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2006年(平成18年) 9月10日 (日) 第6回
学習テーマ「きのこ」

 

江澤正平先生の話

 今日は稲毛病院 整形外科、健康支援科部長 佐藤 務先生をお招きして色々野菜の栄養について、皆さんがお客さんに答えられるようなお話をしていただきます。先生が関係された本「野菜の食べ方、選び方」ですが、どういった病気の時はどのようなものが良いとか書いてありますので、今後、教科書として使います。良く読んで憶えてお客さんの対応ができるようにして下さい。

今日のテーマはキノコです。

目本のキノコ 3000種
食用  200〜300種
毒   60種

 毒キノコには、必ず食べてしまう人が出るので、キノコ狩りにいくときは十分注意しましょう。キノコの専門委員が地域にはいますので、そういう人から情報を入手してからキノコを取りに行ってください。帰ってからも収穫したキノコを見てもらいましょう。キノコによっては、命にかかわるものもありますので注意をしましょう。
 キノコの主な産地は長野県、東北、北海道、西日本などです。
マッシュルームはフランスで140万トン生産されています。
栽培されるようになったのは江戸時代からで、ひらたけ、椎茸、きくらげ、ふくろだけなどが当時の代表的なものです。

 70年くらい前は、伊豆あたりで9月頃から出てきました。生産は穂だ木で栽培していました。現在と品質が変わらないようなキノコが出来るようになったのは、昭和11〜12年(1936〜1937)からです。現在は菌床栽培が多くなってきました。今日は原木栽培と菌床栽培の差を食べ比べで理解してください。

 キノコは3つ位に分けられます。

1 木材腐朽菌(木のリグニンを分解することでセルロースなどの成分を栄養素として出来るキノコ)
しいたけ、ナメコ、エノキ、ひらだけ、まいたけ、タモギダケ、クリダケ、きくらげ、ぶなしめじ、エリンギ
2 腐生菌   
マシュルーム、ふくろだけ
3 活物寄生菌(栽培が難しい)
まつたけ、本しめじ、はつたけ

 後はお渡ししたメモ書きを見てください。


稲毛病院 整形外科・健康支援科部長 佐藤 務 先生の話

野菜の本当の力

健康支援科

 私は千葉市にある稲毛病院で整形外科のドクターをしています。全身の骨や関節、腱などの外傷や疾病の治療を行っていますが、患者さんは治療や症状のためにどうしても動けなくなるために肥満する傾向にあります。痛くて動けない→動けないとストレスで食べる→太る→太るとさらに関節に負担がかかる→さらに動けない・・・という悪循環に陥り、さらに病状を悪化させていきます。

  これが生活習慣や加齢が原因となる膝や脊椎の変形性疾患などになると、一生に関わることになり、ますます太り、それと共に疾患はさらに憎悪・進行していくということになります。私たち医師は体重を落とした方が膝の負担が軽くなるのでやせなさいという指導をしますが、指導にしたがってやせた試しはほとんどありません。医療の現場で指導やアドバイスは口すっぱくしているのですが、患者さん側で実践出来ないこともかなりあります。特に健康作りという部分では――その理由は私たちドクターが健康の専門家ではないので、なかなか具体的な指導は難しい部分があるからです。その部分を具体的に、確実に実践できるようにするために、健康支援科という科を2000年に日本で初めて作りました。

 患者さんが日常生活の疾病ケアや健康作りで分からなくて困っていることを指導アドバイスする外来という形で立ち上げました。その中で一番人気があるのがビタミン外来なのですが、そのほかにも10程の特殊外来があります。これらは治療する外来ではなく健康をサポートするサービス外来です。例えば、私たち整形外科医が運動の指導をしますと、女性の場合、ちょっと踏ん張ったりすると、尿失禁などにより運動を継続できない方がいます。女性は膀胱括約筋が薄い分漏れやすいという構造があります。普通はこのような場合、泌尿器科で診察してもらうようにするのですが、私たちの所ではすぐに泌尿器科で治療してもらうのではなく、まず自分が出来ることは何かということをしっかり指導していきます。例えば膀胱括約筋を鍛えるという運動があります。それをきちんと指導してみて、また本人もきちんと実行してよくなるという例も多々あります。それを行っても効果のない患者さんは泌尿器科へ紹介するということをします。大事なのは、些細な症状に対しまず自分で何かをやってみるということなのです。何をするかを指導するのが健康支援科の役割です。

