、ブルーベリーは早穫りで酸っぱいというイメージが強いのですが、完熟したものは品種にかかわらず全てあまいです。

今日試食用に用意したのは早生の代表的な5品種です。この中で一番行けそうな品種はリベールという品種です。ただ少し柔らかくなりますので市場出荷は難しい感じもします。それからデュークという少し固めの品種がありますが、味がないのです。アメリカから来る品種はデュークが多いのですが、ちょっと乾燥すると味がなくなってしまいます、しかし、皮がかたいので市場出荷向きです。生産者の感覚で考えると本来の味ではないものを出荷するのはちょっと問題なので、スパータンなどは柔らかくて摘み取り以外では使えません。

熟期は6月から8月です。遅いものは9月になってもありますが、メインの品種は8月です。私の所では現在約100種類を栽培しています。登録品種で約250種類といわれています。私が個人で作った品種も15種類ほどあります。どうなるか分からないですが、良い品種はなかなかできないようです。

園地の様子

色づいたブルーベリーの果実


茨城でブルーベリーを果樹として認めてもらって、市場へ品種ごとにきちんとした形で出荷できる事を目標にしています。流通に向かないという品種もありますのでそういうものは仕方がないのですが。

大別しますとハイブッシュ系(定植後4〜5年)とサウザンハイブッシュ、ラビットアイ系(定植後4〜7年)があります。ブルーベリーの品種はあまりなじみがないと思いますので別紙資料にまとめてありますのでご参照ください。

栽培方法はまだ確立されていません。ブルーベリー協会が今進めているのはほとんどアメリカの栽培技術です。まだ日本独特の栽培技術は始まったばかりです。今度、県の組織もできますので、関心度も高まって来つつあります。かすみがうら市だけでも26名の仲間が出来、約10万uの栽培面積となってきました。