ビタミン外来

 ポジティブに健康を作っていくにはどのようなことをすればよいか、どのような食事をとればよいか、どのような運動をすればいいのかなど、日常的にまず自分で出来ることをしっかり指導するということが重要だと考えています。

  今日のテーマは、その実践外来であるビタミン外来を説明します。この外来はまずサプリメントという食品をどのように利用するのかという所からスタートしました。だれもがサプリメントを摂取すると、その成分や栄養素が必ず機能すると考えてしまいます。しかし実際はサプリメントは、摂るだけではほとんど機能しないということが分かります。机上に私たちが学んだ栄養素学や成分学では、あたかも摂るだけで、それぞれの栄養素や成分がこういう働きがある、ああいう働きがあるというように記述してあり摂取するだけで機能すると思い込んでしまいます。ところが実際に摂取してみて、患者さんの感想はというと、「先生、何か良いとは感じるのですが、何が良くなったのかは分からない」というのがほとんどで、結果は、何も効果が感じられないというよりも身体の中で働いていないのです。これが現実です。つまり、サプリメントのような補給食品というのは、体内に入れたからといって固有の働きが必ず発揮できるわけではないのです。真のサプリメント学とは、何を摂取したらどうなるというものではなくて、摂取したサプリメントがどうしたらきちんと体内で機能するのかを追求していくことなのです。

  栄養素や成分の知識や、今回の八百屋塾で学ぶキノコのファイトケミカルの働き、機能の知識を得ることは大事ですが、どうしたら有効に働かせることが出来るのかを学ばないと、机上の学問になってしまい、患者さんやお客様のお役には立てません。

  私たちの行っているビタミン外来は、これらのことを追求してきました。言い換えれば食事の摂りかた、運動のしかた、そして睡眠という人間を作る部分をどう改善しなければならないのかということをきちんと指導した上で、サプリメントの摂取方法を考えていきます。

  日本では、治療に必要な薬で必ず服用しなければいけない薬でも、30%は捨てられているといいます。これは、治療をする側がいかに信用されていないかということです。これが食品になれば、その重要度や摂取するためのモチベーションは薬剤よりは低いわけですから、例えば厚生労働省が「健康日本21」で1日に大豆をこのくらい摂りなさいといっても、普通の人は「へー」と思うだけで、じゃーやってみようというところまではいきません。こういったことを無理なく行うのに一番重要なことは動機付けです。なぜ摂取しなければいけないのか、自分の心身にとってどのようなメリットがあるのか、どんな人生を創ることができるのか、これらをきちんと理解できなければ絶対に無理です。摂取する意味やメリットを伝えるという本当の意味は、ただ知識を横流しするだけではなく、本人にとってどんなメリットがあり、どのように改善されるのかということを伝える側がしっかり理解していることが絶対的に必要なのです。

全体をきちんと把握すること

 八百屋さんも、野菜の知識を学ぶだけでは駄目で、それを利用する方の人間とはどういうもので、一人ひとりがどういう体質を持っているのかというところまでしっかり理解していかないと、個々のお客様に合った正しいアドバイスは出来ません。これと同じ反省は、現在の医療にもあてはまります。つまり病気の知識は学び病気から人間を見ているのですが、あまり個々の患者様に配慮しているとは言い難いのが現状です。

  また、病気は治療しますが、究極の目標である一人ひとりの健康の追求が出来ていないというのも大きな課題です。というより健康という概念が現代医療には欠如しているのです。この健康という概念の欠如は、治療の真の意味を狂わせてしまいます。病気を治すためだけに生きている患者さんはいません。皆自身の生きがいの追及のために生きているのです。治療はその生きがいの追及のお手伝いなのです。真の健康とは、病気の有無に関わらず、現代社会の中で、今持っている体の能力と心の能力を十分発揮して、人の役に立つ仕事ができたり、自身の生き甲斐の追求が出来ることをいいます。しかし、健康の尺度を測定するパラメーターも不確定で、実際には身体の評価は多少あっても、心の評価は全くないし、ましてやその方の社会的満足度の尺度も決まっていないし存在していません。それが現代社会の健康のレベルなのです。体と心は等価というようなことを言いながら、実際には、体の評価、例えば血液検査のデータを出してみたり、身長や体重を計って人間を評価してみますが、これだけでは駄目です。このような一面的・部分的評価法は全体から見ると有害無益です。何故なら部分の改善が全体の改善につながらないからです。人間をトータルで見る見方をしっかり理解しないといけません。その上でそれぞれの健康法がどういう位置づけになるのかを学ばなければならないのです。野菜だけ学んでも野菜だけで体が作れるわけではありませんし、病気を学んで治療を施しても健康が手に入るわけではありませんから。人間を理解するには人間というものに対し幅広い知識が必要になってくるのです。

 ビタミン外来では、まず人間という生物特有の生命代謝を学んで頂いております。ここでは体の代謝だけではなく、心の代謝、言い換えると精神代謝というビタミン外来独自の概念も学んでもらいます。これはビタミン外来の約3000人近い症例を分析して得られた新しい代謝の概念ですが身体同様、心も材料がなければ造れないということです。それぞれの代謝の材料は何かをきちんと学んでいただきます。

  皆さんも良くご存知の身体の方の代謝には新陳代謝とエネルギー代謝の2つがあります。新陳代謝とは体の作るボディメイクのことで、髪の毛、爪、皮膚、筋肉、血液、骨、ホルモンなどを毎日作り変えています。もう一つのエネルギー代謝は、体を動かすためのエネルギーを作リ出すものです。この2つに加え新しい代謝の概念が精神代謝です。分析を進めた結果、身体の代謝と同様に心の代謝つまり精神代謝も二つに分けると理解しやすいです。ひとつは人間以外の動物と共通する精神代謝で、例えば、ここに突然ライオンが現れたらどんな動物でもびっくりし恐怖を感じます。この精神代謝では何が働くかというと、アドレナリンなどホルモンや神経伝達物質です。この無意識にどんな動物でも無条件に生じる本能に近い精神で、これを「生物学的精神代謝」といいます。もう一つは人間独自の発達した心の代謝であり、大脳新皮質を使うもので、これは、社会生活を営むための言葉を使ったコミュニケーション、意識下に作り出される「社会的精神代謝」です。一言にまとめると生物的な「魂」と社会的な「心」の2つです。

  さらにこの4つの心身の代謝を失敗することなく確実に改善・促進していくには、改善するための流れ、つまり優先順位を理解する必要があります。ここでまず最初に配慮しなければならない大事な代謝は、無意識の領域にある生物学的精神代謝(ソウルメイク)と新陳代謝(ボディメイク)です。体を作る新陳代謝と魂を作る生物学的精神代謝の材料は基本的には共通していて、栄養素ではタンパク質とビタミン、ミネラルが材料であり、また休息や睡眠、運動では静止運動やレジスタンス運動などになります。この2つの代謝をしっかり促進した上で、次に意識下に行われるエネルギー代謝と社会的精神代謝を促進するのです。その共通する材料は、栄養素は糖質とビタミンであり、運動は精神はシンキングで身体は有酸素運動となります。代謝を理解する際に知らなくてはならないことは、人間も動物も無意識に行われる新陳代謝と生物学的精神代謝の両者がしっかりしていないと、心を作ったり、エネルギーを作り出すことは出来ないということです。つまり魂がきちんと作れていないと心は作れず、体がきちんとできていないとエネルギーは作れないということです。まず魂と体を作ることが優先されなければならないのです。まずソウル&ボディメイク、次にハート&エネルギーメイク、この順番を間違えると最終的に代謝は滞ることになります。

  老化というのは、新陳代謝が衰えていくことを指します。体の細胞作りが若い頃は毎日10作れていたものがだんだん9・8・7と作れなくなってくると、それに応じてエネルギー代謝にも制限がでてきます。ですから、年を取ると身体が作れなくなるだけでなくだんだんに動けなくなります。ところが今健康作りというと、ウオーキングが良いと言われます。ウオーキングは体を動かす、エネルギーを作るエネルギー代謝を促進する運動です。先ほどの優先順位から考えますと矛盾する運動といえます。老化や代謝の材料のアンバランスなどにより体が6しか出来ていないのに10動いたらどうなるでしょうか?確かに動こうと思えば動くことは出来ますが、それは体のどこかに負担(ストレス)ががかかることになります。それはどこかといえば関節です。だから関節が変形するのです。変形というのは、一見悪いことのように見えるかもしれませんが、変形することによって何とか体を支えているのです。関節軟骨は磨り減り、関節面積が広がり、変形してしまいます。しかし、広がることで接触面積も増し、それで体を支えようとします。変形が悪いのではなく、変形のおかげで今動くことができているのです。しかし変形してきたということはまず関節の周りの筋肉を作りなさいというサインなのです。つまりまず新陳代謝、ボディメイクをしっかりしなさいということなのです。

  心の大元である魂を作ること。この部分をおろそかにすると、人間というのは動いたり、コミュニケーションがとれなくなります。ですから、健康作りの一番重要な点は、まず目に見えない無意識の領域である生物学的精神代謝と新陳代謝を促進することが重要なのです。

  西洋文明というのは目に見える部分や、意識出来ることを特に重視します。つまり上記代謝では社会的精神代謝とエネルギー代謝のみを意識します。ですから、この部分に問題があることを病気として扱いします。例えばメンタルがコントロールできなくなり社会に適応できなくなれば、つまり社会的精神代謝を上手く作れなければ、精神疾患としてうつ病や統合失調症などの病名がつけられます。しかし大抵の場合、これらの患者さんたちは摂食障害、睡眠障害、運動障害など日常生活習慣が障害されます。つまり新陳代謝と生物学的精神代謝の材料である栄養素や睡眠や運動が揃えることができなくなるのです。つまり魂が作れなくなるのですから心が作れるわけないのです。生きる力を失調した状態で、薬剤やカウンセリングだけで心を治すことは難しいといわざるを得ないのです。

  一番重要なことは人間は生き物であることを認識し、目に見えない領域をきちんと作るように意識する必要があります。ところがこれを意識しなくても作れる動物はいます。ほとんどの動物はこの部分を無意識に作ることが出来ます。それは本能があるからです。ところが私たち人間は精神医学的には本能が壊れた動物なのです。

 自分の体を無意識のうちに理解し分析して、今何をしなければならないか、何を食べなければならにのかを本能で気付くことができる人はいません。人間の嗜好は好きな物を食べるだけであって、本能により導かれた嗜好ではありません。社会的精神代謝の中で分析をし、その上で、今何を食べなくてはいけないかを常日頃考えていかないと本能の埋め合わせは出来ません。ですから人間の場合は「しこう」は「しこう」でも嗜好ではなく「思考」食が求められるのです。何を食べるのか自分の心身の状況に応じて変化させていかなければならないのです。

  特に健康作りで間違いを犯しやすいのは、部分を直そうという考えです。部分の改善が全体にとってマイナスになっては何もなりません。実は西洋文明、西洋の医療もすべてこれで苦しんでいます。薬を処方すれば、その部分は確かに良くなりますが、全体から評価すると副作用によりマイナスになってしまうこともあります。

  東洋には、西洋の部分を直接改善よりも、全体を改善することで部分を癒していくという発想があります。健康づくりは東洋の考え方が重要なのです。例えばビタミンCの抗酸化力を体で発揮するには、普段摂取している量100mgに匹敵する抗抗酸化力が必要で、これをワインに入っているポリフェノールで得ようとすると、ワインを35リットル飲まなければなりません。これでは肝硬変になってしまいます。このように部分の取り扱い方を誤ると大きな失敗を招きます。何度も言いますが全体をきちんと把握すること、野菜の位置づけ、食の位置づけ、人間の位置づけをしないで部分だけ学んでも、それを人に応用しようとしてもうまくいきません。ダイエットも同様です。体重だけにこだわったり、ある特定の食品のみを食べたりそんなことで全体を良くする事はできないことは誰が考えてもわかるはずです。3ヶ月で10kgやせるのが正しいダイエットなら、2年後は−80kgです。すでにこの世に存在しなくなってしまいます。皆リバウンドのおかげで生きているのです。急激に身体に変化を与えればそれは間違いなく心身を悪くするストレスに他なりません。逆にリバウンドは、悪くなった身体を少しでも元に戻そうとする自己治癒能力といえます。部分の改善にばかり気をとられているとダイエットは確実にストレスとなるのです。全体の改善と全体から評価することが重要なのです。

健康学とは

  ビタミン外来では食事について研究しました。ドクターというのは医学部で栄養学や健康学の単位がありません。運動生理学もほとんどありません。ですから食事や運動、睡眠のとり方は全くといってよいほど知りません。

  皆さんも病気の時など医師に病気の相談をしたことはありますね。その時こういう症状のときにはこの薬を使いなさいというアドバイスを受けたと思います。しかし、健康相談のときには大抵、バランスの良い食事と適度な運動をして下さい。というアドバイスがほとんどです。聞く方は、それがなんだか分からないから聞いているのですが、具体的にどのような食事をとりどのような運動をすればよいのかというアドバイスをする知識がありません。それ以上突っ込んで「適度な運動って何ですか」と聞くと、「そうだねー。ウォーキングかな?」などというレベルです。

  そのようなわけで健康作りにはきちんとした知識が必要となり、栄養学、運動生理学、予防医学、そして、健康学とはという研究を始めました。半分以上のテーマは患者さんからいただきました。それが新しい予防法ヘルスプロモーションを導く代謝改善順応論と言う考え方や精神代謝という概念の気付きにつながりました。

  食事のとり方を栄養学だけが正解とは考えていません。むしろ栄養学的なアプローチのみで考えていくと失敗する可能性があると思います。それが分っているから国は食育という言葉を使い始めたのだと思います。

  肥満や生活習慣病の急増は、分析した結果、今の私たちが摂っている現代食に問題があると考えています。それには二つの問題点があります。一つ目は、栄養のアンバランスということです。これは聞いたことがあると思います。しかし栄養学でいう栄養のアンバランスと、今日ここで取り上げる栄養のアンバランスは別のものです。栄養学でいうアンバランスは欧米食の普及で動物性のタンパク質が摂れるようになり、それによって動物性脂肪もついてくることをさします。脂肪はご存知のようにカロリーが高いので、高脂肪・高カロリーを招くということで、三大栄養素の摂取バランスの悪さと総カロリーのコントロールのため、食のバランスを整えようということになるのです。このアンバランスは、解決済みで、現在の栄養学では、三大栄養素の摂取バランスとコントロール、プラス総カロリー数という事柄についてはきちんと指導が出来ます。しかし、もう一つ大きなアンバランスが生まれて来ているのではないかと考えられます。私たちの食事で、三大栄養素である、糖分、脂肪、タンパク質は概ねしっかり摂れている割に、相対的に副栄養素が摂れなくなって来ているのではないか、という新しいアンバランスが生まれて来ているのではないかと考えています。つまりカロリーに対し、ビタミンやミネラル、食物繊維が摂れなくなっている状況です。

 私たちが生きていくにはカロリーがなくては生きていけません。カロリーを身体の細胞とエネルギーに変え、つまり代謝して生きているのです。1906年、ネズミにカロリーだけ与えて、ビタミンを与えないという実験が行われました。その結果、ネズミの体内にカロリーは入っているのですが、エネルギーを作り出すことが出来ないため動けず、身体の細胞を作れないために成長できませんでした。つまり分ったことはカロリーだけでは代謝が行えず生きていけないということでした。生きていくためにカロリー以外にまだ別の栄養素があるに違いないといって発見されていったのがビタミンです。つまりカロリーを代謝するために絶対的に必要なものがビタミンです。

 カロリーを摂ったらそれに見合うだけのビタミン・ミネラルが摂取されなければカロリーを使いきれないということです。分りやすくいえばカロリーを10摂ったのならば、ビタミン・ミネラルも10摂らなければ10摂ったカロリーを10のエネルギーと身体の細胞に変えられません。ところが現在の食事はカロリー10の割にビタミン・ミネラルが3位しか摂れていないという状況です。この状況だと7のカロリーが余ってしまう勘定になります。この余った7のカロリーは、脂肪になって身体に蓄えられます。皮下にたまれば皮下脂肪、内臓にたまれば内臓脂肪、血管にたまれば動脈硬化の原因になり、肝臓にたまれば脂肪肝になります。このまま、10:3の割合で食事をとり続けるとどうなるか、延々と脂肪がたまり続け、肥満となります。では肥満の何が悪いかというと、いままで医療者は非常に前向きな捉え方をしていました。それは、いざというときの貯蔵エネルギーである。これ以上前向きな答えはないですね。

  現在は、この体内にたまった脂肪を内分泌器官と見るようになりました。つまり甲状腺や下垂体や副腎と同様、ホルモンを出す臓器のひとつということです。脂肪細胞から約200種類の化学物質が出ていて、血圧を上げるホルモンであったり、血栓を作るホルモンであったり、性ホルモンが出ていて乳がんや子宮がんの原因となったりと様々です。つまり、ホルモンが出過ぎて病気を誘発する原因になるわけです。ホルモンが少なければ少ないでホルモンが足りないわけですから病気扱いになります。脂肪の量を自分の意思できちんとコントロールすることが大事です。そこで、いろいろと食事指導をしたのですが、カロリーの制限やサプリメントの投与などいろいろやってみたのですがどれも失敗しました。そこで、他にもっと因子はないか調べていたら、どうも日本人の遺伝子によるところが大きいのではないかということに突き当たりました。

 日本人は何千年もこの土地にあるものだけを食べ続けてきた、かなり珍しい民族です。6世紀、7世紀に仏教が入ってきて各朝廷・幕府が動物の殺生を禁止しました。そのため肉・乳製品にはあまり親しまずに生きてきました。この状態が明治時代まで続きました。つまり1200〜1300年の間、あまり肉・乳製品に親しまず、米を中心に野菜、海藻、魚介類と大豆などの豆類・いも類などを食べ合わせて生きてきたのです。この食歴により、日本人特有の代謝システムや遺伝性が出来上がりました。

  まず腸が長い。欧米人に比べて1.3倍くらい腸が長い。その長い腸に欧米食のように脂肪の多い食事をすれば、脂肪の代謝の際出るインドールなどの毒素に曝露される時間が長くなりますから大腸がんなどになりやすくなります。遺伝的にも乳糖を分解する酵素の活性が低いということがあり、これからも農耕民族として生きていく宿命があるのです。

 主食の米を宿命とするように、インスリンの分泌がゆるやか。飢餓に強く飽食に弱い倹約遺伝子・節約遺伝子を6割近い日本人が持っているのです。日本人は世界で3番目に太りやすい民族です。

 農業を捨ててしまった農耕民族として、現代日本人は筋肉労働から頭脳労働へと移行しました。農作業がもたらしていた筋肉運動、エネルギー消費ができないのです。欧米人の多くが、日本人よりも高い比率で生活習慣病に悩まされています。自ら作りだした現代の欧米食に、欧米人ですら順応できていないのです。さらに、日本人だとどうでしょう。腸が長く、乳製品を消化しにくく、倹約遺伝子を持つという農耕民族ですから、欧米食には全く順応できないのです。数千年の歴史が生んだ日本人の宿命と、戦後わずか60年で激変した食と生活。どちらが日本人の本質なのか考えるまでもありません。

商売も医療も同じ−役に立ち続けること

 もう一つ大きなテーマがあります。それが順応という概念です。日本人特有の遺伝性代謝システムに合わない食が氾濫しているのです。つまりタンパク質を何から摂取するのか、乳製品で摂るべきなのか、肉で摂るべきなのか、もともと摂取していた大豆で摂るべきなのか、魚から摂るべきなのか、ビタミンは何から摂るべきなのか?・・・栄養学では、肉でも乳製品でもよいといいます。

 しかしそれは違うのではないでしょうか、元来日本人は何から摂っていたのかを考え直さないと、私たち日本人の宿命である遺伝性や代謝システムでは順応できなくなってしまうのです。それが欧米型生活習慣病の急増の大きな原因となっているのです。日本人の遺伝性代謝に合わない食の氾濫、これが主因となっているのです。これをただ栄養学的に数字合わせしただけでは解決できない問題です。サプリメントでは解決できない問題なのです。

  私たちの長い腸にはこういう食事が必要ですということをしっかり教えていかなければいけません。患者さんは納得しなければ実行しません。納得できるデータを出しても駄目な人が多いのですから、ですから、あなたの体は便秘しやすいでしょうという特徴をきちんと引き出した上でその理由をきちんと教えてあげなくては駄目です。患者さんは、良くなり続けないと病院に通ってくれません。

 これは八百屋さんでも同じです。商売も医療も同じことなのです。役に立ち続けなけれビジネスにならないのです。3ヵ月で10kg痩せても1年後5kg太っていたら患者さんは来なくなります。患者さんの未来と付き合い続けるのが本当の医療です。

 八百屋さんも同じ地域で暮らしている人の健康をサポートできずに、ただはやりだけでこの野菜にはこういう成分が入っているということだけ伝えて、お客さまがこの成分摂っても同じだよなと感じさせてしまっては意味がありません。お客さまの未来をサポートし続けてこそ八百屋さんの存在価値があるのです。

  時間がなくなってきたので、後は配付した資料をゆっくり見てください。とくに間食の栄養やアンバランスな調味料、加工食品とサプリメント、野菜の栄養価の低下などは良く見ておいてください。

著書:「ビタミン・ダイエットJAPAN  実践編・メンタル編(とりい書房)」監修「野菜の食べ方・選び方(彩流社)」など
   

学習品目 きのこ
福島 白沢
原木生しいたけ
歯ごたえ・香りがある。
山形 鮭川
菌床生しいたけ
品質、量が安定している。
福島 鈴木農園
ジャンボなめこ
大きななめこで、炒め物や天ぷら等の用途に使える。
三重 雪国まいたけ
ほんしめじ
「香り松茸、味しめじ」と言われる。以前は不可能だった人工栽培が可能となった。
京都 雪国まいたけ
はたけしめじ
キシメジ科のきのこ。人工栽培が難しいとされていたが、現在では各地で技術が確立された。ビタミンB2やパントテン酸が含まれる。
長野 サンベジフル
柿の木茸
野生に見られる茶色のエノキを栽培したもの。しやっきりした歯ごたえとうまみがある。別名山エノキ、サニーマッシュなど。用途はエノキ同様。
  群馬 三夜沢きのこ
トキイロヒラタケ
美しい朱鷺色をしたヒラタケの仲間。食感は鶏のささ身に似ている。
北海道 スリービー
タモギタケ
鮮やかな黄色のヒラタケの仲間。中部以北の深い山や北海道に自生。スープ、鍋物などに。
和歌山 山幸食品
アワビタケ
シコシコした歯ごたえとうまみを持つ。炒め物に合う。
群馬 赤城きのこ
雪嶺だけ
別名「白嶺だけ」「バイリングー」。中国では薬膳として利用される。肉厚で歯ごたえが良い。
山梨 はなびらだけ本舗
ハナビラタケ
夏に関東甲信越から北海道の高山に生えるきのこで、幻とされていたが、近年人工栽培が確立。Bグルカンがアガリクスの3−4倍含まれるという。炒め物、天ぷらなどに。
山形 鮭川
山伏茸
山伏の衣装についている丸い飾りに似ていることから、その名がある。ボケ防止に効果があるなどの説がある。スープなどに。
大分 大山町
きくらげ
ゼラチン質が豊富で、独特の歯ごたえがある。白きくらげは、中国では不老長寿の食品として珍重されてきた。
     

 
 
 その後、東京青果(株)野菜事業部キノコグループのマネジャーがキノコについて説明しました。

   

 長野県の果物について
(株)株式会社キープ 代表取締役社長 黒岩春治氏が説明しました。
http://fruits-keep.com

試食の感想
*しいたけは原木のほうがうまい。
*きのこは新しい品種が出てくるので八百屋でも全部はなかなか食べていない。
*味にくせがあったり、見てくれがよくないので売るのは難しい。
*調理の仕方がわからないのがあるので、すすめにくい。